故障した車の廃車手続きを解説

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

エンジンがかからない、事故で動かない、修理費が高すぎる、長期間放置して動かせない。

このような故障した車を処分するときに必要になるのが、廃車手続きです。

ただし、故障した車の場合は、通常の車と違って注意点があります。

自走できないため、運輸支局や解体業者へ自分で運転して持ち込むことができないことがあります。

また、車を解体するのか、しばらく保管するのかによって、一時抹消登録にするか、永久抹消登録にするかも変わります。

「故障車でも廃車手続きはできるのか」
「動かない車はどうやって運べばよいのか」
「一時抹消と永久抹消のどちらを選べばよいのか」
「ローン会社名義の車でも廃車にできるのか」

このような点を整理しておかないと、廃車手続きの途中で止まってしまうことがあります。

この記事では、故障した車の廃車手続きの流れ、選ぶべき手続き、必要書類、注意点をわかりやすく解説します。

故障した車でも廃車手続きはできる

結論からいうと、故障した車でも廃車手続きはできます。

エンジンがかからない車、事故で動かない車、車検切れの車、長期間放置している車でも、登録上の廃車手続きは可能です。

ただし、故障した車の場合は、次の点に注意が必要です。

・公道を走れる状態か
・車検が残っているか
・自賠責保険が残っているか
・自走できるか
・積載車やレッカーで移動する必要があるか
・解体するのか、保管するのか
・車検証の所有者は誰か
・ナンバープレートはそろっているか

故障しているからといって、廃車手続きができないわけではありません。

問題になるのは、車をどう移動するか、どの抹消手続きを選ぶか、必要書類がそろうかです。

特に、動かない車をそのまま放置していると、自動車税の通知が届いたり、保管場所の問題が出たりすることがあります。

故障して今後乗る予定がない場合は、早めに廃車手続きを検討しましょう。

関連記事:
車を廃車にするときの手続きと必要書類

一時抹消か永久抹消かを決める

故障した車を廃車にする場合、まず考えるべきなのが、一時抹消登録にするか、永久抹消登録にするかです。

どちらも「廃車」と呼ばれることがありますが、意味が違います。

一時抹消登録を選ぶ場合

一時抹消登録は、車の登録を一時的に止める手続きです。

ナンバープレートを返納し、公道を走れない状態にしますが、車を解体するわけではありません。

故障した車でも、次のような場合は一時抹消登録を検討します。

・修理してまた乗る可能性がある
・部品取りやレストアを考えている
・売却先を探している
・解体するかまだ決めていない
・しばらく保管しておきたい

一時抹消登録をしておけば、登録を止めた状態で車を保管できます。

ただし、再び公道を走るには、再登録や車検などの手続きが必要です。

永久抹消登録を選ぶ場合

永久抹消登録は、車を解体し、今後その車を使わない場合に行う手続きです。

故障が大きく、修理費が高額で、今後乗る予定がない場合は、永久抹消登録を検討します。

たとえば、次のような場合です。

・エンジンやミッションが故障して修理しない
・事故で大きく損傷している
・長期間放置して再使用が難しい
・解体業者に引き渡す
・スクラップとして処分する

永久抹消登録では、解体に関する情報が必要になります。

一時抹消は「車を残す手続き」、永久抹消は「車を解体して登録を消す手続き」と考えると分かりやすいです。

関連記事:
車の一時抹消登録とは?利用する場面を解説
車の永久抹消登録とは?一時抹消との違いを解説

故障した車を廃車にする流れ

故障した車を廃車にするときは、いきなり解体業者に引き渡すのではなく、先に確認すべきことがあります。

普通車を前提に、一般的な流れを整理します。

1. 車検証の所有者を確認する

まず、車検証の所有者欄を確認します。

自分が乗っていた車でも、所有者がローン会社、ディーラー、販売店になっていることがあります。

この場合、使用者だけでは廃車手続きを進められないことがあります。

ローンを完済していても、所有者欄が変更されていなければ、所有権解除が必要になる場合があります。

故障車の廃車手続きでも、最初に確認すべきなのは所有者です。

2. 車を解体するか、保管するかを決める

次に、故障した車を解体するのか、しばらく残すのかを決めます。

修理する可能性があるなら一時抹消。

今後乗る予定がなく、解体するなら永久抹消を検討します。

判断がつかない場合は、先に一時抹消をして、後から解体届出を行う流れになることもあります。

3. ナンバープレートを確認する

廃車手続きでは、ナンバープレートの返納が必要になります。

普通車では、前後2枚のナンバープレートがそろっているか確認します。

故障車を解体業者へ引き渡す前に、ナンバープレートをどう扱うのか確認しておきましょう。

紛失している場合は、理由書など追加対応が必要になることがあります。

4. 必要書類を準備する

普通車の廃車手続きでは、一般的に次のような書類を確認します。

・車検証
・ナンバープレート
・所有者の印鑑証明書
・実印を押した委任状
・申請書
・手数料納付書
・解体に関する情報
・住所変更や氏名変更がある場合の確認書類
・相続がある場合の戸籍関係書類や遺産分割協議書

実際に必要な書類は、所有者、普通車か軽自動車か、ナンバーの有無、住所変更の有無、相続の有無によって変わります。

5. 車を引き取ってもらう

故障した車が自走できない場合は、積載車やレッカーで移動する必要があります。

解体業者、買取業者、整備工場などに引き取りを依頼できる場合があります。

依頼するときは、エンジンがかかるか、タイヤが回るか、車検が残っているか、保管場所から搬出できるかを伝えておきましょう。

6. 運輸支局で抹消手続きをする

普通車の場合、一時抹消登録や永久抹消登録は運輸支局で行います。

行政書士に依頼する場合は、書類作成や申請手続きを任せることができます。

平日に運輸支局へ行けない場合や、所有者・住所変更・相続が絡む場合は、早めに相談すると安心です。

動かない車の移動方法に注意する

故障した車の廃車手続きで特に注意したいのが、車の移動方法です。

自走できない車は無理に運転しない

エンジンがかかりにくい、ブレーキに不安がある、異音がする、警告灯が出ている。

このような状態で無理に運転するのは危険です。

廃車予定だからといって、安全確認をせずに公道を走ることは避けるべきです。

特に車検切れや自賠責切れの場合は、公道を走ること自体が問題になります。

積載車やレッカーを利用する

動かない車を移動する場合は、積載車やレッカーを利用するのが基本です。

解体業者や買取業者が引き取りに対応している場合もあります。

長期間放置している車では、タイヤが固着している、バッテリーが上がっている、ハンドルロックがかかっている、狭い駐車場から出しにくいといったことがあります。

事前に車の状態を正確に伝えておくと、引き取り時のトラブルを避けやすくなります。

仮ナンバーを使えば何でも走れるわけではない

車検切れの車を動かす方法として、臨時運行許可番号標(仮ナンバー)が関係することがあります。

ただし、仮ナンバーは、車検や登録のための移動など、目的が限られています。

廃車にするためなら自由に走れる、というものではありません。

故障の状態によっては、仮ナンバーがあっても安全に走れないことがあります。

迷う場合は、自走ではなく引き取りや積載車を検討しましょう。

関連記事:
車検切れの車を廃車にする方法を解説

必要書類でよくあるつまずき

故障した車の廃車手続きでは、車そのものの故障よりも、書類でつまずくことがあります。

特に多いのは、所有者、住所、ナンバー、車検証の問題です。

所有者がローン会社や販売店になっている

車検証の所有者欄が、ローン会社、ディーラー、販売店になっている場合です。

この場合、使用者が車を持っていても、所有者の承諾や所有権解除が必要になることがあります。

ローンを完済していても、所有者欄がそのままになっていることがあります。

故障して動かない車でも、所有者を確認せずに廃車手続きを進めることはできません。

関連記事:
ローン会社名義の車を売却する方法を解説

車検証の住所が古い

引っ越し後に住所変更をしていない場合、車検証の住所と現在の印鑑証明書の住所が違うことがあります。

この場合、住民票や戸籍の附票などで住所のつながりを証明する書類が必要になることがあります。

故障車の廃車でも、過去の住所変更を放置していた影響が出ることがあります。

関連記事:
車の車検証の住所が何回も変わっている場合を解説

ナンバープレートを紛失している

長期間放置していた車では、ナンバープレートを外したまま紛失していることがあります。

また、事故や盗難でナンバープレートがない場合もあります。

ナンバープレートが返納できない場合は、理由書など追加の対応が必要になることがあります。

前後2枚がそろっているか、早めに確認しましょう。

関連記事:
車のナンバープレートを紛失した場合の対処法を解説

車検証をなくしている

車検証が見つからない場合も注意が必要です。

車検証がないと、所有者や登録内容の確認が難しくなります。

状況によっては、再発行や登録事項の確認が必要になることがあります。

長期間乗っていない故障車では、車検証をどこに保管したか分からなくなっていることもあります。

関連記事:
車の車検証をなくしたらどうする?再発行の流れを解説

所有者が亡くなっている

所有者が亡くなっている車を廃車にする場合は、相続関係の書類が必要になることがあります。

戸籍、相続人の確認、遺産分割協議書などが関係する場合があります。

「故障している古い車を処分するだけ」と思っていても、名義が故人のままだと、通常より確認事項が増えます。

関連記事:
相続した車を廃車にする方法を解説

税金や保険の確認も必要

故障した車を廃車にするときは、登録手続きだけでなく、税金や保険も確認しましょう。

自動車税種別割

普通車の場合、抹消登録をすることで、自動車税種別割の課税が止まる方向で扱われます。

年度途中で手続きした場合、時期によっては還付が関係することがあります。

ただし、車が故障して動かないだけでは、自動車税が自動的に止まるわけではありません。

登録上の抹消手続きを行うことが重要です。

自動車重量税

車検が残っている車を解体し、一定の要件を満たす場合、自動車重量税の還付が関係することがあります。

ただし、一時抹消だけでは重量税が当然に戻るわけではありません。

税金の戻りを期待している場合は、自動車税と重量税を分けて確認する必要があります。

自賠責保険

故障した車でも、自賠責保険の期間が残っていることがあります。

廃車後に自賠責保険の解約や返戻金が関係する場合があります。

自賠責保険は、廃車手続きとは別に、保険会社や代理店で確認する必要があります。

任意保険

車を廃車にする場合は、任意保険の解約、車両入替、中断証明書なども確認しましょう。

廃車にしたのに任意保険をそのままにしていると、保険料が続くことがあります。

次に車を買う予定がある場合は、等級を残せるかを保険会社へ確認しておくと安心です。

よくある失敗と注意点

故障した車の廃車手続きでよくある失敗を整理します。

動くと思っていた車が当日動かない

エンジンがかかると思っていた車が、引き取り当日に動かないことがあります。

バッテリー上がり、タイヤの固着、ブレーキの固着、ハンドルロックなどが原因です。

引き取りを依頼する場合は、「現在自走できるか」「タイヤは回るか」「駐車場所から出せるか」を事前に確認して伝えましょう。

修理するか迷っているのに永久抹消を進める

まだ修理や売却の可能性があるのに、永久抹消として進めてしまうケースです。

永久抹消は解体を前提とする手続きです。

将来また使う可能性があるなら、一時抹消登録も検討しましょう。

業者に引き渡しただけで安心する

解体業者や買取業者に車を渡しただけで、登録上の廃車手続きまで完了したとは限りません。

誰が抹消登録をするのか、手続き完了をどう確認するのかを事前に確認しておきましょう。

税金通知が届いてから気づく

故障して動かない車を放置していると、自動車税の通知が届くことがあります。

車を使っていないだけでは、登録は残ったままです。

「もう乗っていないから大丈夫」と考えず、抹消登録が完了しているか確認しましょう。

普通車と軽自動車を同じ手続きだと思っている

普通車と軽自動車では、廃車手続きの窓口や名称、必要書類が異なります。

普通車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会で手続きをします。

同じ「廃車」と呼ばれていても、普通車と軽自動車では進め方が違うため注意しましょう。

まとめ

故障した車でも、廃車手続きはできます。

ただし、動かない車や車検切れの車では、移動方法、必要書類、抹消手続きの選び方に注意が必要です。

特に確認したいのは、次の点です。

・故障した車でも廃車手続きはできる
・自走できない場合は積載車やレッカーを検討する
・車を残すなら一時抹消登録を検討する
・解体するなら永久抹消登録を検討する
・車検証の所有者を確認する
・ローン会社名義の場合は所有権解除が必要になることがある
・ナンバープレートや車検証の有無を確認する
・住所変更や相続が絡むと追加書類が必要になる
・税金、自賠責保険、任意保険も分けて確認する
・業者に引き渡しただけで抹消手続きが終わったとは限らない

故障した車を廃車にするときは、「動くかどうか」だけでなく、「解体するのか、保管するのか」「所有者は誰か」「登録上の抹消手続きが完了するか」を確認することが大切です。

修理しない車、長期間放置している車、事故や故障で動かない車は、早めに手続きの方針を決めておきましょう。

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