終活で最初に作るメモとは?自宅や財産を整理する書き方

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

終活を始めようと思い、エンディングノートを買ったものの、項目が多くて書けずに止まってしまう方もいます。

しかし、最初から遺言書や詳しい財産目録を作る必要はありません。

まずはA4用紙1枚程度のメモに、自宅、財産、連絡先、重要書類の保管場所を書き出します。

最初のメモの目的は、終活を完成させることではなく、自分が持っているものと、まだ決めていないことを見えるようにすることです。

この記事では、終活で最初に作るメモの項目と、自宅や財産を整理する具体的な書き方を解説します。

最初のメモは財産目録や遺言書とは違います

終活で最初に作るメモは、法的な効力を持つ遺言書ではありません。

また、預金残高や不動産の評価額まで正確に記載する、正式な財産目録でもありません。

最初の段階では、次のことが分かれば十分です。

  • どのような財産を持っているか
  • 自宅や土地の関係書類がどこにあるか
  • どの金融機関と取引があるか
  • 借金や継続中の支払いがあるか
  • 緊急時に誰へ連絡してほしいか
  • まだ決められていないことは何か

たとえば、預金については、現在の残高まで毎回書き直す必要はありません。

「○○銀行○○支店に普通預金がある」「通帳は机の引き出しに保管している」と分かれば、確認の入口になります。

自宅についても、すぐに売却するか、誰に残すかまで決める必要はありません。

「土地と建物の名義を確認していない」「権利証は押し入れの書類箱にある」と書くだけでも、次に確認することが分かります。

最初のメモには、決まっていることだけでなく、「未確認」「未定」「相談が必要」という状態も記載します。

A4用紙1枚を5つの項目に分けて書く

最初のメモは、次の5項目に分けると整理しやすくなります。

  1. 緊急連絡先
  2. 自宅・土地
  3. 預金・保険・車などの財産
  4. 借金・契約・毎月の支払い
  5. 重要書類の保管場所と今後決めること

専用の用紙を用意しなくても、普通のノートやパソコンの文書で作成できます。

次の書式をそのまま使用できます。

終活の最初のメモ

作成日:    年  月  日
次回見直し予定:    年  月ごろ

1.緊急連絡先

第1連絡先
氏名:
関係:
電話番号:
住所:
本人へ伝えているか:はい・いいえ

第2連絡先
氏名:
関係:
電話番号:
住所:
本人へ伝えているか:はい・いいえ

2.自宅・土地

自宅の所在地:
持ち家・賃貸:
土地の名義:
建物の名義:
住宅ローン:あり・なし・不明
固定資産税の書類の場所:
権利証・登記識別情報の場所:
今後の希望:住み続けたい・売りたい・残したい・未定

3.主な財産

銀行名・支店名:
証券会社:
生命保険会社:
車の有無:
その他の主な財産:
通帳や保険証券の保管場所:

4.借金・契約・毎月の支払い

住宅ローン:
カードローン・借入れ:
クレジットカード:
携帯電話会社:
インターネット契約:
定期購入・サブスク:
その他の継続的な支払い:

5.重要書類と未確認事項

重要書類を保管している場所:
自宅の鍵を預けている人:
相続人の確認:済み・未確認
遺言書:あり・なし・検討中
今後確認すること:
相談したいこと:

すべての欄を埋める必要はありません。

分からない部分は空欄にせず、「不明」「未確認」と記載します。

空欄のままでは、書き忘れたのか、確認していないのかが後から分からなくなるためです。

自宅や土地は「所在地・名義・書類の場所」を書く

持ち家がある方は、自宅について詳しい説明を書くより、最初に次の3点を記載します。

  • 自宅や土地の所在地
  • 土地と建物の名義
  • 関係書類の保管場所

自宅の所在地

普段使っている住所を書きます。

自宅以外に、相続した土地、使っていない農地、山林、貸している駐車場などがある場合は、それぞれ別に記載します。

土地の地番まで分からなければ、最初は普段使っている住所や場所の説明だけでも構いません。

「実家の裏にある畑」「○○市に相続した土地あり」と書き、後から固定資産税の納税通知書や登記事項証明書で確認します。

土地と建物の名義

自分が住んでいるからといって、土地と建物の両方が自分名義とは限りません。

次のようなケースがあります。

  • 土地と建物が自分名義
  • 土地は自分名義、建物は亡くなった親名義
  • 建物は自分名義、土地は親族名義
  • 兄弟姉妹との共有名義
  • 古い建物が未登記
  • 名義を確認したことがない

分からない場合は、推測で「自分名義」と書かず、「土地・建物とも未確認」と記載します。

名義を誤って認識したまま自宅の将来を決めると、売却や遺言書の作成時に、過去の相続手続きから確認しなければならないことがあります。

関係書類の保管場所

次の書類がどこにあるかを書きます。

  • 固定資産税の納税通知書
  • 登記識別情報通知または権利証
  • 売買契約書
  • 住宅ローン関係の書類
  • 火災保険証券
  • マンションの管理関係書類

書類の内容をメモへ書き写す必要はありません。

「寝室のクローゼット上段にある青いファイル」など、後から見つけられる書き方にします。

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預金や契約は「取引先と手掛かり」を書く

預金、保険、車などは、正確な金額よりも、財産の存在を見つけられる情報を残します。

預金口座

銀行名、支店名、口座の種類、通帳の保管場所を書きます。

口座番号まで記載する場合は、メモの保管方法に注意が必要です。

暗証番号やインターネットバンキングのパスワードを、財産一覧と同じ用紙に書くことは避けます。

記載例は次のとおりです。

  • ○○銀行○○支店・普通預金・通帳は机の引き出し
  • △△信用金庫△△支店・定期預金あり・証書は金庫
  • ネット銀行口座あり・詳細は別の管理表

保険や証券口座

保険会社名、証券会社名、書類の保管場所を書きます。

生命保険は、本人の死亡後に受取人から請求が必要になることがあります。

家族や周囲の人が保険の存在を知らなければ、手続きが遅れる可能性があります。

車や高価な家財

車については、車名、ナンバー、車検証の保管場所、ローンの有無を書きます。

貴金属、美術品、価値のある時計などがある場合も、保管場所を記載します。

ただし、自分だけに価値がある思い出の品と、売却価値がある物は分けて書くと、後から整理しやすくなります。

借金や継続中の契約

終活のメモには、プラスの財産だけでなく、借金や毎月の支払いも記載します。

  • 住宅ローン
  • カードローン
  • 自動車ローン
  • クレジットカード
  • 携帯電話
  • インターネット
  • 動画や音楽などのサブスク
  • 定期購入
  • スポーツクラブや会員サービス

借金や未払金も相続に関係します。

また、サブスクや通信契約は、本人が亡くなった後も自動的にすべて停止するとは限りません。

どの会社と契約しているかが分かるだけでも、解約手続きを進めやすくなります。

メモと暗証番号・印鑑は分けて保管する

終活のメモは、見つけてもらえなければ役に立ちません。

一方で、誰でも見られる場所へ通帳、印鑑、暗証番号、パスワードをまとめて置くことも危険です。

次のように分けて管理します。

最初のメモ

財産や契約の存在、書類の保管場所、連絡先を書きます。

信頼できる人には、「終活のメモをどこに置いているか」だけを伝えます。

通帳・印鑑・重要書類

通帳、印鑑、権利証、保険証券などは、これまでどおり安全な場所へ保管します。

終活メモには、その保管場所を記載します。

暗証番号・パスワード

暗証番号やパスワードは、財産一覧とは別に管理します。

パスワード管理サービスや、別に保管した一覧を使う場合も、誰がどのような状況で確認できるのかを考えます。

銀行口座の暗証番号を家族や知人へ伝えたからといって、本人の死亡後にその人が自由に預金を引き出してよいことにはなりません。

メモの役割は、財産を勝手に動かしてもらうことではなく、必要な手続きへつなげることです。

よくある失敗は詳しく書こうとして途中で止まること

終活の最初のメモでは、次のような失敗が起こりやすくなります。

すべての残高を調べようとする

預金や投資の残高は変動します。

最初から正確な金額をそろえようとすると、通帳記帳や取引履歴の確認に時間がかかり、メモが完成しません。

まずは取引している金融機関を書きます。

書類を全部一か所へ移動する

終活を始めた日に、通帳、印鑑、権利証、保険証券を一つの箱へまとめると、紛失や盗難のリスクが高まります。

重要書類を無理に移動するのではなく、現在の保管場所をメモに書く方法でも十分です。

自宅は自分名義だと思い込んで書く

固定資産税を支払っている人と、登記上の所有者が同じとは限りません。

名義を確認していない場合は「未確認」と書き、後日、登記事項証明書などで確認します。

希望と事実を同じように書く

「姪に自宅を渡したい」という希望と、「姪が法律上の相続人である」という事実は別です。

メモでは、次のように分けます。

  • 現在確認できていること
  • 自分の希望
  • まだ確認していないこと

自分の希望を法的に実現する必要がある場合は、別に遺言書などを検討します。

一度作ったメモをそのままにする

預金口座の解約、保険の変更、車の買替え、親族の死亡などにより、内容は変わります。

半年または1年に一度、誕生日や年末など時期を決めて見直します。

作成日と更新日をメモの上部に書いておくと、情報が古いかどうかを判断できます。

メモを作った後は空欄から次の行動を決める

最初のメモが完成したら、きれいに書き直す必要はありません。

「未確認」「未定」と書いた項目に印を付け、今後行うことを3つ程度に絞ります。

たとえば、次のように整理します。

  • 土地と建物の名義が不明
    → 登記事項証明書などで確認する
  • 相続人が誰か分からない
    → 親族関係を書き出し、必要に応じて戸籍を確認する
  • 自宅を誰に残すか決まっていない
    → 自宅の維持費や売却可能性を調べる
  • 親族以外の人へ財産を残したい
    → 遺言書の作成を検討する
  • 入院時に連絡する人がいない
    → 緊急連絡先や支援を頼める人を考える
  • 葬儀や家財整理を頼める人がいない
    → 死後事務の相談先を確認する

最初のメモだけで、相続や死後の手続きが完了するわけではありません。

しかし、自分の状況が見えることで、遺言書、任意後見契約、死後事務委任契約などが本当に必要か判断しやすくなります。

契約の名前から終活を始めるのではなく、メモの空欄から自分に必要な準備を見つけることが大切です。

まとめ

終活で最初に作るメモは、正式な遺言書や財産目録ではありません。

自宅、財産、契約、連絡先、重要書類の保管場所を簡単に書き出し、現在分かっていることと、まだ決めていないことを整理するためのものです。

最初は次の5項目をA4用紙1枚程度にまとめます。

  1. 緊急連絡先
  2. 自宅・土地
  3. 預金・保険・車などの財産
  4. 借金・契約・毎月の支払い
  5. 重要書類の保管場所と今後決めること

残高や評価額を正確に記載することより、財産や契約の存在を見つけられる状態にすることが重要です。

暗証番号、パスワード、通帳、印鑑は一つにまとめず、終活メモとは分けて安全に保管します。

空欄が残っていても問題ありません。

まずは自宅の名義、取引している金融機関、緊急連絡先の3点を書き出すところから始めましょう。

おひとりさま終活の整理について

いしかわ行政書士事務所では、愛知県三河地域(碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市・豊田市・半田市など)を中心に、おひとりさま終活に関するご相談に対応しています。

自宅や土地、預金、相続人、緊急連絡先、亡くなった後の手続きなどを整理し、現在準備することと、後でよいことを一緒に確認します。

遺言書や契約書の作成を行い、登記、不動産売却、税金、実際の死後事務などが必要な場合は、それぞれを担当する専門家や事業者と連携して進めます。

「財産がどこにあるか整理できていない」「何から書けばよいか分からない」という段階でもご相談いただけます。

おひとりさま終活をご検討中の方や、まずは相談してみたい方は、料金やご依頼の流れなどをまとめた「おひとりさま終活のご依頼案内」もご覧ください。

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