
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
Gマークは、安全管理に積極的に取り組むトラック運送事業所を「安全性優良事業所」として認定する制度です。
国土交通省が推進し、全日本トラック協会が法令遵守状況、事故や違反の状況、安全性に対する取組を評価します。
取得すれば仕事が必ず増える制度ではありませんが、荷主や元請事業者へ安全管理の状況を説明するときに、第三者による客観的な証明として使えます。
大切なのは、車両にステッカーを貼ることだけではありません。認定までの準備を通じて、点呼、運転者教育、健康管理、事故防止など、日頃の安全管理を見直せることにも意味があります。
Gマークとは?
Gマークの正式な制度名は「貨物自動車運送事業安全性評価事業」です。
利用者が安全性の高いトラック運送事業者を選びやすくするため、輸送の安全確保に積極的に取り組んでいる事業所を認定します。
認定の対象は会社全体ではなく、原則として営業所などの事業所単位です。
同じ会社に複数の営業所がある場合、すべての営業所が自動的にGマーク事業所になるわけではありません。荷主へ説明するときは、実際に輸送を担当する営業所が認定を受けているか確認する必要があります。
国土交通省によると、2025年12月末時点で2万9,206事業所が認定され、認定率は全事業所の34.4%です。認定事業所に所属する車両は77万2,298台で、全事業用トラックの52.5%を占めています。
また、国土交通省は、Gマーク認定事業所の事故割合が未取得事業所の半分以下であると案内しています。
Gマークは「事故を起こさないことを保証するマーク」ではありません。それでも、法令遵守、事故・違反、安全に対する取組を一定の基準で評価した結果であるため、安全性を判断する材料の一つになります。
Gマークは何を評価して認定される?
Gマークでは、主に次の3つのテーマが評価されます。
| 評価されるテーマ | 主な確認内容 |
|---|---|
| 安全性に関する法令遵守状況 | 巡回指導の結果、点呼、運行管理、運転者教育、健康管理など |
| 事故や違反の状況 | 交通事故、行政処分、法令違反など |
| 安全性に対する取組の積極性 | 安全教育、事故防止活動、社内での改善活動など |
合計点だけではなく、テーマごとの基準や、届出・報告、社会保険・労働保険などの要件も確認されます。
そのため、研修を数回受けたり、安全宣言を掲示したりするだけでは取得できません。
帳票が整っていても、実際には点呼や教育を行っていなければ法令遵守の評価につながりません。反対に、安全管理を実施していても記録が残っていなければ、申請時に取組を証明できないことがあります。
Gマークの取得を検討する場合は、申請直前に書類を集めるのではなく、日頃から実施内容と記録を一致させておくことが必要です。
運送会社がGマークを取得するメリット
Gマークのメリットは、荷主への信用だけではありません。安全管理の見直しや、一定の行政上のインセンティブにもつながります。
| メリット | 運送会社にとっての意味 |
|---|---|
| 荷主・元請事業者への説明材料 | 安全管理の取組を第三者認定で示せる |
| 取引先選定への対応 | 荷主や元請がGマークの有無を選定基準にしている場合に提示できる |
| 安全管理の見直し | 点呼、教育、健康管理、事故防止活動を申請準備の中で確認できる |
| 社内意識の共有 | 安全に関する目標や取組を運行管理者、管理職、運転者で共有しやすくなる |
| 行政上のインセンティブ | 一定の条件下で点呼、違反点数、特殊車両通行許可などの優遇対象になり得る |
| 社外への表示 | 認定事業所として車両や営業所、会社案内などにGマークを表示できる |
全日本トラック協会が案内する主なインセンティブには、次のものがあります。
- 一定の条件を満たした場合の違反点数の早期消去
- IT点呼や一定の点呼方法に関する優遇
- 長期間継続して認定を受けた事業所に対する表彰
- 基準緩和自動車の継続認定における有効期間の延長
- 一定の要件を満たす特殊車両通行許可の有効期間延長
- 都道府県トラック協会の一部助成制度における優遇
これらは、Gマークを取得すれば無条件で適用されるものではありません。
対象となる車両、運行形態、認定の継続状況、各制度の要件によって扱いが異なります。利用したい制度がある場合は、Gマークの認定とは別に、その制度の要件を確認してください。
Gマークを荷主への信用につなげるには?
Gマークを取得しただけで、荷主から自動的に仕事が来るわけではありません。
一方、国土交通省の資料では、Gマークなどの安全認証を、荷主・元請事業者が実運送事業者を選ぶ際の客観的な評価基準として活用する考え方が示されています。
新規の取引先を選ぶ場面だけでなく、既存取引先の再評価や発注量の見直しにおいて、次のような項目と併せて確認されることがあります。
- Gマークなどの安全認証の有無
- 事故や交通違反の件数
- 運行管理者や必要な資格者の配置
- 安全教育や健康管理の実施状況
- 汚損、破損、遅延などの輸送品質
- 事故や苦情が発生した場合の報告と再発防止
- 必要な運転者と車両を安定して確保できるか
Gマークは、これらすべての代わりになるものではありません。
運賃、対応地域、保有車両、輸送品目、緊急時の連絡体制など、荷主が重視する条件もあります。そのため、営業資料へロゴを載せるだけではなく、自社の安全管理と結び付けて説明することが大切です。
例えば、会社案内や商談資料には次の内容を整理しておくと、認定の意味が伝わりやすくなります。
- どの営業所がGマーク認定を受けているか
- 認定の有効期間
- 日頃行っている安全教育
- 事故防止に向けた社内目標
- 事故や異常発生時の報告体制
- デジタコ、ドラレコ、安全装置などの活用状況
- 荷主と共有できる安全実績や改善事例
「Gマークがあります」と伝えるだけでなく、「この営業所では、どのように安全管理を続けているのか」まで説明できれば、荷主が委託先を選ぶための判断材料になります。
Gマークを取得していないと取引できない?
Gマークを取得していなければ、一般貨物自動車運送事業を行えないわけではありません。
取得は任意であり、運送業許可とは別の制度です。未取得であることだけを理由に、すべての荷主と取引できなくなるものでもありません。
ただし、荷主、元請事業者、入札案件などが独自の選定基準として、Gマークの取得を参加条件や評価項目にしている場合があります。
この場合は、法令上の義務ではなくても、取引条件として取得が求められることになります。
営業先からGマークについて質問された場合は、次の点を確認してください。
- 取得が必須条件なのか、加点項目なのか
- 会社内のどの営業所に認定が必要なのか
- 新規取引時だけか、契約更新時にも確認されるのか
- 認定証や認定番号など、何を提出するのか
- いつまでの取得が求められているのか
取引条件になってから準備を始めても、直近の申請に間に合わない場合があります。
Gマークの申請受付は通年ではありません。2026年度は、Web申請が7月1日から7月14日まで行われました。申請時期や方法は年度ごとに公表されるため、取得を検討している会社は早めに次年度の日程を確認する必要があります。
Gマーク取得前に確認したいこと
Gマーク取得を検討している場合は、最初に現在の管理状況を確認します。
- 対象営業所が申請資格を満たしているか
- 直近の巡回指導結果に未改善項目がないか
- 必要な変更届や報告書を提出しているか
- 点呼記録、運転日報、乗務員台帳がそろっているか
- 運転者への指導・監督を実施し、記録しているか
- 初任運転者などに必要な教育と適性診断を実施しているか
- 健康診断の結果を確認し、必要な対応を記録しているか
- 事故や違反の状況を把握しているか
- 安全性に対する積極的な取組を証明できるか
- 社会保険・労働保険へ適正に加入しているか
申請準備は、申請書だけを作る作業ではありません。
巡回指導結果、日頃の運行管理、届出状況、安全活動の記録を横断して確認する必要があります。現在の不足を早めに把握すれば、次回の申請までに改善を積み重ねられます。
よくある質問
- QGマークを取得すれば、荷主から仕事をもらえますか?
- A
取得だけで受注が保証されるわけではありません。ただし、荷主や元請事業者が安全性の高い運送事業者を選ぶ際の客観的な判断材料になります。保有車両、輸送品質、対応地域などと併せて、自社の安全管理を説明してください。
- QGマークは会社単位で取得するものですか?
- A
原則として営業所などの事業所単位で認定されます。複数の営業所がある会社では、認定を受けている営業所と受けていない営業所が併存する場合があります。
- QGマークを取得していないと違法ですか?
- A
違法ではありません。Gマークは任意の認定制度で、運送業許可とは別です。ただし、荷主や元請事業者が取引条件として取得を求めることがあります。
- QGマークがあれば安全な会社だと断言できますか?
- A
事故が起きないことを保証する制度ではありません。法令遵守、事故や違反、安全への取組を第三者が評価した認定であり、安全性を判断する材料の一つです。
- Q巡回指導で指摘を受けていても申請できますか?
- A
指摘の内容や改善状況によって影響します。申請前に巡回指導結果と改善報告を確認し、未改善項目や届出漏れを整理する必要があります。
- QGマークは一度取得すれば、そのまま使い続けられますか?
- A
認定には有効期間があり、継続して表示するには更新が必要です。有効期限が切れたステッカーや認定表示をそのまま使用しないよう管理してください。
- Q2026年度の申請はまだできますか?
- A
2026年度の申請期間は2026年7月1日から7月14日までで、すでに終了しています。次回申請を検討する場合は、全日本トラック協会と愛知県トラック協会から公表される次年度の日程を確認してください。
まとめ
Gマークは、安全確保に積極的に取り組むトラック運送事業所を、安全性優良事業所として認定する制度です。
荷主や元請事業者にとっては、安全な委託先を選ぶ際の客観的な判断材料になります。運送会社にとっては、荷主への信用に加え、点呼、教育、健康管理、事故防止などの日常業務を見直す機会にもなります。
ただし、取得だけで受注が保証されるわけではありません。
認定を荷主への信用につなげるには、対象営業所、認定期間、安全活動、事故発生時の対応などを、自社の輸送体制と併せて説明することが必要です。
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Gマーク取得に向けた現在の管理状況を整理します
Gマークを検討していても、どの帳票から確認し、申請までに何を改善すればよいか分からないことがあります。
いしかわ行政書士事務所では、巡回指導結果、変更届、報告書、運行管理に関する帳票を確認し、Gマーク申請に向けて整理したい項目と準備の順番をご案内します。
碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、三河地域・愛知県内の運送会社からのご依頼に対応しています。
次回の申請を検討している場合は、直近の巡回指導結果、改善報告書、現在使用している帳票をご用意のうえお問い合わせください。
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出典
国土交通省「Gマーク制度(貨物自動車運送事業安全性評価事業)」、全日本トラック協会「Gマーク制度について」、全日本トラック協会「2026年度貨物自動車運送事業安全性評価事業(Gマーク制度)新規申請・更新申請」、全日本トラック協会「Gマーク認定によるインセンティブ」、国土交通省「荷主・元請事業者と実運送事業者との協働による安全運行の向上に向けたガイドライン」
この記事は、2026年8月時点の公的情報をもとに作成しています。Gマークの評価基準、申請資格、申請期間、認定事業所へのインセンティブが改正された場合は、記事の見直しが必要です。
