運送業許可の更新制はいつから?施行時期と今から準備したいこと

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

「運送業許可が5年ごとの更新制になると聞いたが、いつから更新が必要なのか」

「以前に取得した許可も更新の対象になるのか」

このように気になっている運送会社も多いのではないでしょうか。

運送業許可の更新制は、2025年6月11日に公布された改正貨物自動車運送事業法で導入が決まりました。

ただし、2026年8月10日時点では、更新制が始まる具体的な施行日はまだ決まっていません。

法律では、公布日から3年以内に政令で定める日から施行するとされています。したがって、遅くとも2028年6月10日までに施行される予定ですが、「2028年6月11日から始まる」と決まったわけではありません。

結論|更新制の具体的な開始日はまだ決まっていない

運送業許可の更新制について、現在分かっている内容を整理すると次のとおりです。

確認項目2026年8月10日時点の内容
改正法の公布日2025年6月11日
更新制の施行日公布日から3年以内に政令で定める日
施行期限2028年6月10日まで
更新期間原則5年ごと
対象一般貨物自動車運送事業・特定貨物自動車運送事業
既存事業者更新制の対象。ただし初回更新は分散される
貨物軽自動車運送事業許可制ではないため、今回の許可更新制の対象外
詳細な申請方法今後の政省令などで具体化される予定

2026年4月1日に施行された委託次数の制限に関する努力義務や、違法な白トラ利用への規制強化と、許可更新制の施行時期は異なります。

「改正貨物自動車運送事業法の一部が2026年4月に施行されたため、許可更新制も始まった」と考えないよう注意してください。

運送業許可は5年ごとの更新制になる

現在の一般貨物自動車運送事業の許可には、原則として有効期限がありません。

改正法の施行後は、一般貨物自動車運送事業と特定貨物自動車運送事業の許可について、5年ごとの更新が必要になります。

更新を受けないまま有効期間が経過すると、法律上は許可の効力を失います。

一方、更新申請を期限までに行ったものの、有効期間の満了日までに行政の処分が出なかった場合は、処分が出るまで従前の許可が有効とされる仕組みです。

更新時には、新規許可と同じように、事業計画や事業を適切に行う能力、法令を守って事業を続けられる見込みなどが確認されます。

改正法では、更新の審査に関係する内容として、次の点が示されています。

  • 輸送の安全に関する基準を守っているか
  • 事業の健全な運営に必要な基準を守っているか
  • 適正原価を踏まえた運賃・料金の取扱い
  • ドライバーなどの適切な処遇
  • その他の法令を守って事業を続けられる見込み

ただし、更新申請の様式、提出時期、具体的な審査資料、手数料、審査方法などは、今後の政省令や国土交通省の案内を確認する必要があります。

現時点で必要書類を断定して準備するのではなく、許可内容と実際の事業状況に食い違いがないかを確認しておくことが先です。

既存の運送会社はいつ更新するのか

更新制が始まる前から許可を持っている運送会社も、更新の対象になります。

ただし、既存事業者全社が施行日から5年後の同じ日に更新を迎えるわけではありません。

改正法では、施行時に許可を受けている事業者について、施行日に新制度の許可を受けたものとみなしたうえで、最初の更新期限を分散させる経過措置が設けられています。

初回更新は、施行日から2年を経過した日から7年を経過する日までの間で、国土交通省令により事業者ごとの期限が定められる予定です。

事業者更新時期の考え方
更新制の施行後に新規許可を受ける事業者原則として許可から5年ごと
施行時に許可を持っている事業者初回のみ、施行後2年から7年の範囲で期限を分散
初回更新を終えた既存事業者その後は原則5年ごと

この経過措置は、既存事業者の更新申請が同じ時期に集中することを避けるためのものです。

したがって、自社の初回更新日を今の段階で「施行から5年後」と決めつけることはできません。施行日と省令が公表された後、自社に割り当てられる期限を確認する必要があります。

更新制に向けて今から準備したいこと

更新申請の細かな様式が決まる前でも、許可後管理の見直しは始められます。

特に確認したいのは、運輸局へ提出した許可・届出の内容と、現在の営業所・車庫・車両・管理者の状況が一致しているかです。

確認する項目今から確認したい内容
許可関係書類許可書、認可書、変更届、報告書の控えが保管されているか
営業所・車庫届け出た所在地、面積、収容能力と現在の状況が一致しているか
車両増車・減車・車両入替が正しく届け出られているか
会社情報商号、本店所在地、代表者、役員の変更届に漏れがないか
運行管理運行管理者・補助者の選任、点呼、教育記録が整っているか
整備管理整備管理者の選任、点検・整備記録が整っているか
報告書事業報告書・事業実績報告書を期限内に提出しているか
労務管理改善基準告示、健康診断、適性診断、労働時間管理に漏れがないか
運賃・取引運賃・料金、書面交付、委託関係を説明できる資料があるか
財務資料決算書や事業報告関係資料を年度ごとに保管しているか

最初から完璧な更新申請ファイルを作る必要はありません。

まず、過去の許可書や届出控えを一か所に集め、現在の営業所・車庫・車両・役員・管理者と照合してください。

書類が見つからない、変更届を提出したか分からないという場合は、その状態自体を記録します。確認できていない変更を推測で補うのではなく、いつ、何が変わったのかを整理することが先です。

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更新前に慌てないための社内整理

更新制への準備では、帳票を新しく作ることより、日常の管理を継続できる形に直すことが大切です。

更新直前に過去数年分の書類をまとめて作ろうとしても、点呼の実施状況や教育内容、車両変更の時期を正確に再現できないことがあります。

次の順番で整理すると、取りかかりやすくなります。

  1. 許可書・認可書・変更届・報告書の控えを集める
  2. 運輸局へ届け出ている内容と現在の状況を一覧にする
  3. 未届の可能性がある変更を分ける
  4. 点呼・運転日報・教育・健康管理などの帳票を確認する
  5. 年度ごとの事業報告書・事業実績報告書を確認する
  6. 書面交付や実運送体制管理簿など、近年の改正への対応状況を確認する
  7. 制度の施行日と初回更新期限が公表されたら社内予定へ登録する

未届の変更が見つかった場合は、更新時にまとめて説明すればよいと考えず、変更内容に応じた手続きを確認してください。

営業所や車庫の移転など、変更前に認可が必要となる手続きもあります。過去の変更内容によっては、通常の変更届だけでは整理できない可能性があります。

更新されない可能性があるのはどのような場合か

更新制が導入されたからといって、通常どおり事業を行っている会社の許可が自動的に失われるわけではありません。

一方で、更新は書類を提出すれば必ず認められる手続きともいえません。

改正法では、許可基準に「輸送の安全などの基準を守り、その他の法令を遵守して事業を遂行することが見込まれること」が追加されています。

そのため、次のような状態は早めに整理しておく必要があります。

  • 営業所や車庫が許可内容と一致していない
  • 増車・減車や役員変更などの届出が漏れている
  • 運行管理者や整備管理者の選任状況に問題がある
  • 点呼や運転者教育を実施した記録が残っていない
  • 事業報告書や事業実績報告書を提出していない
  • 行政処分や改善指示を受けた後の対応が終わっていない
  • 労働時間やドライバーの処遇に関する管理を説明できない
  • 適正原価を踏まえた運賃・料金の取扱いに問題がある

これらに一つ該当しただけで直ちに更新できないと断定することはできません。

具体的な審査基準や提出資料は今後示されるためです。しかし、更新期限が近づいてから数年分の不備を整理するより、日常の許可後管理として今から確認する方が手戻りを減らせます。

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よくある質問

Q
運送業許可の更新制は2028年6月11日から始まりますか?
A

2028年6月11日開始と決まっているわけではありません。改正法は2025年6月11日に公布され、更新制は公布日から3年以内に政令で定める日から施行されます。2026年8月10日時点では、国土交通省から具体的な施行日は示されていません。

Q
2026年4月1日から許可更新制が始まったのですか?
A

いいえ。2026年4月1日に施行されたのは、違法な白トラ利用への規制や委託次数の制限に関する努力義務などです。許可更新制と適正原価に関する規定は、別の日に施行されます。

Q
以前に取得した運送業許可も更新が必要ですか?
A

必要になります。ただし、施行時に許可を持っている事業者の初回更新期限は、施行後2年から7年の範囲で分散される予定です。自社の具体的な期限は、今後公表される省令や案内で確認する必要があります。

Q
新規許可を取った日から5年で更新になりますか?
A

今回導入されるのは、一般貨物自動車運送事業と特定貨物自動車運送事業の許可更新制です。貨物軽自動車運送事業は届出制であり、この許可更新制の対象ではありません。

Q
貨物軽自動車運送事業も5年更新になりますか?
A

今回導入されるのは、一般貨物自動車運送事業と特定貨物自動車運送事業の許可更新制です。貨物軽自動車運送事業は届出制であり、この許可更新制の対象ではありません。

Q
今から更新申請書を作成しておくべきですか?
A

具体的な申請様式や提出資料が確定していないため、更新申請書を先に作る段階ではありません。まずは許可書、変更届、報告書、営業所・車庫・車両・管理者の状況を照合し、未届や記録不足がないか確認してください。

まとめ

運送業許可の更新制は、2025年6月11日に公布された改正貨物自動車運送事業法によって導入が決まりました。

施行日は「公布日から3年以内に政令で定める日」とされており、2026年8月10日時点では具体的な開始日はまだ決まっていません。

制度の主なポイントは次のとおりです。

  • 一般貨物・特定貨物の許可は原則5年ごとの更新になる
  • 遅くとも2028年6月10日までに施行される予定
  • 既存事業者も更新の対象になる
  • 既存事業者の初回更新は施行後2年から7年の範囲で分散される
  • 更新申請の様式や詳しい審査資料は今後示される
  • 今からできる準備は、許可内容と現在の事業状況の照合である

施行日が決まってから慌てて帳票を作るのではなく、現在の許可書、届出控え、報告書、点呼・教育記録などを年度ごとに整理しておくと、更新準備の負担を減らせます。

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更新申請の細かな要件が決まる前でも、現在の許可内容と実際の営業所・車庫・車両・管理者が一致しているかは確認できます。

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出典

国土交通省「トラック適正化二法について」
衆議院「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」
衆議院法制局「令和7年に成立した衆法」

この記事は、2026年8月10日時点で公表されている改正貨物自動車運送事業法と国土交通省の案内をもとに作成しています。更新制の施行日、既存事業者の初回更新期限、更新申請の様式・提出時期・審査基準などが公表された場合は、記事内容を見直してください。

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