運送業で車両を入れ替えるときの手続きとは?増減車との違いを解説

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

運送業を続けていると、古くなったトラックを買い替えたり、リース車両を別の車両に変更したりすることがあります。

このときに注意したいのが、車両を入れ替えるだけだから何もしなくてよいと考えてしまうことです。運送業では、事業用自動車として使う車両を変更する場合、運輸支局への手続きが必要になることがあります。特に、車両の入替は増車や減車と似ていますが、考え方が少し違います。

この記事では、運送業で車両を入れ替えるときの手続きと、増車・減車との違いを解説します。

車両入替とは何か

車両入替とは、簡単にいうと、現在使っている事業用車両を別の車両に差し替える手続きです。

たとえば、次のようなケースです。

  • 古いトラックを廃車して、新しいトラックに替える
  • リース満了により、別のリース車両に替える
  • 事故や故障により、代わりの車両を導入する
  • 中古車を購入して、既存車両と入れ替える

ポイントは、車両の台数が増えるわけでも、減るわけでもないという点です。

たとえば、5台で運送業をしている会社が、1台を別の車両に替えて、入替後も5台のままであれば、基本的には車両入替と考えます。一方で、5台から6台になるなら増車、5台から4台になるなら減車です。つまり、車両入替は台数ではなく、車両の中身を変える手続きと考えると分かりやすいです。

車両入替と増車・減車の違い

車両入替、増車、減車は、どれも車両に関する変更ですが、意味が違います。

手続き内容
車両入替今ある車両を別の車両に替える。台数は変わらない
増車事業用車両の台数を増やす(例:5台→6台)
減車事業用車両の台数を減らす(例:6台→5台)

ここで実務上よく問題になるのは、見た目は入替のつもりでも、実際には増車や減車になっているケースです。

たとえば、古い車両をしばらく残したまま新しい車両を追加すると、一時的に台数が増えることがあります。本人は入替のつもりでも、手続き上は増車として扱われる可能性があります。逆に、新しい車両の準備ができる前に古い車両を抜いてしまうと、一時的に減車の状態になることもあります。

運送業では、車両の台数や配置は許可条件に関わるため、いつ古い車両を外し、いつ新しい車両を入れるのかを整理しておくことが大切です。

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車両を入れ替えるときに確認すること

車両入替では、単に車検証の車両情報を差し替えればよいわけではありません。入替後の車両が、運送業で使用できる状態かを確認する必要があります。

購入車両であれば売買関係、リース車両であればリース契約など、事業者がその車両を使えることが必要です。名義や使用者の記載が不自然だと、確認が必要になることがあります。

入替後の車両が、今の車庫にきちんと収まるかも確認します。前の車両より長い、幅が広い、高さがある場合、車庫の収容能力に影響することがあります。同じトラックだから大丈夫と思っていても、実際には車両寸法が変わっていることがあります。

車庫に出入りする道路との関係も重要です。特に、車両幅が大きくなる場合、前面道路の幅員との関係で問題になることがあります。前の車両では問題がなくても、新しい車両では確認が必要になるケースがあります。

一般貨物自動車運送事業として使う車両である以上、事業内容に合った車両であることも大切です。荷台形状、車両総重量、最大積載量など、実際に行う運送内容と合っているかを確認します。

車両入替は台数が変わらないから簡単と見られがちですが、入替後の車両が運送業の要件に合っているかを確認する手続きです。

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よくある失敗は「入替のつもり」がズレること

車両入替でよくある失敗は、手続き上の考え方と現場の感覚がズレることです。現場では古い車を新しい車に替えるだけと考えます。しかし、運輸支局の手続きでは、どの車両を外し、どの車両を入れるのか、車両台数がどう変わるのかを確認します。

古い車両を外す前に新しい車両を使い始める場合、実質的に車両が増えている状態になることがあります。一時的だから大丈夫と考えるのは危険です。

新しい車両の車検証情報が固まる前に話を進めると、車両番号、使用者、所有者、最大積載量などの情報が確定せず、手続きが進めにくくなります。中古車購入やリース契約では、書類の準備時期にも注意が必要です。

入替後の車両が大きくなると、これまでの車庫に収まらない可能性があります。特に、すでに車庫に余裕がない会社では、1台入れ替えるだけでも配置図の確認が必要になります。

古い車両を処分する、新しい車両の納車が遅れる、代替車両を一時的に使うなど、実務では予定どおりに進まないことがあります。その結果、入替ではなく、いったん減車してから増車するような形になることもあります。大切なのは、車両の現実の動きと、手続き上の台数の動きを一致させることです。

車両入替の前に準備しておきたい書類と情報

車両入替をスムーズに進めるためには、先に情報を整理しておくことが大切です。具体的には、次のような内容を確認します。

  • 現在外す予定の車両
  • 新しく入れる予定の車両
  • 入替後の営業所ごとの車両台数
  • 入替後の車庫の配置
  • 車両の寸法、最大積載量、車両総重量
  • 車検証の記載内容
  • 購入、リース、使用承諾などの使用権限
  • いつから新しい車両を使うのか
  • 古い車両をいつ事業用から外すのか

特に重要なのは、入替後の車庫配置です。運送業の車庫は、単に駐車できればよいわけではありません。車両ごとの収容能力、出入口、前面道路、営業所との距離など、許可要件と関係します。新しい車両が前より少し大きいだけでも、ギリギリの車庫では問題になることがあります。そのため、車両入替の前には、車検証だけでなく、車庫の図面や配置も見直しておくと安心です。

行政書士に相談したほうがよいケース

車両入替は、単純なケースであれば自社で進められることもあります。しかし、次のような場合は、事前に行政書士へ相談したほうが安全です。

  • 車両のサイズが大きくなる場合(車庫の収容能力や前面道路との関係を確認する必要がある)
  • 車庫に余裕がない場合(配置上は停められても、書類上の収容能力で問題になることがある)
  • 複数台を同時に入れ替える場合(どの車両を外し、どの車両を入れるのか、台数管理が複雑になる)
  • 増車や減車も同時に発生する場合(入替だけでなく、増車・減車の届出も関係する可能性がある)
  • リース車両や中古車で書類がそろう時期が読みにくい場合(車検証情報や契約書類の準備時期を確認しておく必要がある)
  • 運輸支局への説明に不安がある場合(入替なのか、増車なのか、減車なのかを整理して説明できるようにしておくことが大切)

運送業の車両変更は、後回しにすると、現場の稼働と手続きのタイミングがズレることがあります。トラックの納車日、車検、リース契約、仕事の開始時期が絡むため、早めに確認しておくことが重要です。

まとめ

運送業で車両を入れ替えるときは、現在使っている車両を別の車両に差し替える手続きが必要になります。車両入替は、台数が変わらない点で、増車や減車とは違います。

ただし、実務では、古い車両を外す時期や新しい車両を入れる時期によって、増車や減車のような状態になることがあります。特に注意したいのは、次の点です。

  • 入替後も車両台数が変わらないか
  • 新しい車両が車庫に収まるか
  • 車庫前面道路との関係に問題がないか
  • 車両の使用権限や車検証情報が整理できているか
  • 古い車両と新しい車両の切替時期が明確か

車両入替は、単なるトラックの買い替えではなく、運送業許可後の重要な変更手続きです。不安がある場合は、車両を購入・リースする前の段階で確認しておくと、手続きの遅れや補正を防ぎやすくなります。

よくある質問

Q
車両入替と増車・減車はどう見分ければよいですか?
A

入替後も台数が変わらなければ車両入替、台数が増えれば増車、減れば減車です。台数ではなく車両の中身が変わるだけの場合は入替と考えます。

Q
古い車両を残したまま新しい車両を入れるとどうなりますか?
A

一時的に台数が増えている状態になり、入替のつもりでも手続き上は増車として扱われる可能性があります。古い車両を外すタイミングを事前に整理しておくことが大切です。

Q
同じようなトラックに入れ替えるだけでも車庫の確認は必要ですか?
A

必要です。前の車両より寸法がわずかに大きくなっただけでも、車庫の収容能力や前面道路との関係で問題になることがあります。

Q
リース車両を入れ替える場合、注意点はありますか?
A

リース契約や車検証情報が確定する時期に注意が必要です。書類が整う前に話を進めると、手続きが進めにくくなることがあります。

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