
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
「電気工事士の資格を取ったので独立したい」
「会社で電気工事を新しく始めたい」
このような場合、電気工事士の資格を持っているだけで、そのまま電気工事業を営業できるとは限りません。
愛知県内で電気工事業を営む場合は、電気工事業の業務の適正化に関する法律に基づく登録または届出を確認する必要があります。
最初に確認したいのは、
- 建設業許可を持っているか
- どの種類の電気工事を行うか
- 営業所に主任電気工事士を置けるか
- 必要な測定器具を備えているか
- 営業所が愛知県内だけか、複数都道府県にまたがるか
です。
特に重要なのが建設業許可の有無です。
建設業許可がない事業者と、すでに建設業許可を持っている事業者では、電気工事業を始めるための手続きが異なります。
この記事では、愛知県で電気工事業を始めるときに最初に確認したい登録・届出について整理します。
電気工事業を始める場合は登録または届出を確認する
愛知県では、愛知県内で一般用電気工作物または自家用電気工作物に係る電気工事業を営もうとする者について、知事の登録を受ける制度を設けています。
この登録を受けた事業者を「登録電気工事業者」といいます。
ただし、すべての電気工事業者が同じ登録手続きをするわけではありません。
大きく分けると、
建設業許可を持っていない
→ 登録電気工事業者として登録を確認
建設業許可を持っている
→ みなし登録電気工事業者として開始届出を確認
という分岐があります。
そのため、電気工事業を始めようとするときは、まず自社が建設業許可を持っているかを確認することが重要です。
建設業許可がない場合は登録電気工事業者の登録を確認する
建設業許可を受けていない事業者が、一般用電気工作物等に係る電気工事業を始める場合は、登録電気工事業者としての登録を確認します。
愛知県の行政手続案内では、愛知県内で一般用電気工作物または自家用電気工作物に係る電気工事業を営もうとする者について、知事登録が必要とされています。
登録の有効期間は5年間です。
5年を超えて引き続き電気工事業を営む場合は、更新登録が必要になります。
愛知県の新規登録手数料は22,000円で、標準処理期間は10日とされています。
ただし、この期間には申請前の要件確認や不足資料の準備期間は含まれません。
愛知県公式:電気工事業の登録手続・手数料・処理期間を確認する
建設業許可を持っている場合は「みなし登録」の開始届出
すでに建設業許可を持っている事業者は、通常の登録電気工事業者として新規登録するのではありません。
愛知県では、建設業法による許可を受けた建設業者が電気工事業を開始した場合、「みなし登録電気工事業者」として電気工事業開始届を提出する仕組みになっています。
ここで重要なのは、建設業許可の業種です。
愛知県は、みなし登録の開始届について、
「建設業の許可を取得していること。種別問わず、電気工事業以外も含む」
と明示しています。
つまり、
電気工事業の建設業許可を持っている場合だけ
ではありません。
例えば他業種の建設業許可を持っている事業者が電気工事業を始める場合も、電気工事業法側ではみなし登録の開始届を確認します。
建設業許可があれば電気工事業の手続きが不要になるわけではない
ここは特に間違えやすいところです。
建設業許可
と
電気工事業法上の登録・届出
は別の制度です。
そのため、
「建設業許可を取ったから電気工事業側は何もしなくてよい」
とはなりません。
愛知県も、建設業許可を受けた事業者が電気工事業を開始した場合は、遅滞なく電気工事業開始届出書と添付書類を提出する必要があると案内しています。
さらに、登録電気工事業者として営業していた事業者が後から建設業許可を取得した場合には、
登録電気工事業者の廃止手続き
↓
みなし登録電気工事業者として開始届出
への切替えが必要です。
関連記事
建設業許可を取ったので電気工事も始めたい|電気工事業の届出を忘れていない?
主任電気工事士を営業所ごとに置く
電気工事業を始める際の重要な要件の一つが、主任電気工事士です。
愛知県では、一般用電気工作物等に係る電気工事を行う営業所ごとに、主任電気工事士を設置することを求めています。
主任電気工事士になることができるのは、主に、
- 第一種電気工事士免状の取得者
- 第二種電気工事士免状を取得し、免状取得後に一般用電気工作物等について3年以上の実務経験を持つ者
です。
第二種電気工事士の場合は、実務経験証明書が必要になります。
そのため、
「第二種電気工事士を持っているからすぐ主任電気工事士になれる」
とは限りません。
免状取得後の実務経験まで確認します。
必要な測定器具も営業所に備える
電気工事業では、資格者だけでなく、営業所に必要な器具を備えていることも確認されます。
一般用電気工作物等の工事を行う場合、愛知県では主に、
- 絶縁抵抗計
- 接地抵抗計
- 回路計
の備付けを求めています。
自家用電気工作物の工事を行う場合は、これに加えて、
- 高圧検電器
- 低圧検電器
- 継電器試験装置
- 絶縁耐力試験装置
なども確認します。
継電器試験装置と絶縁耐力試験装置については、一定の場合に借用でも対応できると愛知県は案内しています。
つまり、
資格
+
営業所
+
器具
をそろえて電気工事業を行う体制を確認します。
電気工事業登録と建設業許可は役割が違う
電気工事を行うときに混同しやすいのが、電気工事業登録と建設業許可です。
役割を簡単に整理すると、
| 制度 | 主に確認すること |
|---|---|
| 電気工事業の登録・届出 | 電気工事を適正に施工するための営業体制 |
| 建設業許可 | 一定規模以上の建設工事を請け負うための営業体制 |
という違いがあります。
建設業許可の有無によって、電気工事業法側の手続きが「登録」か「みなし登録の届出」かに分かります。
そのため、どちらか片方だけ見ればよい制度ではありません。
なお、建設業許可が必要になる請負金額などについては、建設業法側の基準を別に確認します。
自分がどの手続きになるか確認する
最初の分岐は次のように考えると整理しやすくなります。
建設業許可を持っていない
一般用電気工作物等に係る電気工事を営業として行う
↓
登録電気工事業者の登録を確認
建設業許可をすでに持っている
電気工事業を新たに開始する
↓
みなし登録電気工事業者の開始届出を確認
登録電気工事業者だったが後から建設業許可を取得した
登録電気工事業者
↓
建設業許可取得
↓
登録の廃止
↓
みなし登録の開始届出
という切替えを確認します。
愛知県も、登録電気工事業者が建設業許可を取得した場合には、更新登録ではなく廃止手続きとみなし登録開始届が必要と案内しています。
愛知県内でも申請窓口は営業所によって変わる
電気工事業の登録・届出は、営業所の所在地によって提出先が異なります。
愛知県では、
- 名古屋市
- 東三河
- 新城設楽
- 尾張
- 西三河
など、営業所所在地に応じて消防保安課、県民事務所、東三河総局、新城設楽振興事務所などが所管します。
また、愛知県内に営業所が複数あり、所管事務所をまたがる場合には県庁の消防保安課が窓口になります。
三河地域でも営業所の所在地によって窓口が違うため、会社所在地だけでなく、電気工事業を営む営業所を確認します。
登録を受けた後も5年ごとの更新や変更届がある
登録電気工事業者の登録には5年の有効期間があります。
引き続き電気工事業を営む場合は更新登録が必要です。
また、
- 氏名・名称
- 住所
- 法人代表者
- 営業所
- 主任電気工事士
など、登録事項に変更があれば変更手続きを確認します。
みなし登録電気工事業者についても変更届があります。
特に注意したいのが建設業許可の更新です。
愛知県は、建設業許可を更新した場合にも、電気工事業法上のみなし登録について変更届が必要になると明示しています。
建設業許可側の更新だけで終わらせないことが重要です。
電気工事業を始める前にこの順番で確認する
電気工事業を新しく始める場合は、次の順番で整理すると分かりやすくなります。
- どのような電気工事を行うか確認する
- 建設業許可を持っているか確認する
- 登録か、みなし登録の開始届かを判定する
- 営業所を確認する
- 主任電気工事士を選任できるか確認する
- 必要な測定器具を確認する
- 営業所所在地から提出先を確認する
- 申請書・添付書類を準備する
- 登録または開始届出を行う
- 営業開始後の標識・帳簿・変更手続き等を管理する
「電気工事士資格があるか」だけではなく、会社・営業所として電気工事業を営むための手続きを確認することが重要です。
2025年7月から法人の登記事項証明書が不要になった手続きがある
愛知県では2025年7月15日から法務局との登記情報連携を開始しています。
これにより、
- 登録電気工事業者の新規登録
- 更新登録
- 承継届
- 通知電気工事業者の開始通知
については、法人の履歴事項全部証明書の添付が不要になりました。
過去の申請案内や古いチェックリストを使うと、現在は不要となった資料を準備してしまう可能性があります。
申請時には最新の愛知県公式資料を確認します。
「資格を取った」ではなく「営業できる状態か」を確認する
電気工事業を始めるときは、
電気工事士の資格
↓
電気工事業者としての登録・届出
↓
主任電気工事士
↓
営業所の器具
↓
必要に応じて建設業許可
を分けて考える必要があります。
特に、
「電気工事士の資格を取って独立する」
「建設会社が新しく電気工事を始める」
「建設業許可を最近取得した」
という場合は、自社が登録電気工事業者とみなし登録電気工事業者のどちらになるかを最初に確認すると、手続き全体を整理しやすくなります。
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愛知県三河の電気工事業登録・届出についてご相談ください
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「電気工事業を始めたいが登録が必要か分からない」
「建設業許可があるので、どの届出をすればよいか確認したい」
「主任電気工事士の要件を満たしているか整理したい」
「独立前に必要な手続きをまとめて確認したい」
という場合は、建設業許可の有無、営業所、工事内容、資格者の状況などを確認しながら必要な手続きを整理します。
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出典
愛知県公式:登録電気工事業者の新規登録について、愛知県公式:電気工事業の登録、愛知県公式:みなし登録電気工事業者の開始届出、愛知県公式:電気工事業に関する申請書等の提出先及びお問い合わせ先、愛知県公式:登録電気工事業者の更新登録について、愛知県公式:みなし登録電気工事業者の変更の届出について
この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
