
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
「中古車を個人間で売買した」
「親や知人から車を譲ってもらった」
「車の所有者を自分の名義へ変更したい」
このような場合に必要になるのが、車の名義変更です。
普通車では、所有者が変わる手続きを正式には「移転登録」といいます。
名義変更では、単に車検証の名前を書き換えるだけではありません。
旧所有者・新所有者それぞれの書類をそろえ、必要に応じて車庫証明を取得し、管轄する運輸支局等で移転登録を行います。
さらに、使用の本拠の位置が変わって管轄ナンバーが変わる場合は、ナンバープレートの交換や封印も関係します。
この記事では、普通車の名義変更を中心に、必要書類、手続きの流れ、軽自動車との違い、書類で止まりやすいポイントを整理します。
車の名義変更とは「所有者」を変更する手続き
普通車の名義変更は、正式には「移転登録」といいます。
国土交通省は、自動車の所有者の名義が変わった場合には移転登録を行うよう案内しています。
例えば、
- 中古車を購入した
- 個人間で車を売買した
- 親から子へ車を譲った
- 夫婦間で車を譲った
- 知人から車を譲り受けた
- 法人から個人へ車を譲った
など、車の所有者が変わる場合です。
一方、所有者は変わらず住所だけが変わった場合は、通常は「変更登録」です。
「名義変更」と「住所変更」は別の手続きなので、車検証のどの項目が変わるのかを最初に確認します。
国土交通省公式:車を売買等により名義変更する手続きを確認する
関連記事
車の名義変更が必要になる場面まとめ|購入・譲渡・親子・夫婦・共同名義
車の名義変更は15日以内が原則
道路運送車両法では、登録自動車について所有者の変更があった場合、新所有者はその事由があった日から15日以内に移転登録を申請することとされています。
そのため、
「車はもう受け取ったが、時間ができたときに名義変更すればよい」
というものではありません。
個人間売買や家族間譲渡では、車と代金の受渡しだけ先に終わり、名義変更が後回しになることがあります。
しかし名義変更をしないままにすると、
- 自動車税関係の通知
- リコール等の重要な案内
- 売却・廃車時の手続き
- 旧所有者とのトラブル
などにつながる可能性があります。
車を譲渡するときは、名義変更まで含めて日程を決めておく方が安全です。
国土交通省公式:名義変更をしたときの登録手続について確認する
普通車の名義変更に必要な主な書類
個人から個人へ普通車を譲渡し、新所有者と新使用者が同じという一般的なケースでは、主に次の書類を準備します。
| 書類 | 主に用意する人 | ポイント |
|---|---|---|
| 自動車検査証 | 旧所有者側 | 現在の登録内容を確認 |
| 譲渡証明書 | 旧所有者 | 旧所有者の実印等を確認 |
| 印鑑証明書 | 旧所有者 | 発行後3か月以内 |
| 印鑑証明書 | 新所有者 | 発行後3か月以内 |
| 車庫証明 | 新使用者 | 必要な地域・ケースで取得 |
| 委任状 | 新旧所有者 | 代理申請する場合 |
| 申請書 | 申請時 | 移転登録用のOCR申請書 |
| 手数料納付書 | 申請時 | 登録手続で使用 |
| 税申告関係書類 | 申請時 | 自動車税関係の手続き |
ただし、これは標準的なケースです。
所有者と使用者が違う場合、法人が関係する場合、車検証の住所と現在住所が違う場合などは、追加書類が必要になることがあります。
旧所有者が準備する書類
一般的な個人間譲渡では、旧所有者側で主に、
- 自動車検査証
- 譲渡証明書
- 印鑑証明書
- 委任状(代理申請の場合)
を準備します。
特に注意したいのが、車検証に記録されている旧所有者の住所・氏名と、現在の印鑑証明書の記載です。
例えば、
車検証
→ 西尾市A町
現在の印鑑証明書
→ 安城市B町
となっていれば、同一人物であることに加え、住所のつながりを証明する必要があります。
1回の住所変更なら住民票で確認できることがありますが、何度も転居している場合は、
- 住民票の除票
- 戸籍の附票
などが必要になることがあります。
名義変更で意外と止まりやすいのが、この「車検証の住所と現在住所がつながらない」というケースです。
結婚・離婚などで氏名も変わっている場合
旧所有者が結婚・離婚などで氏名を変更している場合も注意が必要です。
例えば、
車検証
→ 旧姓
現在の印鑑証明書
→ 新しい姓
となっていれば、氏名変更の経緯を確認できる戸籍謄本等が必要になる場合があります。
つまり、名義変更では、
「現在の印鑑証明書があるか」
だけでなく、
車検証の所有者
↓
現在の所有者
まで住所・氏名がつながっているかを確認します。
新所有者が準備する書類
一般的なケースでは、新所有者側で主に、
- 印鑑証明書
- 車庫証明
- 委任状(代理申請の場合)
などを準備します。
新所有者がそのまま使用者になる場合と、
所有者
→ 親・会社・ローン会社など
使用者
→ 実際に車を使う人
という場合では必要書類が変わります。
そのため最初に車検証の、
「所有者」
と
「使用者」
を誰にするのか決めます。
車庫証明は名義変更より先に準備する
普通車の名義変更では、新しい使用の本拠の位置によって車庫証明が必要になります。
車庫証明は警察署で取得するため、運輸支局へ名義変更に行った当日に初めて準備するものではありません。
通常は、
車庫証明を申請
↓
交付
↓
名義変更の必要書類と合わせる
↓
運輸支局で移転登録
という順番で進めます。
国土交通省の自動車検査登録総合ポータルサイトでは、車庫証明について発行からおおむね1か月以内のものを有効と案内しています。
そのため、あまり早く取得しすぎて名義変更が遅れることにも注意します。
国土交通省公式:自動車登録のQ&A・車庫証明の有効期間を確認する
名義変更の手続きの流れ
一般的な普通車の名義変更は、次のような流れになります。
- 車検証で現在の所有者・使用者を確認する
- ローン会社等の所有権が付いていないか確認する
- 新旧所有者の必要書類を確認する
- 車検証と現在の住所・氏名がつながっているか確認する
- 必要な場合は車庫証明を取得する
- 譲渡証明書・印鑑証明書・委任状等をそろえる
- 新しい使用の本拠を管轄する運輸支局等で移転登録する
- 新しい車検証の交付を受ける
- 必要な場合はナンバープレートを交換する
- 自動車税関係の申告を行う
書類を集める前に、
「誰から誰へ」
「所有者と使用者は誰か」
「ナンバー変更があるか」
を整理しておくと必要書類を判断しやすくなります。
申請先は新しい使用の本拠を管轄する運輸支局等
普通車の移転登録は、新しい使用の本拠の位置を管轄する運輸支局・自動車検査登録事務所等で行います。
愛知県三河地域の普通車登録では、車の使用の本拠によって管轄を確認します。
県外から三河へ車を譲り受ける場合でも、旧所有者の地域の運輸支局へ行くとは限りません。
「現在付いているナンバー」
だけで申請先を決めず、新しい使用の本拠から確認します。
管轄が変わるとナンバープレートの変更が必要になることがある
名義変更によって使用の本拠の管轄が変わる場合は、ナンバープレートの変更が必要になることがあります。
例えば、
旧所有者
→ 他県
新所有者
→ 愛知県三河
というケースです。
普通車では、新しいナンバープレートへ変更する場合、封印の手続きも関係します。
そのため、
書類だけ運輸支局へ持っていけば名義変更が終わるケース
と、
ナンバープレート交換・封印まで必要になるケース
があります。
名義変更前に、現在のナンバーと新しい使用の本拠を確認しておくことが重要です。
希望ナンバーに変更するなら名義変更と合わせて準備する
名義変更に伴ってナンバーが変わる場合、
「せっかくなら希望ナンバーにしたい」
ということもあります。
希望ナンバーは、名義変更窓口でその場で希望番号を伝えれば必ず交付される仕組みではありません。
事前申込みが必要です。
抽選対象番号では交付までの日程も変わるため、名義変更予定日から逆算して準備します。
ナンバー変更があるかを先に確認しておけば、通常番号にするのか希望番号にするのかも合わせて決められます。
ローン中の車は車検証の「所有者」を確認する
ローンで購入した車では、
使用者
→ 車を購入した本人
所有者
→ ディーラー・信販会社
となっていることがあります。
いわゆる所有権留保です。
この状態では、使用者だけの判断で通常の個人間売買と同じように名義変更を進めることはできません。
まず車検証を確認し、所有者が販売店・信販会社等であれば、所有権解除等の手続きが必要か確認します。
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印鑑証明書を取る前に車検証を確認する
名義変更では、
「とりあえず新旧所有者の印鑑証明書を取ればよい」
と考えがちです。
しかし、先に車検証を確認した方が安全です。
確認したいのは、
- 所有者は誰か
- 使用者は誰か
- 車検証上の住所
- 現在の住所と同じか
- 氏名・法人名称に変更がないか
- 所有権留保がないか
です。
ここを確認せず書類を集め始めると、
印鑑証明書の住所と車検証が違う
↓
住民票を追加
↓
それでも住所がつながらない
↓
戸籍の附票が必要
というように、後から書類が増えることがあります。
関連記事
自動車登録でよくある失敗と対策|印鑑証明の期限切れ・書類不備
普通車と軽自動車では名義変更の手続きが違う
普通車と軽自動車では、同じ「名義変更」でも手続き先・必要書類が異なります。
| 比較 | 普通車 | 軽自動車 |
|---|---|---|
| 主な手続先 | 運輸支局等 | 軽自動車検査協会 |
| 主な手続 | 移転登録 | 名義変更 |
| 印鑑証明 | 原則として新旧所有者で確認 | 普通車とは取扱いが異なる |
| ナンバー変更 | 管轄変更時等 | 管轄変更時等 |
| 封印 | 普通車は対象 | なし |
軽自動車検査協会の2026年4月13日更新案内では、名義変更について車検証原本、新使用者の住所を証する書面、必要な場合のナンバープレート等を案内しています。
そのため、普通車の必要書類をそのまま軽自動車へ当てはめないようにします。
軽自動車検査協会公式:軽自動車の名義変更に必要な書類を確認する
相続による名義変更は通常の売買・譲渡とは書類が違う
所有者が亡くなったことによる名義変更では、通常の売買とは必要書類が異なります。
相続人の確認や、
- 戸籍関係書類
- 遺産分割協議書
- 遺言書
- 車の査定額
などが関係する場合があります。
そのため、
「故人の印鑑証明書と譲渡証明書を用意する」
という通常の個人間譲渡と同じ考え方では進めません。
相続車両については、相続用の手続きを確認します。
名義変更を自分でするか依頼するか
書類関係が単純で、
- 車検証と現在住所が一致
- ローン会社等の所有権なし
- 新旧所有者から必要書類をすぐ取得できる
- 平日に運輸支局へ行ける
- ナンバー変更の段取りもできる
という場合は、自分で手続きすることも可能です。
一方、
- 車検証の住所が何代も前
- 法人が関係する
- 所有者と使用者が違う
- 遠方の売主・買主とのやり取りがある
- ナンバー変更がある
- 必要書類の判定に不安がある
場合は、書類確認だけでも負担が大きくなります。
重要なのは、「申請書を書けるか」よりも、現在の車検証と取引内容から必要な手続きを正しく切り分けられるかです。
車の名義変更はこの順番で確認する
名義変更を進める場合は、次の順番で整理すると分かりやすくなります。
- 車検証を確認する
- 現在の所有者・使用者を確認する
- 誰から誰へ所有権を移すのか整理する
- ローン会社等の所有権留保がないか確認する
- 車検証と現在の住所・氏名を比較する
- 住所・氏名のつながりを証明する追加書類を確認する
- 車庫証明が必要か確認する
- 新旧所有者の印鑑証明書等を準備する
- 譲渡証明書・委任状等を作成する
- ナンバー変更の有無を確認する
- 運輸支局等で移転登録する
- 必要ならナンバー交換・封印を行う
- 新しい車検証の内容を確認する
最初に車検証を確認するだけで、必要書類や手続きの多くを整理できます。
「名義を変えるだけ」と思って書類を集め始めない
車の名義変更自体は一般的な自動車登録手続きですが、実際には車ごとに状況が違います。
特に、
車検証の住所が古い
所有者がローン会社
売主が法人
所有者と使用者が違う
管轄が変わる
相続が原因
といった場合は、単純な必要書類一覧だけでは判断できません。
まず車検証を確認し、
現在の登録状態
↓
今回変える内容
↓
必要書類
↓
申請先
↓
ナンバー・封印
の順番で整理することが重要です。
愛知県三河の車の名義変更についてご相談ください
いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、自動車の名義変更・移転登録に関するご相談を受けています。
「中古車を譲ってもらったので名義変更したい」
「県外の人から購入した車を愛知県で登録したい」
「車検証と印鑑証明書の住所が違う」
「ローン会社名義になっているが名義変更できるか確認したい」
「平日に登録手続きへ行く時間がない」
という場合は、現在の車検証、譲渡の内容、新旧所有者の住所、ナンバー変更の有無などを確認しながら必要な書類・手続きを整理します。
何を準備すればよいか分からない段階でもご相談ください。
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出典
国土交通省公式:車を売買等により名義変更するためには、国土交通省公式:車を売買等により名義変更するために必要な書類、国土交通省公式:引越をした時、名義変更した時の手続について、国土交通省公式:自動車検査登録総合ポータルサイトQ&A、軽自動車検査協会公式:名義変更(売買・譲渡・その他)
この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
