墓の名義人が亡くなっている場合、墓じまいはできる?

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

墓じまいをしようとして現在のお墓を確認したところ、

「墓地の名義が亡くなった父のままだった」

「祖父名義のお墓をそのまま使っている」

「墓地使用許可証の名義人が何十年も前に亡くなっている」

ということがあります。

この場合でも、墓じまいができなくなるわけではありません。

ただし、現在の墓地使用者(名義人)が亡くなっている場合は、

親族等で墓地を引き継ぐ人を決める

墓地使用権の承継(名義変更)を確認する

改葬許可の手続きをする

遺骨を移す

墓石を撤去する

墓地を返還する

という流れになることがあります。

墓地によっては、

承継手続きと墓地返還を同時に行える場合

もあります。

そのため、

「名義人が亡くなっているから墓じまいできない」

と考える必要はありません。

まず現在の墓地管理者へ、

「墓地使用者が亡くなっている状態で墓じまいをしたい」

と伝え、承継・返還の手続きを確認することが重要です。

墓の名義人が亡くなっていても墓じまいはできる

墓地には通常、

「墓地使用者」
「墓地利用者」
「墓地使用権者」

などと呼ばれる名義人がいます。

墓じまいでは、この墓地使用者が墓地の返還手続きをする仕組みになっている墓地があります。

そのため、名義人がすでに亡くなっている場合は、

亡くなった人の名義のまま返還する

のではなく、

墓地使用権を引き継ぐ人を決めて、承継手続きを行う

ことがあります。

例えば名古屋市の八事霊園・愛宕霊園では、墓地使用者が死亡した場合、墓地名義変更(承継)が必要です。

また、墓地使用者が亡くなった状態では墓地返還はできないため、親族等で承継者を決め、

承継と墓地返還を同時に申請する「承継返還」

によって墓じまいできると案内しています。

公式資料

名古屋市|八事霊園・愛宕霊園 よくある質問

名古屋市|八事霊園・愛宕霊園 各種オンライン申請

まず「誰が墓地の名義人か」を確認する

墓じまいを考えたら、現在の墓地使用者を確認します。

確認できるものとしては、

  • 墓地使用許可証
  • 永代使用許可証
  • 墓地管理者の台帳
  • 寺院・霊園の記録

などがあります。

家族の間では、

「父のお墓」
「祖父が建てたお墓」

と思っていても、正式な墓地使用者が別の人になっている場合があります。

例えば、

墓石を建てた人:父
墓地使用者:祖父

ということもあります。

墓石に刻まれている名前と、墓地使用権の名義人が同じとは限りません。

そのため、最初に墓地管理者へ、

「現在の墓地使用者は誰になっていますか」

と確認してください。

名義人が亡くなっている場合は承継する人を決める

墓地使用者が亡くなっている場合は、次に墓地使用権を誰が引き継ぐかを決めます。

自治体の公営墓地では、

  • 墓地使用者の親族
  • 墳墓の祭祀を主宰する人

などを承継者とする制度が多く見られます。

例えば岡崎墓園では、墓地利用権を承継できる対象者を、

墓地使用者から墳墓の祭祀を引き継いで主宰する人

としています。

名古屋市では、原則として、

  • 墓地使用者の親族
  • 家庭裁判所により祭祀を主宰する者として定められた人

が承継対象とされています。

つまり、

「長男だから自動的に墓の名義人になる」

という単純な仕組みとは限りません。

誰が今後そのお墓・遺骨の祭祀を主宰するのかを親族間で確認して決めます。

公式資料

岡崎市|岡崎墓園墓地利用権承継承認申請書

名古屋市|八事霊園・愛宕霊園 よくある質問

墓地使用権は通常の相続財産と同じように考えない

お墓について、

「父が亡くなったから、兄弟3人で3分の1ずつ相続する」

というイメージを持つことがあります。

しかし、お墓や墓地使用権は、預金や不動産など通常の相続財産とは同じように扱わない点に注意が必要です。

墓地の承継では、

祭祀を主宰する人

が重要になります。

そのため、相続人全員が墓地使用者になるわけではなく、一人の承継者を決める墓地制度が一般的です。

公営墓地でも、承継者について親族・祭祀主宰者を基準とする例があります。

親族が複数いる場合は、

「誰が墓じまいの手続きを進めるか」

について十分に話し合っておく方がよいでしょう。

公式資料

岡崎市|岡崎墓園墓地利用権承継承認申請書

承継してすぐ墓じまいしてもいい?

「今後お墓を使う予定がないのに、一度自分へ名義変更してから墓じまいするのは二度手間では?」

と思うかもしれません。

墓地によっては、

承継

墓じまい

を別々に行わず、

承継と返還を同時に行える場合があります。

名古屋市の八事・愛宕霊園では、名義人が亡くなっている場合、

承継する人を親族等で決め

承継手続きと墓じまい(墓地返還)を同時申請

することができます。

つまり、

亡くなった父

子へ正式に承継

何年か使用

その後墓じまい

という手順を必ず踏まなければならないわけではありません。

最初から墓じまいするのであれば、

「承継返還のような手続きはありますか」

と墓地管理者へ確認してください。

公式資料

名古屋市|八事霊園・愛宕霊園 よくある質問

承継手続きにはどんな書類が必要?

必要書類は墓地によって異なります。

例えば名古屋市の八事・愛宕霊園で、

死亡した墓地使用者の子が承継する一般的なケースでは、

  • 墓地使用承継申請書
  • 誓約書
  • 前名義人の死亡が確認できる戸籍・除籍
  • 承継者の戸籍
  • 承継者の住民票
  • 承継者の印鑑登録証明書
  • 墓地使用許可証

などが案内されています。

一方、一宮市営墓地では、

  • 承継使用承認申請書
  • 墓地使用許可証
  • 誓約書
  • 承継者の本人確認書類
  • 前使用者の死亡が確認できる書類

などが案内されています。

このように、必要書類は墓地ごとに違います。

「墓地名義変更には必ず戸籍○通」

と全国共通で考えず、墓地管理者へ確認してください。

公式資料

名古屋市|八事霊園・愛宕霊園 よくある質問

一宮市|市営墓地の手続き

墓地使用許可証をなくしていても確認する

古いお墓では、

「墓地使用許可証が見つからない」

ということもあります。

名義人が何十年も前に亡くなっている場合は特に、

  • 誰が保管していたか分からない
  • 相続時に書類を整理していない
  • 引っ越しで紛失した

というケースがあります。

使用許可証が見つからないからといって、すぐに墓じまいできないと決まるわけではありません。

例えば名古屋市では、名義変更時に墓地使用許可証を紛失している場合は不要とする取扱いが示されています。

一宮市でも、墓地使用許可証を紛失した場合の取扱いを申請書上で設けています。

まず墓地管理者に、

「墓地使用許可証が見つからない」

と伝えてください。

公式資料

名古屋市|八事霊園・愛宕霊園 よくある質問

一宮市|市営墓地の手続き

改葬許可と墓地の名義変更は別の手続き

ここは混同しやすいポイントです。

墓じまいでは、

墓地使用権の承継

遺骨の改葬許可

が関係することがあります。

墓地使用権の承継

誰が現在のお墓を管理・返還する立場になるのかを整理する手続きです。

申請先は墓地管理者です。

改葬許可

現在のお墓にある遺骨を、別の墓地・納骨堂へ移すための行政手続きです。

申請先は、現在遺骨がある場所の市区町村です。

つまり、

墓地管理者
→ 墓地の名義・返還

市区町村
→ 遺骨の改葬許可

という違いがあります。

公営墓地では同じ自治体が両方を扱うことがありますが、制度としては分けて考えると分かりやすくなります。

公式資料

厚生労働省|墓地、埋葬等に関する法律

名古屋市|八事霊園・愛宕霊園 各種オンライン申請

改葬許可の申請者と墓地使用者が違う場合は?

墓地、埋葬等に関する法律施行規則では、改葬許可申請書に、

  • 申請者と死亡者との続柄
  • 申請者と墓地使用者との関係

を記載します。

そして、申請者が墓地使用者等本人ではない場合は、原則として、

墓地使用者等の改葬についての承諾書

を添付します。

例えば、

墓地使用者:母
改葬申請者:子

という場合です。

ただし、墓地使用者本人がすでに死亡しているのであれば、亡くなった人から承諾書をもらうことはできません。

このような場合は、

  • 墓地使用権の承継
  • 誰を現在の墓地使用者として扱うか
  • 自治体・墓地側の必要書類

を先に確認する必要があります。

したがって、

「名義人は死亡しているが、子である自分がそのまま改葬申請すればよい」

と自己判断しない方が安全です。

公式資料

厚生労働省|墓地、埋葬等に関する法律施行規則

豊田市|お墓、お骨の移転に伴う改葬許可申請

名義人が何代も前の人の場合は?

古いお墓では、

祖父が死亡

父が承継手続きをしないまま使用

父も死亡

子が墓じまい

というケースもあります。

つまり、墓地の正式な名義が祖父のまま残っている状態です。

この場合も、

「父を経由して二回名義変更しなければならない」

と全国一律に決まっているわけではありません。

誰が現在の祭祀主宰者になるのか、どのような書類で関係を証明するかは墓地管理者の規則によって異なります。

例えば、

祖父



自分

という親族関係を戸籍で確認し、現在の祭祀主宰者へ承継する取扱いになることがあります。

必要な戸籍の範囲もケースによって変わります。

古い墓ほど、最初に墓地管理者へ名義状況を確認してから戸籍を集める方が無駄を減らせます。

兄弟姉妹がいる場合は勝手に名義変更していい?

名義人が親で、子どもが複数いるケースです。

例えば、

父が死亡

長男・次男・長女がいる

長男が墓じまいしたい

という場合です。

墓地の承継者は、通常の相続財産のように兄弟全員で共有するとは限りません。

一人の祭祀主宰者へ承継する制度が一般的です。

ただし、だからといって他の親族へ何も伝えず進めるのは避けた方がよいでしょう。

名古屋市も、墓地名義変更にあたって親族等関係人と十分に話し合うよう案内しており、承継者と前名義人との続柄によっては、より近い親族の同意書を求める場合があります。

墓じまいまで予定しているのであれば、

  • 誰が承継するか
  • 遺骨をどこへ移すか
  • 墓じまいすることに異論がないか

を親族間で確認しておく方が安全です。

公式資料

名古屋市|八事霊園・愛宕霊園 よくある質問

名義人が亡くなっている場合の墓じまいの流れ

一般的には次のように整理できます。

STEP1 墓地の現在の名義人を確認する

墓地使用許可証・墓地管理者の記録を確認します。

STEP2 親族で承継者を決める

誰が祭祀を主宰し、墓じまい手続きを進めるか確認します。

STEP3 墓地管理者へ承継方法を確認する

通常の名義変更か、承継と返還を同時にできるかを確認します。

STEP4 必要な戸籍等を準備する

前名義人の死亡や、承継者との親族関係を証明します。

STEP5 新しい納骨先を決める

遺骨の改葬先を決めます。

STEP6 改葬許可の必要書類をそろえる

現在の墓地管理者から埋蔵・収蔵証明を受けます。

STEP7 改葬許可を申請する

現在遺骨がある市区町村へ申請します。

STEP8 改葬許可証を受け取る

許可後に遺骨を移します。

STEP9 墓石を撤去する

墓地管理者・石材店と調整します。

STEP10 墓地を返還する

承継返還など、墓地管理者の方法に従って完了します。

名義人死亡で特に確認したい7項目

墓じまい前に、次の7項目を確認してください。

  1. 現在の正式な墓地使用者は誰か
  2. その名義人はいつ亡くなったか
  3. 墓地使用許可証は残っているか
  4. 誰が祭祀を主宰するのか
  5. 親族間で墓じまいについて話し合ったか
  6. 承継と返還を同時にできる墓地か
  7. 改葬許可申請者を誰にするか

特に重要なのは、

「遺骨を移す改葬許可」と「墓地を返すための名義整理」を別々に確認すること

です。

名義人が亡くなっているからといって墓じまいを諦める必要はありませんが、通常の墓じまいより一段階確認が増える可能性があります。

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墓の名義人が亡くなっている場合もご相談ください

墓地使用者が亡くなったままになっていても、墓じまいができなくなるわけではありません。

ただし、

  • 墓地使用権の承継
  • 親族関係の確認
  • 戸籍等の準備
  • 改葬許可
  • 墓地返還

を順番に整理する必要があります。

特に、

  • 何代も前の人が名義人になっている
  • 墓地使用許可証が見つからない
  • 兄弟姉妹が複数いる
  • 誰が承継すればよいか分からない
  • 墓じまいするためだけに名義変更が必要か分からない

という場合は、最初に墓地管理者の規則を確認することが重要です。

いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、墓じまい・改葬許可に関する手続きをサポートしています。

現在の墓地名義、承継する人、改葬する遺骨、新しい納骨先などを確認しながら、墓地の承継と改葬許可をどの順番で進めるかから整理します。

お気軽にお問い合わせください

0566-68-5511

営業時間 9:00-21:00(土・日・祝日も対応)

出典

この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。

厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律」厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」名古屋市「八事霊園・愛宕霊園 よくある質問」名古屋市「八事霊園・愛宕霊園 各種オンライン申請」岡崎市「岡崎墓園墓地利用権承継承認申請書」一宮市「市営墓地の手続き」豊田市「お墓、お骨の移転に伴う改葬許可申請」

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