
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
「車検が切れたまま何年も置いてある車を処分したい」
「故障して動かなくなった車を廃車にしたい」
このような場合でも、廃車手続きはできます。
車検が切れていることや、車が動かないこと自体を理由に、抹消登録ができなくなるわけではありません。
ただし、車検切れの車はそのまま公道を走らせることができません。また、故障車は車両の状態によって自走そのものが難しいため、通常の車とは違って「車をどうやって移動させるか」も考える必要があります。
最初に確認するのは次の4点です。
- 普通自動車か軽自動車か
- 車検が切れているだけか、故障して動かないのか
- 車を残すのか、解体するのか
- 車検証上の所有者は誰か
この4点を確認すると、一時抹消・永久抹消など、どの手続きを選ぶべきか判断しやすくなります。
車検切れの車でも廃車手続きはできる
車検が切れているからといって、廃車手続きのために車検を取り直す必要はありません。
普通自動車であれば、
- 車を残して使用を止める → 一時抹消登録
- 車を解体して今後使用しない → 永久抹消登録
という選択肢があります。
国土交通省も、車の使用を一時的に中止する一時抹消登録と、解体した車について行う永久抹消登録をそれぞれ案内しています。
例えば、車検が切れているものの、
「修理すればまだ乗れる」
「将来売却するかもしれない」
「しばらく保管しておきたい」
という場合は、一時抹消を検討できます。
一方、
「もう修理しない」
「車を解体することが決まっている」
のであれば、永久抹消を検討します。
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車検切れの車はそのまま公道を走らせない
車検切れの車を廃車にする際に注意したいのが、車の移動です。
車検証の有効期間が切れている車は、そのまま公道を運行できません。
「廃車業者まで数キロだから」
「運輸支局まで持っていくだけだから」
という理由で通常のナンバーのまま自走させることは避けてください。
市町村には「自動車臨時運行許可」、いわゆる仮ナンバーの制度がありますが、これは車検切れの車を自由に移動させる制度ではありません。
碧南市では、新規登録・新規検査・車検切れの継続検査などのために運輸支局等まで運行する場合など、運行目的・期間・経路を限定して臨時運行許可を行っています。
近畿運輸局も、車検切れ車を単に試乗するなどの目的では臨時運行許可を利用できないと注意喚起しています。
したがって、解体・処分のために車を移動させる場合は、引取業者や廃車業者へ搬送方法を確認する方が確実です。
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故障車を廃車にするときは「修理するか、解体するか」を先に決める
故障車の場合は、「動かない=永久抹消」とは限りません。
例えば、
- バッテリー上がり
- タイヤのパンク
- エンジン故障
- 電装系の故障
など、故障の内容によっては修理して再使用できる場合があります。
そのため、最初に、
「修理して再び使う可能性があるか」
「売却できる可能性があるか」
「解体することが決まっているか」
を整理します。
修理・売却の可能性を残す場合
車を解体しないのであれば、一時抹消を選択肢にできます。
一時抹消後も車体そのものは残ります。
将来再び使用する場合には、中古新規登録などの手続きを行うことになります。
解体することが決まっている場合
修理や売却をせず、使用済自動車として解体するのであれば永久抹消を検討します。
永久抹消登録は、解体業者へ車を渡しただけでは申請できません。
解体報告記録がなされた後に申請する手続きで、解体報告記録日や移動報告番号などが必要になります。
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車検切れ・故障車を永久抹消する流れ
普通自動車を解体して永久抹消する場合は、おおむね次の順番で進めます。
- 車検証上の所有者を確認する
- 解体することを決める
- 引取業者へ車を引き渡す
- 車を解体してもらう
- 解体報告を確認する
- 移動報告番号などを確認する
- 永久抹消登録を行う
- 条件を満たす場合は自動車重量税の還付も同時に申請する
車が動かない場合でも、登録手続きそのもののために車両本体を運輸支局まで持ち込むわけではありません。
そのため、
「故障して運輸支局まで車を動かせないから廃車できない」
ということではありません。
重要なのは、車を適切に引取・解体してもらい、その後に必要な登録手続きを完了させることです。
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一時抹消してから後で解体することもできる
車検切れの車について、
「もう乗らないが、今すぐ解体するかは決めていない」
という場合もあります。
この場合、一度一時抹消登録を行い、後から解体する方法があります。
すでに一時抹消した普通自動車をその後解体した場合は、永久抹消登録ではなく「解体届出」を行います。
国土交通省の運輸局でも、一時抹消済みの車を解体した場合は解体届出を行うことが案内されています。
したがって、
「車検切れだからすぐ永久抹消」
ではなく、
- 車を残す → 一時抹消
- 解体する → 永久抹消
- 一時抹消後に解体 → 解体届出
と分けて考えます。
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関東運輸局|OCRシート申請書記載例(一時抹消後の解体届出を含む)
軽自動車の車検切れ・故障車を廃車にする場合
軽自動車は、普通自動車とは手続きの名称が異なります。
| 車の状態 | 軽自動車の手続き |
|---|---|
| 車を残して使用を止める | 自動車検査証返納届(一時使用中止) |
| 車を解体する | 解体返納 |
| 一時使用中止後に解体する | 解体届出 |
軽自動車検査協会では、2026年4月現在、廃車関係の手続きとしてこれらをそれぞれ案内しています。
車を残す場合
自動車検査証返納届(一時使用中止)を行います。
主な必要書類として、
- 車検証
- ナンバープレート
- 自動車検査証返納証明書交付申請書・自動車検査証返納届出書
などが案内されています。
解体する場合
解体返納を行います。
軽自動車検査協会では、
- 車検証
- 移動報告番号
- ナンバープレート
- 解体届出書
などを案内しています。
すでに一時使用中止をしてから解体した場合は、解体届出を行います。
公式資料
車検切れの車を売却する場合は名義変更にも注意する
車検切れだからといって、必ず解体する必要はありません。
中古車として売却できる場合もあります。
ただし、普通自動車では車検切れの状態で通常の移転登録をそのまま行えないケースがあります。
東北運輸局も、車検切れの自動車について通常の名義変更ができない旨を案内しています。
そのため、
「車検が切れている」
「廃車にするか売却するかまだ決めていない」
という場合は、先に解体してしまうのではなく、買取可能性も含めて処分方法を決めてから登録手続きを選ぶ方がよいでしょう。
一度解体してしまえば、中古車として売却する選択肢には戻せません。
故障車でも「値段が付かない」とは限らない
動かない車だからといって、必ず価値がゼロになるわけではありません。
中古車として再使用できなくても、
- 修理前提
- 部品利用
- 車種や年式による需要
などによって、買取対象になる場合があります。
検索上位でも、車検切れ・不動車について「廃車だけでなく買取も比較する」という内容が多く見られます。
そのため、事故などで明らかに解体することが決まっている場合を除き、
「動かないからすぐ解体」
と決める前に、売却できる可能性を確認する方法もあります。
ただし、査定額や買取条件は車両ごとに異なるため、この記事では具体的な価格までは扱いません。
車検切れなら自動車重量税の還付はない?
自動車重量税の廃車還付制度は、車を適正に解体し、一定の条件を満たした場合に利用できます。
国税庁によると、主な条件は、
- 解体を理由とした永久抹消登録または解体届出と同時に還付申請する
- 車検残存期間が1か月以上ある
ことです。
したがって、すでに車検が完全に切れている車については、通常この「車検残存期間」に基づく重量税還付は発生しません。
反対に、故障したため廃車にするものの車検期間がまだ残っている場合は、残存期間が1か月以上あるか確認してください。
永久抹消などを終えてから、
「重量税の還付申請を忘れた」
と気付かないよう、解体前から確認しておくことが大切です。
公式資料
普通自動車は抹消すると自動車税が還付される場合がある
愛知県では、普通自動車について抹消登録をした場合、登録抹消した月の翌月以降の自動車税(種別割)が月割りで還付されます。
重要なのは、
「車を解体した日」
「買取業者へ渡した日」
ではなく、登録抹消手続きが行われたかどうかです。
愛知県も、売却や解体で車を手放しただけでは自動車税の還付は発生せず、登録抹消が必要と案内しています。
車検切れ・故障車を業者へ引き渡す場合は、
「車を持っていってもらったから終わり」
ではなく、抹消登録まで完了したか確認してください。
公式資料
具体例|車検切れで2年間動かしていない普通車
2年前に車検が切れ、そのまま自宅で保管している普通自動車があるとします。
バッテリーも上がっており、現在は自走できません。
この場合、まず、
- 車検証上の所有者を確認する
- 修理して再び使用するか考える
- 売却できる可能性を確認する
- 車を残すなら一時抹消を検討する
- 解体するなら引取業者へ搬送方法を確認する
- 解体報告後に永久抹消登録を行う
という順番で判断できます。
車検が切れているため、「廃車手続きのため」と通常のナンバーのまま公道を自走させることはできません。
また、すでに車検が2年前に切れているのであれば、車検残存期間を前提とする自動車重量税の廃車還付は通常問題になりません。
一方で、自動車税(種別割)については、登録が残っている状態と抹消後では扱いが変わるため、抹消登録を実際に完了させることが重要です。
具体例|故障したが車検が10か月残っている場合
エンジンが故障し、修理費を考えて解体することにした普通自動車があるとします。
車検はまだ10か月残っています。
この場合は、
- 車検証上の所有者を確認する
- 本当に修理・売却しないか最終確認する
- 引取業者へ車を渡す
- 解体報告を確認する
- 永久抹消登録を行う
- 自動車重量税の還付申請も同時に行う
という流れを確認します。
国税庁の廃車還付制度では、適正に解体され、車検残存期間が1か月以上ある場合に、残存期間に応じた重量税が還付されます。
同じ故障車でも、車検が切れているか、まだ残っているかで税金の確認事項も変わります。
車検切れ・故障車を廃車にする前に確認したい7項目
手続きを始める前に、次の7項目を確認してください。
- 普通自動車か軽自動車か
- 車検はいつ切れたか、またはあと何か月残っているか
- 現在自走できる状態か
- 修理して再使用する可能性があるか
- 売却できる可能性があるか
- 解体することが決まっているか
- 車検証上の所有者は誰か
この7項目が分かれば、
- 一時抹消
- 永久抹消
- 解体届出
- 売却
- 修理して再使用
のどの方向へ進むか判断しやすくなります。
「車検切れだから廃車」「故障したから解体」と最初から決めず、車を最終的にどうするかから逆算してください。
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車検切れ・故障車の廃車手続きで迷ったらご相談ください
車検切れ・故障車でも廃車手続きはできます。
ただし、
- 車を残すのか解体するのか
- 車検が切れているのか、まだ残っているのか
- 普通自動車か軽自動車か
- 所有者が本人か販売店・信販会社か
- 自動車重量税の還付対象になるか
によって必要な手続きが変わります。
また、車検切れや故障で自走できない車では、車をどう移動させるかも考える必要があります。
いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、自動車の一時抹消・永久抹消などの登録手続きをサポートしています。
車検証や車の状態を確認しながら、売却・一時抹消・永久抹消のどれを選ぶべきかから整理します。
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出典
この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
国土交通省「抹消登録」、国土交通省「車の使用を一時中止するためには」、東北運輸局「名義変更」、東北運輸局「永久抹消登録」、軽自動車検査協会「廃車(返納・解体届出)」、碧南市「自動車臨時運行許可」、国税庁「使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度」、愛知県「自動車税(種別割)還付金のお知らせが届いた方へ」
