運送会社の許可後管理チェックリスト|変更届・報告書・車両管理を整理

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

「変更届は担当者が出しているはず」

「車両台帳と車検証はそろっていると思う」

運送会社では、配車や点呼、ドライバー対応が優先され、許可後の手続きや書類整理まで確認する時間を取りにくいことがあります。

しかし、一般貨物自動車運送事業には、変更前に認可・届出が必要な手続き、変更後に届け出る手続き、毎年提出する報告書があります。

車両台帳、点呼記録簿、運転日報など、営業所で継続して作成・保存する帳票も必要です。

すべてを一度に見直すのが難しい場合は、次の6項目に分けると整理しやすくなります。

  1. 営業所・車庫・役員などの変更
  2. 事業報告書・事業実績報告書
  3. 車両と車庫の管理
  4. 運行管理者・整備管理者
  5. 点呼・運転者・安全管理の記録
  6. 許可書・認可書・届出控えの保管

この記事では、運送会社が社内で使える許可後管理チェックリストと、年間の確認時期を整理します。

許可後管理は「変更があったとき」と「定期確認」に分ける

許可後管理には、毎日確認する項目、車両購入や役員変更が決まったときに確認する項目、毎年期限までに提出する項目があります。

すべてを一つの一覧にすると、期限のある手続きが日常業務の中に埋もれてしまいます。

まず、次の3つに分けて管理してください。

確認する時期主な項目管理方法
変更を決める前営業所・車庫の移転、増車、事業の譲渡など契約や車両購入を進める前に認可・届出の要否を確認する
変更した後会社名、住所、役員、運行管理者、整備管理者など実際の変更日と提出期限を記録する
定期的に確認報告書、点呼、車両台帳、教育、健康診断など月次・四半期・年次に分けて社内予定へ登録する

特に注意したいのは、変更後に行政書士や社内担当者へ連絡する流れです。

営業所や車庫など、事前の認可が必要な変更では、新しい場所を契約した後に相談すると、予定どおり使用できないことがあります。

トラックを購入する場合も、納車日だけで進めず、増車手続き、車庫の収容能力、事業用自動車等連絡書、自動車登録、保険、実際の稼働日までを確認します。

変更届・認可申請のチェックリスト

直近に次の変更がなかったか確認してください。

確認項目確認する資料注意点
営業所を移転・新設した認可書、賃貸借契約書、位置図、平面図使用を始める前に認可が必要となる変更がある
車庫を移転・追加・拡張した認可書、使用権原資料、図面、収容能力の計算増車届だけでは車庫不足を解消できない
車両を増車・減車・入れ替えた届出控え、車検証記録事項、事業用自動車等連絡書通常の事前届出か認可申請かを判定する
会社名や本店所在地が変わった登記事項証明書、変更届控え登記が終わっても運送業側の手続きが自動で完了するわけではない
代表者・役員が変わった株主総会議事録、登記事項証明書、変更届控え登記日と実際の就任・退任日を確認する
運行管理者が変わった選任・解任届控え、資格者証、講習記録営業所ごとの必要人数と補助者の体制も確認する
整備管理者が変わった選任・解任届控え、資格要件を示す資料選任前に資格要件を確認する
運賃・料金を変更した運賃料金設定変更届の控え荷主との契約変更だけで終わらせない
事業を譲渡・合併・分割する予定がある許可書、会社資料、契約案実行前の認可が必要となるため早い段階で確認する

許可後手続きは、すべて「変更してから届け出ればよい」わけではありません。

営業所・車庫の変更や一定の増車など、認可を受ける前、または届出をする前に変更を進めてはいけない手続きがあります。

反対に、役員変更など、変更後に届け出るものもあります。

手続き名だけで判断せず、次の3点を一組で確認します。

  • 何を変更するのか
  • 変更前と変更後のどちらで手続きするのか
  • 認可申請、事前届出、事後届出のどれに当たるのか

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報告書のチェックリスト

一般貨物自動車運送事業者が定期的に提出する主な報告書には、事業報告書と事業実績報告書があります。

報告書対象期間提出期限主な確認資料
事業報告書各社の毎事業年度事業年度終了後100日以内貸借対照表、損益計算書、事業概況、損益・人件費関係資料
事業実績報告書前年4月1日から当年3月31日毎年7月10日まで車両数、走行距離、輸送トン数などの輸送実績

次の項目を確認してください。

  • 直近の事業報告書を期限までに提出したか
  • 直近の事業実績報告書を7月10日までに提出したか
  • 提出した書類一式の控えが残っているか
  • 受付日、受付番号、電子申請結果などを確認できるか
  • 前年の報告書と比べて車両数や実績に不自然な差がないか
  • 決算資料と事業報告書の数値が一致しているか
  • 休車中の車両などを含め、車両数の集計方法を確認したか

税理士へ決算を依頼していても、運輸支局への報告書が自動的に提出されるわけではありません。

税理士、社内経理、運行担当者、行政書士のうち、誰が資料を集め、誰が報告書を作成し、誰が提出するのかを決めておきます。

「税理士に任せているはず」「前任者が出したと思う」という状態ではなく、受付済み控えまで確認できる状態が完了です。

車両・車庫・管理者のチェックリスト

車両管理では、車検切れや点検だけでなく、運送業の事業計画と実際の配置状況が一致しているかを確認します。

車両と車庫

  • 営業所別の車両一覧を作成しているか
  • 車両一覧と車検証記録事項の登録番号が一致しているか
  • 許可・届出上の配置台数と実際の車両数が一致しているか
  • 廃車、譲渡、リース返却済みの車両が一覧に残っていないか
  • 新しく購入した車両の増車手続きが済んでいるか
  • 営業所間で移動した車両の配置変更を確認したか
  • 車庫の収容能力を超えていないか
  • 認可を受けていない場所を常用の車庫としていないか
  • 車検、自賠責保険、任意保険の期限を一覧で管理しているか
  • 定期点検整備記録簿を車両ごとに確認できるか

車検証が電子化されている車両では、自動車検査証だけでなく、自動車検査証記録事項も確認できるようにします。

所有者と使用者が異なるローン・リース車両では、車検証情報だけでなく、契約期間、返却予定、入替予定も管理してください。

運行管理者・整備管理者

  • 営業所ごとに必要な運行管理者を選任しているか
  • 車両数に応じた必要人数を満たしているか
  • 運行管理者の資格者証を確認できるか
  • 運行管理者の選任・解任届控えがあるか
  • 運行管理者講習の受講状況を管理しているか
  • 補助者の資格要件と担当できる業務を確認しているか
  • 整備管理者の資格要件を示す資料があるか
  • 整備管理者の選任・解任届控えがあるか
  • 整備管理者研修の受講状況を確認しているか
  • 退職者が管理者として届け出られたままになっていないか

管理者が退職する場合は、退職日が決まってから後任者を探すのではなく、営業所の管理体制を途切れさせないよう事前に後任候補を確認します。

点呼・運転者・安全管理のチェックリスト

許可書や変更届がそろっていても、日々の運行管理記録が不足していれば、許可後管理ができているとはいえません。

点呼と運行記録

  • 業務前・業務後点呼を適切に実施しているか
  • 必要な運行では中間点呼を実施しているか
  • 点呼を行った者と運転者の氏名を記録しているか
  • 点呼日時、車両番号、点呼方法を記録しているか
  • 酒気帯び、疾病、疲労、睡眠不足などの確認結果があるか
  • アルコール検知器の使用結果を記録しているか
  • 日常点検の確認結果や必要な指示を記録しているか
  • 電話・IT機器など対面以外の方法を使った理由と具体的方法が分かるか
  • 点呼記録を1年間保存しているか
  • 運転日報と点呼記録の運転者・車両・日時が一致しているか
  • 乗務の途中で運行計画を変更した場合の記録があるか
  • 必要な運行について運行指示書を作成・携行・保存しているか

点呼簿に枠があるだけでは、点呼を適切に実施した証明にはなりません。

空欄、毎日同じ時刻、アルコール検知器使用欄の記載漏れ、運転日報との時刻の不一致などがないか、実際の記録内容を確認します。

運転者と安全管理

  • 運転者ごとの運転者台帳があるか
  • 運転者でなくなった人の台帳も所定期間保存しているか
  • 初任運転者、高齢運転者、事故惹起運転者を把握しているか
  • 対象者へ必要な指導を実施した記録があるか
  • 適性診断の受診状況を確認できるか
  • 一般運転者への年間教育を計画的に実施しているか
  • 教育内容だけでなく、実施日、参加者、使用資料を保存しているか
  • 健康診断の受診状況と未受診者を管理しているか
  • 事故が発生した場合の事故記録を作成しているか
  • 事故原因と再発防止策まで記録しているか
  • 自動車事故報告規則上の報告対象に該当するか確認しているか
  • 苦情の内容、対応、再発防止策を記録しているか

事故記録は、事故報告書の提出が必要となる重大事故だけを対象とするものではありません。

事故が発生した場合は、報告対象かどうかを確認するとともに、社内の事故記録を作成して営業所で保存します。

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運送会社が許可後に保管しておきたい書類とは?許可書・届出控えの管理ポイント

許可後の書類は、「運輸支局へ提出した書類」と「営業所で日常的に作成する帳票」を分けて保管します。

主に次の資料を確認してください。

区分主な書類
許可・認可関係経営許可書、事業計画変更認可書、譲渡譲受・合併などの認可書
変更届関係増減車届、役員変更届、運賃料金届、管理者関係の届出控え
営業所・車庫関係賃貸借契約書、使用承諾書、位置図、平面図、写真、収容能力の計算資料
車両関係車両台帳、車検証記録事項、自賠責保険、任意保険、点検整備記録簿
管理者関係運行管理者・整備管理者の選任届、資格資料、講習・研修記録
運転者関係運転者台帳、教育記録、適性診断、健康診断、事故・違反関係資料
運行関係点呼記録簿、運転日報、運行指示書、運行記録計の記録
定期報告関係事業報告書、事業実績報告書、提出済みと分かる控え
指導関係巡回指導結果、指摘事項、改善報告書、改善後の資料

書類を一つのファイルへ詰め込むと、必要なときに探せません。

次のように分類すると、担当者が交代しても確認しやすくなります。

  • 永続的に確認する許可書・認可書
  • 年度ごとに更新する報告書・教育記録
  • 車両ごとに管理する車検・保険・整備資料
  • 運転者ごとに管理する台帳・診断・教育資料
  • 変更案件ごとに管理する申請書・届出書・添付資料

紙で保管する場合も、受付済み控えをスキャンして電子データを残しておくと、担当者交代や外部への相談時に確認しやすくなります。

ファイル名には、手続き名だけでなく、営業所名、変更内容、提出日を入れてください。

例として「増車届」だけでなく、「2026年8月5日_本社営業所_2台増車_受付済み」のように保存すると、後から検索できます。

運送業許可後に社内で確認したい年間スケジュール|報告書・変更届・帳票管理

許可後管理は、提出期限だけをカレンダーへ登録しても間に合わないことがあります。

期限に加え、資料の収集開始日と社内確認日も予定へ入れます。

確認時期主な確認内容
毎日点呼、アルコール確認、日常点検、運転日報、運行指示
毎月車検・保険期限、健康診断未受診者、教育実施状況、管理者の勤務状況
3か月ごと許可・届出台帳と実際の営業所、車庫、車両、役員、管理者を照合
4月以降前年度の事業実績を集計し、7月10日提出へ向けて準備
決算後事業報告書に必要な決算書、損益、人件費資料を収集
事業年度終了後100日以内事業報告書を提出
毎年7月10日まで事業実績報告書を提出
年1回運転者教育、健康管理、帳票保存状況、許可書・届出控えを総点検
変更の話が出たとき営業所、車庫、車両、役員、管理者などの手続き要否を確認
担当者交代時未処理案件、次の提出期限、書類の保管場所を引き継ぐ

会社の決算月によって、事業報告書の提出時期は異なります。

例えば3月決算の会社では、事業報告書と事業実績報告書の準備時期が重なりやすくなります。

経理担当者は決算資料、運行担当者は輸送実績、車両担当者は車両一覧を持っていることがあります。提出担当者だけで集めようとせず、誰がどの資料を渡すかまで年間予定へ入れてください。

変更届は毎年決まった時期に発生するものではありません。

そのため、車両購入、車庫契約、役員変更、管理者の退職などが決まった段階で、許可後手続きの担当者へ連絡する社内ルールを作ります。

許可後管理を社内で続けるための方法

チェックリストは、一度確認して終わりではありません。

次の項目をまとめた許可後手続き台帳を作ると、手続きの途中経過まで把握できます。

管理項目記載する内容
変更・手続きの内容増車、車庫変更、役員変更、報告書など
対象営業所本社営業所、支店営業所など
変更予定日・実施日契約日、登録日、就任日、退任日など
必要な手続き認可申請、事前届出、事後届出、報告
提出期限法定期限または社内期限
担当者資料収集、書類作成、提出、完了確認の担当
進行状況未着手、資料収集中、提出済み、完了
提出記録提出日、受付番号、受付済み控えの保存場所
関連手続き登記、自動車登録、保険、社内人事など
次回確認日補正、登録、更新、次年度報告など

一覧には提出済みの案件だけでなく、検討中、資料待ち、運輸支局へ確認中の案件も記載します。

担当者が休職・退職しても、現在どこまで進んでいるか分かる状態にすることが目的です。

許可後管理を外部へ依頼する場合も、社内から変更情報が届かなければ手続きできません。

「車両を購入する」「車庫を借りる」「管理者が退職する」という話が出た段階で、社内担当者または依頼先へ共有する流れを決めてください。

許可後管理に不安がある運送会社の方へ

チェックリストに不明な項目がある場合、書類を急いで作る前に、許可上の内容と現在の会社の状態を照合する必要があります。

いしかわ行政書士事務所では、許可書、認可書、届出控え、車両一覧、登記事項証明書、報告書などを確認し、現在の営業所・車庫・車両・役員・管理者と一致しているかを整理します。

社長・担当者が古い資料を一つずつ探し、運輸支局へ何度も確認し直す負担を減らせるよう、未処理の手続きと今後の確認時期をご案内します。

碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、三河地域・愛知県内の運送会社からのご相談に対応しています。

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よくある質問

Q
チェックリストのすべてに該当しなければ問題ありませんか?
A

会社の営業所数、車両数、運行内容によって必要な帳票や手続きは異なります。すべての項目が一律に必要という意味ではありません。自社に該当する項目について、手続き済みであることと記録を確認できることが必要です。

Q
許可書が見つかりません。再発行できますか?
A

許可書と同じ書面がそのまま再発行されるとは限りません。まず、社内の保管場所、過去の行政書士への依頼記録、担当者のメールなどを確認します。必要に応じて、管轄の運輸支局へ事業証明願いなどの対応を確認してください。

Q
届出書を提出しましたが、受付済み控えがありません。
A

控えがないだけで未提出とは断定できません。電子申請履歴、郵送記録、メール、行政書士との連絡記録を確認します。提出を確認できない場合は、管轄の運輸支局へ相談してください。

Q
車両台帳はExcelで管理してもよいですか?
A

必要な情報を確認でき、適切に保存・出力できる状態であれば、電子データによる管理が可能な記録があります。ただし、車検証記録事項、保険、点検整備記録簿など、関連資料まで確認できるようにしてください。

Q
事業報告書と事業実績報告書は同じ時期に提出しますか?
A

提出期限は異なります。事業報告書は各社の事業年度終了後100日以内、事業実績報告書は毎年7月10日までです。3月決算の会社では準備時期が重なりやすいため、別々の期限として管理してください。

Q
巡回指導の連絡が来てから書類を整理しても間に合いますか?
A

書類が存在し、整理だけができていない場合と、点呼や教育自体を実施していない場合では状況が異なります。後から帳票を作成して、実施していない業務を実施したように見せることはできません。日頃から記録と保存を続けてください。

Q
許可後管理は年1回確認すれば十分ですか?
A

報告書や書類保管の総点検は年1回でも役立ちますが、変更手続きは車両購入、車庫契約、役員変更などが決まった時点で確認する必要があります。点呼や運転日報などは日々の作成が必要です。

まとめ

運送会社の許可後管理は、変更届、報告書、車両管理だけを確認すれば終わるものではありません。

次の6項目に分けて確認すると、未処理や書類不足を見つけやすくなります。

  • 営業所・車庫・役員などの変更手続き
  • 事業報告書・事業実績報告書
  • 車両台帳と車庫の収容状況
  • 運行管理者・整備管理者の選任状況
  • 点呼・運転者教育・事故などの安全管理記録
  • 許可書・認可書・届出控えの保管

変更手続きは、変更前に認可・届出が必要なものと、変更後に届け出るものがあります。

車両購入や車庫契約を終えてから確認するのではなく、変更の話が出た段階で手続きの要否を確認してください。

定期報告は、事業報告書が事業年度終了後100日以内、事業実績報告書が毎年7月10日までです。

日常帳票、変更案件、定期報告を別々に管理し、提出日、受付番号、控えの保存場所まで確認できる状態にすることが、許可後管理の基本です。

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出典

中部運輸局「様式(申請・届出・報告)|貨物自動車運送事業(緑ナンバー)」
関東運輸局「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」
全日本トラック協会「適正化事業の概要」
国土交通省「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」

この記事は、2026年8月時点の貨物自動車運送事業法、貨物自動車運送事業輸送安全規則、貨物自動車運送事業報告規則、中部運輸局の申請・届出・報告様式、適正化事業の案内をもとに作成しています。手続き区分、提出方法、帳票の記載事項や保存方法などが変更された場合は、記事内容を見直してください。

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