西三河で農地に住宅・店舗・倉庫を建てたい|農地転用と開発許可の確認

この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。

西三河で、

「親の畑に家を建てたい」

「道路沿いの農地を買って店舗を出したい」

「会社の近くの農地に倉庫を建てたい」

という場合、農地転用の手続きが関係します。

ただし、建物を建てる計画では「農地転用できるか」だけを調べても足りません。

特に市街化調整区域では、農地法上は転用できる可能性があっても、都市計画法上その住宅・店舗・倉庫を建てられなければ計画は実現できません。

そのため土地を買う・借りる前に確認したいのは、

農地転用できるか

だけではなく、

その建物を、その場所に建てられる根拠があるか

です。

住宅・店舗・倉庫では、市街化調整区域で認められる条件も異なります。

最終的な建物用途から逆算して、農地転用と都市計画法の両方を確認します。

農地転用許可が取れれば建物を建てられる、ではない

農地転用と開発・建築許可は、確認している内容が違います。

農地転用は、

「この農地を農地以外として利用してよいか」

を農地法から判断するものです。

一方、都市計画法では、

「この場所に、この用途の建物を建ててよいか」

を確認します。

例えば市街化調整区域の畑を購入して住宅を建てたい場合、

農地法5条の転用許可が可能

というだけでは住宅を建てられることは確定しません。

都市計画法上、その住宅をその場所に建てられる条件を満たす必要があります。

逆に都市計画法上は住宅建築を検討できても、農地が農用地区域内にある、農地区分上転用が難しいなど、農地側で止まることもあります。

どちらか一方の許可だけを先に取ればよいという話ではありません。

市街化調整区域なら建物の用途を先に決める

市街化調整区域は、市街化を抑制することを基本とする区域です。

そのため原則として自由に建物を建てることはできません。

しかし、一定の条件を満たす住宅、地域の日常生活に必要な店舗、農業に関係する施設など、法令や各市の基準によって認められる建築があります。

ここで重要なのは、

「建物を建てたい」

だけでは判断できないことです。

住宅なのか。

店舗なのか。

倉庫なのか。

さらに同じ住宅・倉庫でも、誰が何のために使う建物なのかによって判断が変わります。

農地転用申請を考える前に、予定建物の用途をできるだけ具体的にします。

住宅は「自宅を建てたい」だけでは判断できない

市街化調整区域に住宅を建てる場合には、その住宅を建てられる根拠を確認します。

例えば、

農業を営む人の農家住宅。

親などが所有する土地に一定の条件で建てる分家住宅。

市街化調整区域になる前から宅地として利用されていた土地での住宅。

条例で指定された区域内での住宅。

など、複数の考え方があります。

ここで混同しやすいのが「農家住宅」と「分家住宅」です。

農家住宅は、農林漁業を営む人のために必要な住宅として、一定の場合に都市計画法上の開発許可を要しない扱いがあります。

一方、分家住宅は「親の土地だから許可不要」という制度ではありません。

本人、親族、土地の取得時期、居住歴、土地の位置など、各許可基準への該当性を確認します。

「実家が農家だから」

「親の畑だから」

だけで住宅建築の可否を決めないことが重要です。

住宅予定地なら農地を買う前に建築の見込みを見る

他人の農地を買って家を建てる場合、農地法上は5条の転用を確認します。

しかし土地購入を先に決めてから、

農振除外できない。

農地転用できない。

分家住宅等の基準に該当しない。

必要な道路に接していない。

排水計画が成立しない。

と分かれば、住宅計画そのものが止まります。

そのため農地を購入する計画では、

都市計画区域。

市街化区域・市街化調整区域。

予定する住宅の種類。

都市計画法上の立地基準。

農振・地域計画。

農地区分。

接道・排水・造成。

まで確認し、住宅を建てられる見込みを確認してから契約条件を詰めます。

店舗は「商売をする建物」なら何でも認められるわけではない

市街化調整区域では店舗にも立地制限があります。

都市計画法34条1号には、周辺住民の日常生活のため必要な物品の販売・加工・修理などを行う店舗等について、一定の場合に許可できる仕組みがあります。

しかし、

交通量が多いから店を出したい。

土地が安いから郊外型店舗を作りたい。

ロードサイドなので集客できそう。

という理由だけで、この基準に該当するわけではありません。

どのような商品・サービスを提供するのか。

誰が利用する店舗なのか。

周辺にどの程度の居住者がいるのか。

建物や敷地の規模はどうか。

道路条件を満たすか。

などを確認します。

市街化調整区域の農地を店舗候補地として見るなら、「農地転用できそう」より先に、その店舗業態が都市計画法上の立地対象になるかを確認します。

コンビニ・飲食店だから必ず建てられるわけでもない

都市計画法34条1号では、日常生活に必要な店舗等が許可対象になる可能性があります。

しかし、業種名だけで決まるものではありません。

例えば飲食店という同じ用途でも、

地域住民の日常生活のため必要な店舗として計画する場合。

幹線道路を走る広域の利用者を主な対象とする大型店舗として計画する場合。

では、立地を検討する根拠が同じとは限りません。

道路沿いだから店舗に向いているという不動産上の判断と、市街化調整区域で都市計画法上建築できるという判断は分けて考えます。

倉庫は「農業用倉庫」か「事業用倉庫」かで大きく違う

倉庫も用途名だけで判断すると間違いやすい建物です。

例えば、市街化調整区域で農業を営む人が、その農業に必要な農機具や農産物を保管する農業用倉庫を設ける場合には、一定の農林漁業用施設として開発許可を要しないことがあります。

しかし、

運送会社の物流倉庫。

建設会社の資材倉庫。

製造会社の商品保管倉庫。

貸倉庫。

を「倉庫だから農業用倉庫と同じ」と考えることはできません。

事業用倉庫の場合は、都市計画法34条のどの基準に該当するのか、地区計画や産業立地に関する制度を利用できる場所なのかなど、別の立地根拠を確認します。

コンテナを置けば建物ではなくなる、とは限らない

農地を転用して、

「建物は無理なのでコンテナ倉庫を置けばいい」

と考えるケースもあります。

しかし、コンテナだから必ず都市計画法・建築基準法上の建築物にならないわけではありません。

例えば碧南市も、小規模な倉庫やコンテナ倉庫が建築物に該当する場合があると案内しています。

固定して継続的に倉庫として使用する計画などでは、単に「置くだけ」と判断せず、建築物として扱われるかを確認します。

農地転用では「資材置場」として計画しておき、後からコンテナ倉庫を設置する場合も注意が必要です。

最終的にどの施設まで設置するのかを、農地転用前から決めておく方が安全です。

開発許可29条と建築許可43条は同じではない

市街化調整区域について、

「建物を建てるなら開発許可」

とだけ覚えている場合も注意が必要です。

都市計画法上の開発行為とは、主として建築物を建築する目的で土地の区画や形質を変更する行為をいいます。

この開発行為を伴う場合には、原則として29条の開発許可を確認します。

一方、すでに造成された土地などで、都市計画法上の開発行為を伴わずに市街化調整区域で建築する場合には、43条の建築許可が問題になることがあります。

つまり、

農地に建物を建てる
=
必ず29条の開発許可

ではありません。

土地の状態と工事内容によって、

29条の開発許可。

43条の建築許可。

許可不要となる建築。

のどれを確認するのかが変わります。

ただし、いずれの場合でも、市街化調整区域ではその建物用途をその場所に立地できる根拠が必要です。

農地転用と開発許可はどちらを先に出すのか

実務上重要なのが、この二つの手続きをどう進めるかです。

候補地を選ぶ段階では、先に都市計画法側で予定建物を建てられる見込みがあるかを確認します。

住宅・店舗・倉庫の立地自体が認められないのであれば、農地転用申請だけを進めても目的を達成できないためです。

一方、正式な許可申請では、農地転用と都市計画法上の許可を別々に完結させるとは限りません。

西尾市は、都市計画法の開発許可と農地法の転用許可について、両制度の整合を図るため同時に行うよう案内しています。

岡崎市も、市街化調整区域の農地で開発・建築行為を行う場合、都市計画法の許可申請に合わせて農地転用許可を申請し、許可日を調整しています。

したがって、

都市計画法の見込みを確認
↓
農地側の条件を確認
↓
両方の申請計画を組む

という考え方が重要です。

農用地区域なら開発許可の前にも手続きがある

候補地が農用地区域に入っている場合、農地転用許可へそのまま進むことはできません。

原則として農業利用を確保する土地であるため、農業外利用を検討するには農用地区域からの除外、いわゆる農振除外が必要になる場合があります。

農振除外では、

農用地区域外に代替できる土地がないか。

地域計画へ支障を与えないか。

農地集積へ影響しないか。

土地改良施設へ支障を与えないか。

農業基盤整備事業完了後8年を経過しているか。

などを確認します。

そのため、

都市計画法上は住宅を建てられそう
↓
農振農用地なので除外できない
↓
計画できない

ということもあります。

都市計画法と農地法だけでなく、農振も同じ候補地について確認します。

地域計画に入っている農地はその変更も確認する

2025年以降の農地利用では、地域計画も無視できません。

地域計画の区域内にある農地を住宅・店舗・倉庫など農業外利用へ転用する場合は、原則として農振除外・農地転用許可より前に地域計画を変更します。

例えば、

地域計画区域内
+
農振農用地
+
市街化調整区域
+
住宅建築

という土地なら、

地域計画変更
↓
農振除外
↓
農地転用
+
都市計画法上の許可

という複数の手続きがつながる可能性があります。

古い農地転用情報を見て「農振除外と5条だけ」と判断しないよう注意します。

市街化区域なら開発許可を考えなくてよい、でもない

市街化区域の農地なら、農地法上は原則として農業委員会への届出で転用します。

そのため市街化調整区域より農地転用は進めやすくなります。

しかし、市街化区域なら都市計画法を一切確認しなくてよいわけではありません。

建物を建てるために一定規模以上の土地の区画・形質を変更する場合には、開発許可が必要になることがあります。

例えば刈谷市では、市街化区域の500平方メートル未満の小規模開発を開発許可不要としており、それ以上の土地利用では開発行為に該当するかを確認する運用になっています。

ただし、西三河全域を一つの面積基準だけで判断することはできません。

岡崎市の一部など取扱いが異なる区域もあるため、土地所在地の市で確認します。

西三河でも市によって開発許可の窓口・基準が違う

都市計画法は同じ法律ですが、実際の許可基準や相談窓口は西三河でも同じではありません。

岡崎市は、市独自の市街化調整区域における立地基準を定めています。

碧南市、刈谷市、安城市、西尾市、知立市も都市計画法の開発許可等について各市が担当しています。

一方、西三河の中でも愛知県西三河建設事務所が審査を担当する地域があります。

さらに各市には、都市計画法34条12号条例や地区計画など、それぞれの土地利用誘導制度があります。

そのため、

「愛知県の基準では可能そうだから、西三河ならどこでも同じ」

とは判断しません。

土地の所在する市と、予定する建物用途から確認します。

道路に接していても建築できるとは限らない

住宅・店舗・倉庫には、農地転用と開発許可以外にも確認事項があります。

例えば道路です。

土地の前に道路があるように見えても、建築基準法上の道路として扱われるのか、必要な接道条件を満たすのかを確認します。

店舗・倉庫では乗入口の位置や幅も重要です。

大型車が出入りする倉庫なら、

道路幅は十分か。

交差点付近ではないか。

側溝を越えるための工事が必要か。

水路を跨ぐ必要がないか。

大型車が実際に旋回できるか。

なども土地選びに影響します。

農地転用できる土地でも、建物と道路の条件が成立しなければ計画を変更することになります。

排水計画は建物を決めてからでは遅いことがある

農地だった土地に住宅・店舗・倉庫を建てると、雨水や汚水の処理方法が変わります。

市街化調整区域では、公共下水道へ接続できない場所もあります。

その場合、

浄化槽。

放流先水路。

道路側溝。

土地改良区管理水路。

などを確認します。

岡崎市では、開発許可に伴って下水道へ接続する場合、都市計画法32条の協議を開発許可申請前に済ませるよう案内しています。

建物配置を決めてから排水先を探すのではなく、土地の段階で排水方法を確認します。

盛土して建物を建てるなら盛土規制法も確認する

田を宅地化する場合などは、道路より土地が低いため盛土を行うことがあります。

この場合、農地転用・開発許可だけでなく盛土規制法も確認します。

愛知県では2025年5月9日から盛土規制法に基づく規制区域が指定されています。

一定規模以上の盛土・切土などは許可・届出の対象になるため、

どの高さまで上げるのか。

どの程度土を入れるのか。

擁壁が必要か。

雨水をどこへ流すのか。

まで造成計画として確認します。

「農地から宅地へ変える手続き」と「安全に造成する手続き」は別です。

土地を買う前に確認したいのは申請書ではなく建物計画

農地に住宅・店舗・倉庫を建てたい場合、最初から4条・5条の申請書を準備する必要はありません。

まず必要なのは、

土地の地番。

現在の所有者。

誰が土地を取得・使用するのか。

何を建てるのか。

誰がその建物を使うのか。

建物のおおよその規模。

土地のおおよその利用範囲。

です。

特に市街化調整区域なら、「倉庫」「店舗」だけでは不足します。

どんな事業の倉庫なのか。

何を保管するのか。

店舗では何を販売・提供するのか。

住宅なら誰が住み、土地所有者とどのような関係なのか。

まで分かることで、都市計画法上の立地基準を確認できます。

申請書を書く前に、最終的に作りたい建物を具体化します。

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農振除外とは?農地転用の前に必要になるケース

農地転用とは?農地法3条・4条・5条の違いを解説

まとめ

西三河で農地に住宅・店舗・倉庫を建てたい場合、農地転用だけを先に考えないことが重要です。

特に市街化調整区域では、その住宅・店舗・倉庫をその場所に建てられる都市計画法上の根拠があるかを確認します。

住宅なら住宅の種類や申請者との関係、店舗なら業態や利用者、倉庫なら農業用か事業用かなどによって判断が変わります。

都市計画法上の立地見込み、地域計画・農振、農地転用、道路・排水・造成を同じ土地について重ねて確認してから、土地の取得や建築計画を進めます。

西三河で農地に建物を建てる前にご相談ください

いしかわ行政書士事務所では、碧南・西尾・高浜・安城・刈谷・岡崎を中心とした三河エリアで、農地転用や土地利用に関する手続きに対応しています。

住宅・店舗・倉庫を建てたい場合は、農地転用だけでなく、市街化調整区域の開発・建築許可、農振・地域計画など、計画に必要となる手続きを整理します。

土地の地番と予定している建物・利用方法が分かる段階から、行政との事前相談や申請書類作成・提出など必要な手続きを確認できます。

土地の売買・賃貸借を確定する前、造成・建築工事を始める前にご相談ください。

お気軽にお問い合わせください

0566-68-5511

営業時間 9:00-21:00(土・日・祝日も対応)

出典

愛知県|農地転用の許可について(農地法第4条・5条)

愛知県|開発許可制度の概要

愛知県|都市計画法に基づく開発許可申請の手引き

農林水産省|地域計画(地域農業経営基盤強化促進計画)

農林水産省|農業振興地域制度の概要

岡崎市|市街化調整区域における開発行為・建築行為

岡崎市|開発許可・建築許可の申請手続き

碧南市|市街化調整区域での建築等

安城市|開発許可等に係る事前相談・添付書類

刈谷市|都市計画法における開発許可制度について

西尾市|農地の転用

愛知県行政書士会|農地・土地開発

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