巡回指導で必要な書類一覧|点呼記録簿・運転日報・乗務員台帳

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

巡回指導の通知が届くと、点呼記録簿や運転日報など、指定された書類を準備する必要があります。

ただし、書類が一式そろっていれば、それだけで問題がないとは限りません。

巡回指導では、点呼記録簿、運転日報、運行記録計の記録、運行指示書などを照合し、実際の運行と記録が一致しているか確認されます。

書類ごとに担当者や保存場所が分かれている会社では、通知を受けてから探し始めると確認に時間がかかります。まず、必要書類の全体像と保存状況を整理しましょう。

巡回指導で必要な書類一覧

巡回指導では、運行管理だけでなく、事業計画、車両管理、労務管理、法定福利、運輸安全マネジメントなど、営業所の管理状況が広く確認されます。

主な書類は次のとおりです。

確認分野主な書類
許可・事業計画許可書、認可申請書、変更届出書、営業所・車庫・休憩睡眠施設に関する書類
報告・帳票事業報告書、事業実績報告書、運転者台帳、車両台帳
運行管理者選任・解任届出書、資格者証、一般講習の受講記録、運行管理規程、運行管理者・補助者の勤務表
日常の運行点呼記録簿、乗務等の記録(運転日報)、運行記録計の記録、乗務割、運行指示書
運転者管理運転者台帳、運転免許証の確認資料、健康診断記録、適性診断受診記録、指導教育記録
車両管理整備管理規程、整備管理者選任届、研修受講記録、日常点検表、定期点検整備記録簿
労務管理就業規則、36協定、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿・勤怠記録、拘束時間管理表
社会保険等労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金保険への加入を確認できる書類
安全管理安全方針、安全目標、取組計画、実施結果、社内掲示や公表を確認できる資料

実際に準備を求められる書類や対象期間は、通知書、営業所の状況、前回の指導結果などによって異なります。

通知書に書かれた資料を優先し、不明な書類がある場合は、訪問日前に地方適正化事業実施機関へ確認してください。

点呼記録簿は巡回指導で見られる?記載ミスと注意点

点呼記録簿では、業務前・業務後・中間点呼を適切に行い、その結果を正確に記録しているか確認されます。

主な記録事項は次のとおりです。

  • 点呼を行った人の氏名
  • 運転者の氏名
  • 車両の登録番号または社内車番
  • 点呼日時
  • 点呼方法
  • アルコール検知器を使用したか
  • 酒気帯びの有無
  • 疾病、疲労、睡眠不足などの状況
  • 日常点検の状況
  • 運転者への指示事項
  • 業務後に報告を受けた運行状況
  • その他必要な事項

中間点呼では、点呼方法、酒気帯びの有無、健康状態、指示事項などを記録します。

点呼記録は1年間保存しなければなりません。

巡回指導で問題になりやすいのは、記入漏れだけではありません。次のような食い違いにも注意が必要です。

  • 運転日報の出庫時刻より後に業務前点呼をした記録になっている
  • 運行管理者が勤務していない時間に、その管理者が点呼をした記録になっている
  • 電話などで点呼したのに、点呼方法が対面になっている
  • 点呼執行者名や車両番号が空欄になっている
  • アルコール検知器の使用結果が記録されていない
  • 2泊3日以上の運行で必要となる中間点呼の記録がない

点呼の実施時間は、運転日報、デジタルタコグラフ、出勤簿、運行管理者の勤務表などと照合してください。

運転日報は巡回指導で確認される?保存期間と記載ポイント

一般に運転日報と呼ばれる書類の法令上の位置付けは、乗務等の記録または業務の記録です。

運転者ごとに作成し、1年間保存します。

主な記録事項は次のとおりです。

  • 運転者の氏名
  • 使用した車両の登録番号または社内車番
  • 業務を開始・終了した地点と日時
  • 主な経過地点
  • 業務に従事した距離
  • 運転者を交替した地点と日時
  • 休憩・睡眠を取った地点と日時
  • 一定の大型車に乗務した場合の貨物の積載状況
  • 荷待ちが発生した場合の日時、場所、荷主を特定できる情報
  • 荷役作業や附帯業務を行った場合の日時、場所、内容
  • 事故、著しい遅延、その他異常が発生した場合の概要と原因
  • 運行途中で運行指示書が必要になった場合の指示内容

すべての運行について、荷待ち時間や荷役作業を必ず記録するという意味ではありません。法令上の記録対象に該当する場合に、必要な内容を残します。

巡回指導前には、次の書類を同じ日付で並べて確認すると食い違いを見つけやすくなります。

確認する書類照合する内容
点呼記録簿点呼時刻が出庫前・帰庫後になっているか
運転日報業務開始・終了、休憩、走行距離
運行記録計運転時間、速度、走行・停止時間
出勤簿・勤怠記録始業・終業時刻、休日、時間外労働
運行指示書運行経路、予定時刻、休憩場所、点呼方法

運転日報だけを見て形式が整っていても、他の記録と時刻が合わなければ、実際の運行状況を確認されます。

乗務員台帳は巡回指導で重要?整備しておくべき内容

一般に「乗務員台帳」と呼ばれることがありますが、現在の貨物自動車運送事業輸送安全規則では「運転者等台帳」という名称が使われています。運転者台帳と呼ばれることもあります。

台帳は運転者ごとに作成し、その運転者が所属する営業所へ備え付けます。

主な記載事項は次のとおりです。

  • 作成番号と作成年月日
  • 事業者名
  • 氏名、生年月日、住所
  • 雇入れ年月日
  • 運転者に選任された年月日
  • 運転免許証の番号、有効期限、取得年月日、種類、条件
  • 事故を引き起こした場合の概要
  • 道路交通法に基づく通知を受けた場合の概要
  • 健康状態
  • 特別な指導の実施状況
  • 適性診断の受診状況
  • 作成前6か月以内に撮影した写真

退職や配置転換などで運転者でなくなった場合は、その年月日と理由を記載し、運転者でなくなった日から3年間保存します。

巡回指導前には、現在在籍している運転者が全員登録されているか確認してください。

特に、新しく採用した運転者について、台帳の作成、免許証の有効期限、健康診断、初任運転者への指導、適性診断の状況が別々に管理されていると、記載漏れが起きやすくなります。

退職者の台帳をすぐに廃棄することもできません。在籍者と退職者を分け、保存期限が分かるように管理します。

運行指示書はどんなときに必要?巡回指導での確認ポイント

運行指示書は、すべての日帰り運行で作成する書類ではありません。

業務前と業務後の点呼を、いずれも対面で行うことができない運行など、法令で定める運行について作成します。一般的には、2泊3日以上の運行が代表例です。

運行指示書は正本と写しを作成し、正本を運転者に携行させ、写しを営業所に備えます。

主な記載事項は次のとおりです。

  • 運行の開始・終了地点と日時
  • 運転者の氏名
  • 運行経路
  • 主な経過地点の発着日時
  • 運行中に注意する地点
  • 休憩地点と休憩時間
  • 睡眠を取る地点と時間
  • 運行中に行う点呼の場所
  • 運行中の点呼方法
  • その他、安全運行に必要な事項

運行計画を変更した場合は、営業所の写しと運転者が携行する運行指示書の双方へ、変更内容や指示を行った日時などを記録します。

運行指示書とその写しは、運行終了日から1年間保存します。

巡回指導では、運行指示書だけでなく、点呼記録簿、運転日報、運行記録計の記録を照合します。運行日、経路、休憩、点呼の記録がつながっているか確認してください。

運行管理者が巡回指導前に確認すべき書類と管理ポイント

運行管理者に関しては、資格者証を持っているかだけではなく、必要な人数を選任し、届出を行い、実際に運行管理業務を担当しているか確認されます。

主な確認書類は次のとおりです。

  • 運行管理者資格者証
  • 運行管理者の選任・解任届出書
  • 一般講習・基礎講習の受講を確認できる書類
  • 運行管理者と補助者の勤務表
  • 補助者を選任している場合の選任記録
  • 補助者へ行った教育の記録
  • 乗務割・勤務割
  • 運行管理者の業務記録
  • 運行管理規程
  • 運行管理者不在時の連絡・指示体制を確認できる資料

選任届が提出されていても、記載された運行管理者が退職している、別の営業所で勤務している、点呼時間に勤務していないといった状態では、届出と実態が一致していません。

運行管理者や補助者の勤務表と点呼記録簿を照合し、点呼を行った人がその時間に勤務していたことを確認します。

運行管理規程は整備できている?巡回指導前の確認ポイント

運行管理規程は、運行管理者の職務や権限、点呼、乗務割、運転者への指導など、社内の運行管理方法を定める書類です。

ひな形を保存しているだけではなく、現在の営業所の運用に合っている必要があります。

次の点を確認してください。

  • 現在の法令に対応した規程になっているか
  • 運行管理者と補助者の役割が決められているか
  • 業務前・業務後・中間点呼の方法が定められているか
  • 対面以外の点呼を実施する場合、その方法が規程に反映されているか
  • アルコール検知器の管理方法が定められているか
  • 運行指示書の作成、指示、携行、保存方法が定められているか
  • 事故や異常が発生した場合の報告体制が決められているか
  • 運転者への指導・監督方法が定められているか
  • 規程の内容を運行管理者や補助者が把握しているか

愛知県トラック協会では、2025年4月改訂版の運行管理規程例が公開されています。

古い規程を使用している会社や、点呼方法を変更した会社は、現在の運用と規程に食い違いがないか確認してください。

書類が不足している場合にしてはいけないこと

巡回指導前の確認で、記録の未作成や記載漏れが見つかることがあります。

この場合、実施していない点呼や教育を、過去に実施したように作成してはいけません。運行記録計や勤怠記録と照合すれば、実態との食い違いが判明する可能性があります。

不足が見つかった場合は、次の順に整理します。

  1. 別の営業所、本社、外部倉庫、パソコン内に記録が残っていないか確認する
  2. 実施済みで記録だけが不足しているのか、実施自体がないのかを分ける
  3. 保存期間内の資料が廃棄されていないか確認する
  4. 現在から改善できる運用を決める
  5. 指摘を受けた場合に説明できるよう、原因と改善内容を整理する

点呼記録簿、運転日報、運行記録計、勤怠記録を日付順に並べると、欠落や時刻の食い違いを確認しやすくなります。

よくある質問

Q
巡回指導では何か月分の書類を準備しますか?
A

一律に同じ期間が指定されるとは限りません。通知書に記載された対象期間を確認してください。保存期間内の帳票について、追加提示を求められる場合もあるため、通知書に書かれた期間以外の保存状況も整理しておきます。

Q
点呼記録簿と運転日報は同じ時刻でなければなりませんか?
A

すべて同じ時刻になるわけではありません。ただし、業務前点呼は原則として出庫前、業務後点呼は帰庫後に行うため、時間の前後関係が不自然になっていないか確認してください。

Q
運転日報は手書きでなければなりませんか?
A

法定の記録事項を確認でき、必要な期間保存・提示できる方法で管理することが必要です。使用しているシステムが必要事項を記録できるか、修正履歴や保存方法を含めて確認してください。

Q
運転者台帳には免許証のコピーを貼れば足りますか?
A

免許証のコピーだけでは、運転者台帳に必要な事項をすべて確認できません。法定の記載事項と写真を備えた台帳を運転者ごとに作成し、免許更新後は有効期限などを更新してください。

Q
日帰り運行でも運行指示書は必要ですか?
A

通常の日帰り運行について、必ず運行指示書を作成するわけではありません。ただし、運行途中で2泊3日以上の運行に変更された場合などは、変更後の運行について運行指示書の作成と指示が必要になります。

Q
書類は本社にまとめて置いてもよいですか?
A

運転者台帳や日々の運行記録など、運行を管理する営業所で備え付け・保存することが求められる書類があります。対象営業所で速やかに提示できるよう、帳票ごとの保存場所を確認してください。

まとめ

巡回指導では、点呼記録簿、運転日報、運転者台帳、運行指示書など、運送会社の日常管理を確認する書類が幅広く見られます。

点呼記録簿、運転日報、運行記録計の記録、運行指示書は、原則として1年間の保存が必要です。運転者台帳は営業所に備え付け、運転者でなくなった後も3年間保存します。

準備では、書類を種類ごとに並べるだけでなく、同じ日付の点呼、運行、勤務、車両の記録を照合してください。

書類の不足や食い違いを見つけた場合は、過去の記録を実態と異なる内容で作り直さず、不足した原因と今後の改善方法を整理することが必要です。

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巡回指導前の書類と記録の食い違いを整理します

巡回指導の通知が届いてから、点呼記録簿、運転日報、運転者台帳などを短期間ですべて確認するのは、運行管理者や担当者にとって大きな負担になります。

いしかわ行政書士事務所では、通知書と現在の帳票を確認し、準備が必要な書類、保存期間、記載漏れ、変更届や報告書の提出状況を整理します。

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どの帳票から確認すればよいか分からない場合は、巡回指導の通知書、許可書、届出控え、現在使用している帳票をご用意のうえお問い合わせください。

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出典

e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業輸送安全規則」
国土交通省近畿運輸局「運行管理業務について」
国土交通省近畿運輸局「適正化実施機関の活動」
愛知県トラック協会「各種帳票類ダウンロード」
愛知県トラック協会「貨物自動車運送事業の改善事項及び総合評価について」

この記事は、2026年8月時点の法令および公的機関の案内をもとに作成しています。必要書類、確認対象期間、提出方法は、巡回指導の種類や営業所の状況によって異なる場合があります。

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