
この記事は行政書士が執筆・監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
60代になると、老後の生活、健康、介護、相続、住まいのことがより現実的になってきます。
特に、未婚の方、子どもがいない方、親族と疎遠な方は、自分に何かあったときに誰が手続きをしてくれるのか不安になることがあります。
「入院したとき、緊急連絡先を誰にすればよいのか」
「認知症になったら、預金や契約は誰が管理するのか」
「亡くなった後、葬儀や納骨、部屋の片付けは誰がするのか」
「財産は誰に引き継がれるのか」
60代からのおひとりさま終活で大切なのは、気持ちだけで終わらせず、実際に手続きできる形に整理しておくことです。
この記事では、60代から始めるおひとりさま終活で、今から整理しておきたいことを解説します。
60代のおひとりさま終活は具体化が大切
50代の終活は、将来の不安を整理する段階でも十分です。
しかし、60代からのおひとりさま終活では、少しずつ具体的な準備に進めることが大切です。
もちろん、すべてを一度に決める必要はありません。
ただし、入院、介護、認知症、死後の手続きは、いつ必要になるか分かりません。
元気なうちに整理しておくことで、いざというときの負担を減らすことができます。
60代で確認したいことは、主に次のような内容です。
| 整理すること | 確認したい内容 |
|---|---|
| 緊急連絡先 | 入院・事故・施設入所のとき誰に連絡するか |
| 相続人 | 誰が法律上の相続人になるか |
| 財産・契約 | 預金、保険、不動産、借金、スマホ契約など |
| 遺言書 | 財産を誰に残したいか |
| 任意後見 | 認知症になったとき誰に支援してもらうか |
| 死後事務 | 葬儀、納骨、解約、家財整理を誰に頼むか |
| 住まい | 持ち家・賃貸・施設入所の備え |
| ペット | 自分に何かあった後の飼育先 |
60代の終活では、エンディングノートを書くだけで安心するのではなく、必要に応じて遺言書、任意後見契約、財産管理委任契約、死後事務委任契約なども検討します。
まずは、自分に何かあったときに誰が動けるのかを確認しましょう。
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緊急連絡先と頼れる人を確認する
60代からのおひとりさま終活で最初に確認したいのは、緊急連絡先です。
入院、手術、事故、施設入所などの場面では、緊急連絡先や身元保証人を求められることがあります。
配偶者や子どもがいない場合、誰の名前を書くのかで迷いやすくなります。
まずは、次の人を書き出してみましょう。
- 兄弟姉妹
- 甥姪
- 親戚
- 友人
- 近所の人
- 元同僚
- 普段から連絡を取っている人
ここで大切なのは、法律上の親族かどうかだけでなく、実際に連絡が取れるかです。
兄弟姉妹がいても、遠方に住んでいる、高齢で動けない、長年連絡を取っていないという場合があります。
甥姪がいても、急に入院手続きや死後の手続きを頼むのは難しいかもしれません。
頼れる人がいる場合は、どこまで頼めるのかを整理します。
入院時の連絡だけ頼めるのか
病院からの連絡先として名前を書ける人がいるかを確認します。
ただし、緊急連絡先になってもらうことと、医療費の支払いや身元保証まで頼むことは別です。
施設入所の手続きまで頼めるのか
将来施設に入る場合、契約手続きや緊急時の連絡先が必要になることがあります。
親族や知人がどこまで対応できるのかを確認しておくと安心です。
亡くなった後の手続きまで頼めるのか
葬儀、納骨、部屋の片付け、公共料金の解約などは、亡くなった後に発生します。
生前に頼んでおかなければ、誰が対応するのか分からない状態になることがあります。
親族や知人に頼みにくい場合は、死後事務委任契約などの準備を検討します。
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相続人と財産を整理する
60代からのおひとりさま終活では、相続人と財産の整理も重要です。
未婚で子どもがいない場合、親が存命なら親が相続人になることがあります。
親が亡くなっている場合は、兄弟姉妹が相続人になることがあります。
兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、甥姪が相続人になることもあります。
ここで注意したいのは、普段付き合いがない親族でも、法律上は相続人になることがあるという点です。
自分では「誰にも迷惑をかけたくない」と思っていても、何も準備していないと、亡くなった後に疎遠な親族へ連絡が行く可能性があります。
まずは、次の内容を整理しましょう。
相続人になりそうな人を書き出す
兄弟姉妹、甥姪、親戚など、法律上の相続人になりそうな人を書き出します。
正確な判断には戸籍確認が必要ですが、最初は分かる範囲で構いません。
財産の一覧を作る
預貯金、不動産、生命保険、株式、投資信託、車、貴金属、現金などを整理します。
金額を細かく書く必要はありません。
最初は、どこの銀行に口座があるか、どの保険会社と契約しているか、どの不動産があるかを一覧にするだけでも十分です。
借金やローンも確認する
住宅ローン、カードローン、未払い金、保証債務などがないかも確認します。
相続では、プラスの財産だけでなく、借金も問題になります。
スマホやネット契約も整理する
ネット銀行、ネット証券、スマホ決済、サブスク、SNS、クラウドサービスなども確認します。
紙の通帳や郵便物がない契約は、亡くなった後に見つかりにくいことがあります。
ログイン情報の扱いには注意が必要ですが、どのサービスを利用しているかは一覧にしておくと安心です。
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遺言書・任意後見・死後事務を考える
60代からのおひとりさま終活では、必要に応じて法律書類や契約を検討する段階に入ります。
代表的なものは、遺言書、任意後見契約、財産管理委任契約、死後事務委任契約です。
名前だけ聞くと難しく感じるかもしれませんが、それぞれ役割が違います。
| 準備するもの | 主な役割 |
|---|---|
| 遺言書 | 財産を誰に残すかを決める |
| 任意後見契約 | 判断能力が低下した後の支援者を決める |
| 財産管理委任契約 | 判断能力があるうちの手続き支援を頼む |
| 死後事務委任契約 | 亡くなった後の葬儀・納骨・解約などを頼む |
遺言書
遺言書は、亡くなった後に財産を誰へ引き継ぐかを決めるための書類です。
相続人ではない友人やお世話になった人、団体などに財産を残したい場合は、遺言書が重要になります。
また、兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合でも、誰に何を残すのかをはっきりさせたい場合は遺言書を検討します。
任意後見契約
任意後見契約は、将来、認知症などで判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ支援してくれる人を決めておく契約です。
施設入所、介護契約、財産管理、役所手続きなどが必要になったときに備えます。
おひとりさまの場合、判断能力が低下した後に誰が動くのかが大きな問題になります。
財産管理委任契約
財産管理委任契約は、判断能力はあるものの、体力的に銀行や役所へ行くのが難しくなった場合などに備える契約です。
預貯金の管理、支払い、役所手続きなどを誰に頼むかを決めます。
任意後見契約とは役割が違うため、自分に必要な準備を整理することが大切です。
死後事務委任契約
死後事務委任契約は、亡くなった後の手続きを誰に頼むかを決める契約です。
葬儀、納骨、病院や施設への支払い、賃貸住宅の解約、家財整理、公共料金やスマホの解約などが関係します。
遺言書は財産の行き先を決めるものですが、死後事務委任契約は亡くなった後の実務を頼むものです。
おひとりさま終活では、この違いを理解しておくことが大切です。
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住まい・入院・施設入所を整理する
60代になると、住まいのことも現実的に考えておきたい時期です。
持ち家なのか、賃貸住宅なのか、将来施設に入る可能性があるのかによって、準備すべき内容が変わります。
持ち家の場合
持ち家がある場合は、将来誰が相続するのか、空き家になった場合に誰が管理するのかを考える必要があります。
固定資産税、草木の管理、防犯、売却、相続登記などが関係します。
不動産の登記は司法書士の分野ですが、遺言書や相続人・財産の整理は行政書士がサポートできる場合があります。
賃貸住宅の場合
賃貸住宅に住んでいる場合は、亡くなった後の部屋の明け渡しや家財整理が問題になります。
家財が多いと、片付けに時間や費用がかかることがあります。
大家さんや管理会社に迷惑をかけないためにも、誰が解約や片付けをするのかを考えておくことが大切です。
入院した場合
急な入院では、緊急連絡先、医療費の支払い、退院後の生活、ペットの世話などが問題になります。
保険証、診察券、医療保険、服薬情報、かかりつけ医の情報をまとめておくと安心です。
施設入所が必要になった場合
将来、介護施設や高齢者施設に入る場合、契約手続き、緊急連絡先、身元保証、費用の支払いなどが必要になることがあります。
施設によって求められる内容は異なります。
身元保証そのものは、行政書士だけで解決できる問題ではありませんが、任意後見、財産管理、死後事務などとあわせて整理しておくことは大切です。
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ペットや身の回りの契約も後回しにしない
おひとりさま終活では、財産や遺言書だけでなく、生活まわりのことも重要です。
特に、ペット、スマホ、公共料金、サブスクなどは、本人しか分からないことが多いです。
ペットを飼っている場合
犬や猫などのペットを飼っている場合、自分が入院したとき、施設に入ったとき、亡くなった後に誰が世話をするのかを考える必要があります。
引き取り先、預け先、飼育費用、かかりつけ動物病院、フード、性格、持病などを整理しておきましょう。
「誰かが何とかしてくれるだろう」と考えるのではなく、具体的に頼める人や団体を確認することが大切です。
スマホやサブスク契約
スマホ、インターネット、動画配信、音楽配信、通販サイト、クラウドサービスなども確認します。
毎月の支払いが発生している契約は、亡くなった後に解約が必要になります。
クレジットカード明細や銀行口座の引き落としを確認し、契約一覧を作っておくと安心です。
公共料金や保険
電気、ガス、水道、固定電話、火災保険、医療保険、自動車保険なども整理します。
亡くなった後に誰が解約や名義変更を行うのかを考えておく必要があります。
家財整理
長年住んでいると、家財や書類が増えます。
重要書類、思い出の品、処分してよい物を分けておくと、後で手続きする人の負担が軽くなります。
60代から少しずつ整理しておくと、体力的にも進めやすいです。
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よくある失敗例
60代からのおひとりさま終活でよくある失敗は、気になっているのに手続きを後回しにしてしまうことです。
エンディングノートだけで安心してしまう
エンディングノートは、自分の希望や情報を整理するには役立ちます。
しかし、エンディングノートだけでは、財産の行き先を法的に決めたり、死後の手続きを正式に依頼したりすることは難しい場合があります。
遺言書や死後事務委任契約とは役割が違います。
親族が何とかしてくれると思っている
親族がいる場合でも、遠方、高齢、疎遠などの事情で、実際に動けないことがあります。
親族がいることと、入院や死後の手続きを任せられることは別です。
財産の場所を誰にも伝えていない
通帳、保険証券、不動産書類、証券口座、ネット銀行などの情報が整理されていないと、亡くなった後に財産が見つからないことがあります。
財産の金額よりも、どこに何があるかを分かるようにしておくことが大切です。
認知症になってから考えればよいと思っている
任意後見契約や遺言書は、自分の意思を確認できるうちに準備することが重要です。
判断能力が低下してからでは、希望どおりに準備できない可能性があります。
死後の手続きを遺言書だけで済むと思っている
遺言書は、財産の行き先を決めるために重要です。
しかし、葬儀、納骨、賃貸住宅の解約、家財整理、スマホや公共料金の解約などは、死後事務委任契約で整理した方がよい場合があります。
まとめ
60代から始めるおひとりさま終活では、将来の不安を考えるだけでなく、実際に手続きできる形に整理していくことが大切です。
まずは、緊急連絡先、頼れる人、相続人、財産、住まい、ペット、スマホや契約関係を確認しましょう。
そのうえで、必要に応じて遺言書、任意後見契約、財産管理委任契約、死後事務委任契約などを検討します。
おひとりさま終活は、最初からすべてを完璧に決める必要はありません。
ただし、60代からは「そのうち考える」だけでなく、少しずつ書類や契約として形にしていくことが安心につながります。
碧南市、西尾市、高浜市、安城市周辺で、60代からのおひとりさま終活に不安がある方は、いしかわ行政書士事務所へご相談ください。
遺言書、任意後見、財産管理、死後事務委任、相続人や財産の整理など、状況に合わせて分かりやすくサポートいたします。
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