運送業許可の5年更新制はいつ始まる?今分かっている内容と準備すること

この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。

一般貨物自動車運送事業の許可について、

「5年ごとの更新制になる」

という話を聞いた運送会社も多いでしょう。

ただし、2026年9月現在、

まだ5年更新制は始まっていません。

2025年6月11日に公布された改正貨物自動車運送事業法で、一般貨物自動車運送事業の許可を5年ごとに更新する制度が導入されることは決まっています。

一方、具体的な施行日は、

公布の日から3年以内に政令で定める日

とされています。

そのため現時点では、

「2027年○月から」

「2028年4月から」

など、具体的な開始日を確定して案内できる段階ではありません。

今の運送会社がまず確認したいのは、

  • 5年更新制はすでに法律で決まっている
  • しかし現在はまだ施行前
  • 既存事業者が施行と同時に全社一斉更新するわけではない
  • 最初の更新には経過措置がある
  • 更新時には法令遵守などが改めて確認される

という点です。

5年更新制は法律ですでに決まっている

改正貨物自動車運送事業法では、一般貨物自動車運送事業の許可について、

5年ごとに更新を受けなければ、その効力を失う

という規定が新設されました。

これまで一般貨物自動車運送事業の許可には、通常の運転免許のような「5年ごとの更新」はありませんでした。

一度許可を受けた後は、

  • 変更届
  • 事業報告書
  • 事業実績報告書
  • 巡回指導
  • 監査

などによって許可後の状態を管理していました。

今後はそこに、定期的な「許可更新」が加わります。

いつから始まる?

2026年9月現在、具体的な施行日はまだ決まっていません。

国土交通省は、トラック適正化二法のうち、

  • 許可基準の追加
  • 許可更新制度
  • 適正原価の遵守義務
  • 労働者の適切な処遇確保

について、

2025年6月11日の公布から3年以内に施行

すると案内しています。

つまり、法律上の期限で見れば2028年6月11日までのどこかで施行されることになります。

ただし、

「2028年6月11日に必ず始まる」

という意味ではありません。

それより前に政令で施行日が決まる可能性があります。

2026年4月から始まった改正とは別

ここは混同しやすいところです。

2026年4月1日からすでに、

  • 違法な白トラ利用に関する荷主等への規制
  • 再委託を2回以内に抑える努力義務
  • 貨物利用運送事業者への書面交付義務等の拡大

が施行されています。

しかし、5年更新制はこの2026年4月施行分には含まれていません。

したがって、

「2026年4月から一般貨物の許可も5年更新になった」

という理解は誤りです。

更新されなければ許可はどうなる?

改正法では、5年ごとの更新を受けなければ、その期間の経過によって許可の効力を失う仕組みになっています。

つまり、制度開始後は、

「更新しなくてもそのまま営業できる」

という制度ではありません。

ただし、更新申請を適切に行っているのに、審査が有効期間満了日までに終わらなかった場合については、処分が出るまで従前の許可が有効となる規定も設けられています。

更新申請をしている会社が、行政側の審査待ちだけを理由に突然営業できなくなる仕組みではありません。

更新時は何を審査される?

詳細な審査方法や必要書類は、今後の国土交通省令などでさらに具体化されます。

ただし、法律上すでに重要な方向性は示されています。

改正法では、新規許可の基準に、

  • 輸送の安全に関する基準
  • 労働者の適切な処遇確保に関する基準
  • その他法令を遵守して事業を遂行できること

という観点が追加されます。

そして、この許可基準は更新にも準用されます。

そのため更新制度は、

「更新料を払って申請書を1枚出せば自動更新」

という制度ではないと考えておいたほうがよいでしょう。

「5年に一度だけ整えればいい」ではない

今後の更新を考えると、

「更新年になったら書類をそろえればいい」

と思うかもしれません。

しかし、更新で法令遵守状況等を見るのであれば、数年間の管理を更新直前だけで作り直すことはできません。

たとえば、

  • 点呼
  • 運転者教育
  • 健康管理
  • 定期点検
  • 労働時間管理
  • 変更届
  • 報告書

などは日常的に行うものです。

未実施だった過去の点呼を、更新前に後から実施することはできません。

5年更新制への準備は、更新申請書を作ることより、

普段の許可後管理を正しく続けること

になります。

既存の運送会社も施行日にすぐ更新する?

いいえ。

既存事業者には経過措置があります。

改正法では、制度施行前からすでに許可を持っている事業者について、最初の更新時期を分散させる仕組みが設けられています。

既存事業者の最初の更新については、施行日から起算して、

2年を経過した日から7年を経過する日までの間

で、国土交通省令により更新期限を設定する仕組みです。

つまり、

「制度開始日に全国の運送会社が一斉に5年更新申請」

とはなりません。

なぜ最初の更新を分散する?

全国には多数のトラック運送事業者があります。

制度施行直後に全社の更新申請が集中すれば、審査側も事業者側も対応が難しくなります。

そのため国土交通省が公表している施行イメージでは、

更新申請・審査を5年程度で一巡させる

考え方が示されています。

既存事業者には順番に最初の更新時期が設定されることになります。

自社の最初の更新日はまだ分からない

2026年9月現在、

「○○運送株式会社は2029年3月31日まで」

というような個別の初回更新期限はまだ決まっていません。

今後、

  • 更新制度の施行日
  • 省令
  • 既存事業者の更新時期の割当方法
  • 必要書類
  • 更新手数料
  • 審査方法

などが具体化されていくと考えられます。

そのため今の段階で、

「自社の更新期限を計算する」

必要はありません。

5年更新でGマークが必須になる?

2026年9月現在、一般貨物自動車運送事業の許可更新について、

「Gマークがなければ更新できない」

という制度は公表されていません。

Gマークは安全性優良事業所の認定制度であり、一般貨物自動車運送事業の許可とは別の制度です。

今後の詳細な更新審査基準は確認する必要がありますが、

5年更新制=Gマーク必須

と現段階で判断しないようにします。

巡回指導の評価が悪いと更新できない?

これについても、2026年9月時点で、

「巡回指導でD評価なら更新不可」

「E評価なら許可失効」

という単純な更新基準は公表されていません。

一方で、更新時には法令遵守や安全管理等が重要な審査要素になる方向です。

巡回指導で、

  • 点呼
  • 教育
  • 定期点検
  • 届出
  • 報告

などに問題があるなら、5年更新制に関係なく現在から改善する必要があります。

更新前に未提出の報告書が見つかったら?

これも今から整理しておきたいところです。

一般貨物自動車運送事業では、

  • 事業報告書
  • 事業実績報告書

を毎年提出します。

さらに、

  • 車両
  • 営業所
  • 車庫
  • 会社情報
  • 管理者

などに変更があれば必要な手続きを行います。

更新制度が始まった後に、

「届出上は車両10台だが実際には12台」

「車庫を移したが変更手続きをしていなかった」

「事業報告書を数年出していない」

という状態が初めて分かるより、今のうちに整理しておいたほうがよいでしょう。

更新制に向けて今すぐ新しい申請をする必要はない

制度開始前の現在、

「5年更新の申請書を出しておこう」

という手続きはありません。

今できるのは、現在の許可後管理を確認することです。

具体的には、

  • 現在の許可内容
  • 営業所
  • 車庫
  • 車両数
  • 管理者
  • 報告書
  • 点呼・教育
  • 労務管理

などが実態と合っているか確認します。

今からやっておきたいこと① 許可内容と現状を合わせる

最初に確認したいのは、現在の事業計画と実際の会社の状態です。

たとえば、

  • 営業所の所在地
  • 車庫の所在地
  • 車庫収容能力
  • 車両数
  • 会社名・住所
  • 役員

などです。

許可取得から長期間経っている会社ほど、その間に変更が増えています。

一度現在の状態と届出控えを照合します。

今からやっておきたいこと② 毎年の報告を確認する

次に、

  • 事業報告書
  • 事業実績報告書

が継続して提出されているか確認します。

担当者変更などで控えが見つからない場合は、

「たぶん出している」

で終わらせず、現在把握できる資料を整理します。

更新制度が始まるから行うというより、現在も必要な義務です。

今からやっておきたいこと③ 巡回指導の指摘を放置しない

最近の巡回指導で改善事項があった会社は、そのままにしません。

特に、

  • 点呼
  • 運転者教育
  • 健康診断
  • 適性診断
  • 定期点検
  • 届出・報告

など、法令遵守に関係する事項は改善を継続します。

更新直前の帳票整理ではなく、今から日常管理を直します。

今からやっておきたいこと④ 労働者の処遇も意識する

今回の改正では、許可制度と合わせて労働者の適切な処遇確保も重要なテーマになっています。

今後は、

  • 運転者の労働条件
  • 運賃・料金
  • 適正原価
  • 法令遵守

がより一体的に見られる方向です。

更新制度だけを単独で考えるより、

「適切な運賃で仕事を受け、安全と人件費を確保して事業を続けられる会社か」

という制度全体の方向を見ておいたほうがよいでしょう。

今後必ず確認したい情報

これから国土交通省から具体的な情報が出たら、特に次を確認します。

  • 更新制度の施行日
  • 自社の初回更新期限
  • 更新申請期間
  • 必要書類
  • 更新手数料
  • 審査基準
  • 更新できない具体的ケース
  • 過去の行政処分・違反の扱い
  • 巡回指導結果との関係
  • 既存事業者への案内方法

現段階で決まっていないものを予想して準備するより、現在の法令遵守状態を整えておくほうが確実です。

5年更新制について今分かっていること

項目2026年9月現在
5年更新制の導入法律で決定済み
更新間隔原則5年
施行日未決定
施行期限2025年6月11日公布から3年以内
2026年4月開始かいいえ
既存事業者の一斉更新しない
既存事業者の初回更新施行後2~7年の範囲で設定
更新審査許可基準等を準用
必要書類詳細は今後
更新手数料詳細は今後
Gマーク必須現時点でそのような公表なし

「まだ始まっていないから何もしない」でいい?

更新申請そのものについては、今はまだ何も出す必要はありません。

しかし、会社の管理については別です。

5年更新制が始まったときに、

「過去数年の管理を今から直す」

ことはできません。

特に、

  • 点呼
  • 教育
  • 健康管理
  • 点検
  • 労働時間
  • 変更届
  • 報告書

は日々・毎年積み重なるものです。

そのため、最も確実な更新対策は、

今の許可を正しく維持すること

です。

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まとめ

一般貨物自動車運送事業の5年更新制は、2025年6月11日に公布された改正貨物自動車運送事業法で導入が決まっています。

ただし、2026年9月現在はまだ施行されていません。

施行日は、

2025年6月11日の公布から3年以内に政令で定める日

となっており、具体的な開始日は今後決まります。

制度開始後は原則5年ごとの更新となります。

既存の運送会社については施行日に一斉更新するのではなく、施行後2年から7年の間に最初の更新期限を設定し、更新審査を順次進める仕組みです。

今の段階で更新申請をする必要はありません。

代わりに、

  • 許可内容と現在の状態が合っているか
  • 必要な変更届を出しているか
  • 事業報告書・事業実績報告書を提出しているか
  • 巡回指導の指摘を改善しているか
  • 点呼・教育・健康管理などを継続しているか

を確認しておきます。

5年更新制への一番の準備は、

更新直前に書類を作ることではなく、今から許可を正しく維持しておくこと

です。

5年更新制に向けて現在の許可内容を確認したい方へ

「許可取得からかなり年数が経っている」

「車両や車庫を何度も変更している」

「過去の変更届・報告書が全部そろっているか分からない」

という場合は、更新制度が始まる前に現在の状態を一度整理しておく方法があります。

いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、一般貨物自動車運送事業の許可後手続きに対応しています。

現在の営業所・車庫・車両・会社情報・報告状況を確認し、許可内容と実際の会社の状態に違いがないか整理します。

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出典

国土交通省|トラック適正化二法について

国土交通省|トラック適正化二法の施行時期

参議院|貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(令和7年法律第60号)

衆議院|貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案要綱

この記事は、2026年9月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。

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