この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
すでに登録電気工事業者として営業していて、その後に建設業許可を取得すると、
「今の電気工事業登録はそのまま使える?」
「みなし登録へ変更届を出せばいい?」
「建設業許可を取ったから電気工事業の登録はもう不要?」
と迷うことがあります。
結論からいうと、引き続き電気工事業を営むなら、みなし登録電気工事業者への手続が必要です。
ただし、正確には、
今の登録をそのまま“みなし登録へ変更する”わけではありません。
登録電気工事業者が建設業許可を受けて「建設業者」となった時点で、それまでの電気工事業登録は法律上その効力を失います。
愛知県では、その後、
登録電気工事業者の廃止手続
↓
登録証の返納
↓
みなし登録電気工事業者として電気工事業開始届出
という手続を行います。
つまり、
建設業許可を取ったから何もしなくていい
でも、
今までの5年登録をそのまま使い続ける
でもありません。
建設業許可を取った時点で今の電気工事業登録はどうなる?
電気工事業法では、登録電気工事業者が建設業法上の「建設業者」となった場合、それまで受けていた電気工事業の登録は効力を失うと定められています。
ここが今回の一番重要なところです。
たとえば、
2026年4月1日
登録電気工事業者として営業
2026年8月1日
建設業許可を取得
となった場合、
「電気工事業登録の有効期限が2029年まで残っているから、そのまま2029年まで使う」
とはなりません。
建設業者になったことで、登録電気工事業者としての登録制度から外れます。
その後は、建設業者として電気工事業を営むためのみなし登録制度へ移ります。
「みなし登録への切替」と呼ぶが、実際は変更届ではない
実務では、
「みなし登録への切替」
と呼ばれることがあります。
ただし手続の中身は、
既存登録の登録事項変更届
ではありません。
愛知県では、
登録電気工事業者としての廃止届
と
みなし登録電気工事業者としての開始届
を行います。
つまり、
登録A
↓変更
みなし登録A
というより、
登録電気工事業者としての扱い終了
↓
建設業者として電気工事業を営む届出
という流れです。
この違いを理解しておくと、
「登録番号はそのまま?」
「5年後に更新する?」
といった疑問も整理しやすくなります。
電気工事業の建設業許可を取ったときだけ必要?
ここは特に注意が必要です。
みなし登録へ移るきっかけは、電気工事業の建設業許可だけではありません。
愛知県では、開始届出の条件について、
建設業許可を取得していること。種別は問わず、電気工事業以外も含む
としています。
法律上も、登録電気工事業者が建設業法上の「建設業者」となったときに登録が失効する仕組みです。
たとえば、
電気工事業登録を持っている会社が、
管工事業の建設業許可を取得した。
建築工事業の建設業許可を取得した。
とび・土工工事業の建設業許可を取得した。
という場合でも確認が必要です。
「電気工事業の建設業許可を取ったときだけ」と考えないことが重要です。
建設業許可を取れば電気工事業の手続自体が不要になる?
不要にはなりません。
建設業許可と電気工事業法は目的が違います。
建設業許可では、建設工事を請け負う事業者について、
経営業務の管理体制
営業所技術者等
財産的基礎
誠実性
などを確認します。
一方、電気工事業法では、
主任電気工事士
電気工事に必要な器具
電気工事士による施工
帳簿
標識
など、電気工事の保安確保に必要な規制があります。
そのため、
建設業許可を取ったから電気工事業法から外れる
のではありません。
登録制度の代わりに、
みなし登録電気工事業者として電気工事業法の規制を受ける
ことになります。
みなし登録の開始届はいつ出す?
電気工事業法では、建設業者が電気工事業を開始したときは、
遅滞なく
開始届を提出することになっています。
「30日以内」などの一律の日数が条文で決められているわけではありません。
すでに登録電気工事業者として営業していて、建設業許可取得後もそのまま電気工事業を続ける場合は、
建設業許可取得後、速やかに切替手続を進める
と考えた方がよいでしょう。
建設業許可が出た後も、
「旧登録の有効期限が残っているから大丈夫」
として放置しないことが重要です。
愛知県では何を提出する?
愛知県で登録電気工事業者からみなし登録電気工事業者へ移る場合は、大きく2つの手続があります。
登録電気工事業者側
- 電気工事業廃止届出書
- 登録電気工事業者登録証の返納
みなし登録側
- 電気工事業開始届出書
- 誓約書
- 主任電気工事士関係書類
- 電気工事士免状の写し
- 必要に応じた実務経験証明書
- 電気工事業者カード
- 建設業許可書のコピー
- 法人・個人に応じた本人確認・登記関係資料
などです。
営業所が複数ある場合には、営業所ごとに主任電気工事士関係等の資料が必要になる場合があります。
主任電気工事士はそのまま引き継げる?
もともと登録電気工事業者として営業しているなら、すでに主任電気工事士を置いているケースが多いでしょう。
みなし登録になっても、一般用電気工作物等に係る電気工事業を営む場合には、営業所ごとに主任電気工事士が必要です。
そのため、
「建設業許可を取ったから主任電気工事士は不要」
にはなりません。
第一種電気工事士であればその資格を確認し、第二種電気工事士を主任電気工事士にする場合には、原則として免状取得後3年以上の所定の実務経験が必要です。
つまり、
建設業許可取得によって電気工事業の保安要件が軽くなるわけではない
ということです。
登録時の5年更新はどうなる?
登録電気工事業者には、登録の有効期間が5年あり、引き続き営業する場合は更新登録が必要です。
しかし、みなし登録電気工事業者へ移った後は、
登録電気工事業者としての5年更新を続けるわけではありません。
建設業許可を基礎にした届出制度になるためです。
ただし、
「更新手続が一切なくなる」
と考えると別の見落としが起きます。
建設業許可を更新したら電気工事業側も届出が必要
みなし登録電気工事業者が建設業許可を更新した場合は、
電気工事業に係る変更届出
が必要です。
愛知県も、建設業許可を更新した場合には、その都度、遅滞なく変更届と建設業許可書の写しを提出するよう案内しています。
つまり、
登録電気工事業者
→ 5年ごとの電気工事業更新登録
から、
みなし登録電気工事業者
→ 建設業許可更新時に電気工事業側の変更届
へ管理方法が変わります。
ここまでセットで考えた方がよいでしょう。
建設業許可が期限切れになったらどうなる?
ここも重要です。
みなし登録電気工事業者は、
建設業者であること
を前提にした制度です。
そのため、建設業許可が期限切れになれば、みなし登録電気工事業者としての効力も失います。
その状態で、
「電気工事業の届出受理証は持っているから営業できる」
とはなりません。
引き続き電気工事業を行うには、
新たに建設業許可を受けて再度みなし登録の開始届を行う。
または、
建設業許可を持たない登録電気工事業者として新規登録する。
といった対応が必要になります。
建設業許可を取り直したら変更届ではない
建設業許可を通常どおり更新した場合は、
みなし登録電気工事業者の変更届
です。
一方、
更新せず一度期限切れになった。
個人から法人化して新しい建設業許可を取り直した。
など、建設業許可を新しく取り直した場合には扱いが変わります。
愛知県では、
従前のみなし登録電気工事業の廃止届
↓
改めて電気工事業開始届
を行うよう案内しています。
建設業許可の「更新」と「取り直し」を同じ変更届で処理しない
ことがポイントです。
以前の登録番号はそのまま使う?
登録電気工事業者とみなし登録電気工事業者では、行政上の管理方法が変わります。
みなし登録の開始届を行うと、愛知県では「建設業者として行う電気工事業の届出受理証」が交付され、届出番号が記載されます。
みなし登録電気工事業者の標識も、
登録電気工事業者届出済票
として、届出先・届出番号・届出年月日等を表示する様式になります。
したがって、
旧登録証をそのまま掲げ続ける
のではなく、
みなし登録後の内容に合わせて標識も確認します。
「みなし登録」なら何もしなくても自動的にみなされる?
名称だけを見ると、
「法律上みなされるなら、届出しなくてもいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし電気工事業法34条4項は、建設業者が電気工事業を開始した場合、
遅滞なく届け出ること
を求めています。
つまり、
建設業者だから自動的に登録申請が不要になる
という意味ではありますが、
開始届まで不要になるわけではありません。
ここが「みなし登録」という言葉で最も誤解しやすいところです。
自家用電気工作物の工事だけなら「みなし登録」ではない
ここも条件で答えが変わります。
一般用電気工作物等に係る電気工事を行う建設業者は、
みなし登録電気工事業者
として開始届を行います。
一方、
自家用電気工作物に係る電気工事のみ
を営む場合は、
みなし通知電気工事業者
として通知する制度です。
そのため、
「建設業許可を取ったら全員みなし登録」
ではありません。
実際に行っている電気工事の種類を確認します。
ただ、もともと登録電気工事業者として一般用電気工作物等の工事を行っており、それを建設業許可取得後も続けるのであれば、通常はみなし登録への手続を確認することになります。
電気工事業をやめるなら開始届まで出す必要はない
建設業許可を取得したタイミングで、
今後は自社で電気工事を施工しない。
電気工事業そのものを廃止する。
という場合もあります。
この場合まで、
みなし登録電気工事業者として営業を続ける必要はありません。
旧登録側の廃止整理を行い、今後の事業内容に合わせて手続を終わらせます。
つまり、
建設業許可を取った
だけでなく、
その後も電気工事業を営むのか
まで確認してから手続を決めます。
建設業許可が電気工事業以外でも見落とさない
実務で特に見落としやすいのはここです。
たとえば、
以前から電気工事業登録あり。
今回、新たに管工事業の建設業許可を取得。
電気工事業の建設業許可ではないから、電気工事業登録はそのままだと思っていた。
というケースです。
しかし法律上は、
建設業法上の建設業者になったか
で区切ります。
建設業許可の業種名が電気工事業かどうかだけではありません。
したがって、新しく何らかの建設業許可を取得したときは、
既に電気工事業登録・通知を持っていないか
まで一緒に確認する方が安全です。
建設業許可と電気工事業を別々に管理しない
建設業許可を取得した後は、
建設業許可。
電気工事業のみなし登録。
を別々のファイルに入れて終わりにすると、後で変更届を忘れやすくなります。
たとえば、
建設業許可更新
→ 電気工事業の変更届
建設業許可の期限切れ
→ みなし登録の効力にも影響
営業所変更
→ 建設業許可と電気工事業の両方を確認
法人代表者変更
→ 両制度の変更を確認
というように連動します。
建設業許可の変更をしたら、電気工事業側も確認する
という管理にしておくと漏れを防ぎやすくなります。
まとめ
すでに電気工事業の登録を受けている事業者が建設業許可を取得した場合、引き続き電気工事業を営むなら、
みなし登録電気工事業者への手続が必要です。
ただし、
「登録電気工事業者の変更届で、みなし登録へ変える」
という仕組みではありません。
建設業者となった時点で、
従前の電気工事業登録は法律上その効力を失います。
そのうえで愛知県では、
登録電気工事業者の廃止届・登録証返納
↓
みなし登録電気工事業者としての電気工事業開始届
という手続を行います。
さらに重要なのは、
建設業許可の業種は電気工事業に限らない
ことです。
別業種の建設業許可を取得した場合でも、登録電気工事業者なら確認が必要です。
そして切替後は、
電気工事業登録の5年更新を続けるのではなく、
建設業許可の更新時に電気工事業側の変更届を行います。
建設業許可が期限切れになれば、みなし登録の効力にも影響します。
つまり、
建設業許可取得時の1回だけ切り替えて終わりではなく、その後も建設業許可と電気工事業を連動して管理する。
ここまで含めて手続を切り替えることが重要です。
三河の電気工事業・建設業許可手続をご相談ください
いしかわ行政書士事務所では、碧南・西尾・高浜・安城・刈谷・岡崎を中心とした三河エリアで、建設業許可と電気工事業に関する行政手続をサポートしています。
すでに電気工事業登録がある事業者が建設業許可を取得した場合も、旧登録の廃止、みなし登録の開始届、主任電気工事士等の必要資料を整理し、申請・届出まで対応します。建設業許可の更新・変更と電気工事業側の届出もあわせて確認できます。
建設業許可を取得した直後や、許可更新・営業所変更を行う前後にご相談ください。
お気軽にお問い合わせください
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出典
e-Gov法令検索|電気工事業の業務の適正化に関する法律, 愛知県|みなし登録電気工事業者の開始届出, 愛知県|みなし登録電気工事業者の変更の届出, 愛知県|登録電気工事業者の更新登録について, 愛知県|電気工事業の登録, 経済産業省 中国四国産業保安監督部|電気工事業に関するよくある質問
この記事は、2026年9月時点の電気工事業法・経済産業省・愛知県等の公的情報をもとに作成しています。
