この記事は、いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令・公的機関の情報を確認して作成しています。
親が亡くなって車を相続したものの、名義変更をしていない。
気づいたら15日を過ぎていた。
数か月、あるいは何年も故人名義のままになっている。
このような場合、
「もう期限を過ぎているけれど、今からできる?」
「15日を過ぎたら何か特別な手続きになる?」
「そのまま乗っていて大丈夫?」
と不安になることがあります。
普通車では、所有者に変更があった場合、原則としてその事由があった日から15日以内に移転登録を行います。
ただし、15日を過ぎたからといって、相続による名義変更ができなくなるわけではありません。
期限を過ぎていることに気づいたら、
今の車検証の所有者を確認し、相続人と車を取得する人を整理して、今から名義変更を進めます。
相続した普通車の名義変更は15日以内が原則
道路運送車両法では、登録自動車の所有者に変更があった場合、新しい所有者は、その事由があった日から15日以内に移転登録を申請することとされています。
相続によって所有者が変わる場合も、車の所有者変更に関する登録を行います。
そのため、
「相続だから名義変更には期限がない」
と考えて、そのまま放置するのは避けたほうがよいでしょう。
一方で、相続では、
相続人を確認する。
遺産分割協議をする。
誰が車を取得するか決める。
戸籍などを集める。
といった作業が必要になることもあります。
15日以内にすべて終わらなかったからといって、そこで手続きができなくなるわけではありません。
15日を過ぎていたら今から名義変更する
すでに15日を過ぎている場合でも、基本的にやることは、
故人から相続人への名義変更を進めること
です。
「期限を過ぎた人専用の名義変更」が別にあるわけではありません。
まず現在の状態を確認します。
最初に車検証を見る
確認するのは、
所有者。
使用者。
登録されている住所。
車種。
です。
親が乗っていた車でも、車検証の所有者が親とは限りません。
ローンで購入していた場合は、
所有者
→販売店・信販会社
使用者
→亡くなった親
となっていることがあります。
この場合は、通常の相続による名義変更だけではなく、ローンや所有権解除の確認が先になることがあります。
車検証の所有者が故人なら相続人を確認する
車検証上の所有者が亡くなった親本人なら、次に相続人を確認します。
たとえば、
父が死亡。
母と子2人が相続人。
という場合です。
この状態で、
「自分がずっと乗っていたから自分名義にする」
と一人だけで決められるとは限りません。
相続人が複数いる場合は、誰がその車を取得するかを決めます。
自分が相続すると決まっている場合
相続人間で、
「この車は長男が相続する」
などと決まっているなら、その内容に基づいて相続による名義変更を進めます。
普通車では、遺産分割協議書などが必要になる場合があります。
まだ誰が相続するか決めていない場合
期限を過ぎているからといって、誰の名義にするか決めないまま申請を急ぐことはできません。
まず、
誰が車を使うのか。
誰が所有するのか。
売却するのか。
廃車にするのか。
を相続人間で整理します。
その結果に応じて必要な登録を行います。
何か月・何年も放置していた場合もまず同じ確認をする
名義変更をしていない期間が長くても、まず見るところは同じです。
たとえば、
親が亡くなって3か月。
1年以上。
数年。
経っていたとしても、最初に、
車検証上の所有者。
相続人。
車を取得する人。
現在その車を誰が使っているか。
を確認します。
ただし、時間が経つほど別の問題が増える可能性があります。
放置期間が長いと相続関係が複雑になることがある
相続した車の名義変更を長期間放置すると、その間に相続人自身が亡くなることがあります。
たとえば、
父が死亡
↓
母・長男・長女が相続人
↓
名義変更をしないまま母が死亡
というケースです。
こうなると、母の相続関係も確認しなければならなくなる可能性があります。
最初の相続だけで済んだものが、時間の経過によって関係者が増えることがあります。
そのため、
「今すぐ困っていないから、そのままでいい」
とは考えないほうがよいでしょう。
故人名義のまま売りたい場合も先に相続関係を確認する
名義変更をしていないうちに、
もう乗らないから売りたい。
ということもあります。
この場合も、
「売るから相続名義変更は関係ない」
とは限りません。
車検証上の所有者本人は亡くなっているため、相続関係を確認して売却できる状態にする必要があります。
ただし、手続き方法によっては、
故人
→相続人
→売却先
と二回に分けて車検証を書き換える方法だけでなく、相続と第三者への移転をまとめて行えるケースもあります。
売却予定なら、先に自分名義へ変えてしまう前に、どの方法で進めるか確認したほうがよいでしょう。
廃車にしたい場合も故人名義のまま放置しない
車が古い。
故障している。
車検も切れている。
もう誰も乗らない。
という場合は、廃車を考えることがあります。
この場合も、車の所有者が亡くなっていることを無視して、通常の廃車手続きをそのまま行うわけではありません。
相続関係を確認したうえで、
一時抹消。
永久抹消。
など必要な手続きを進めます。
売る場合も廃車にする場合も、まず車検証上の所有者を確認することが出発点です。
故人名義のまま乗り続けるのは避ける
名義変更をしていなくても、
車検が残っている。
車が動く。
鍵もある。
という理由で、家族がそのまま乗り続けていることがあります。
しかし、
物理的に運転できること
と、
相続・登録が整理されていること
は別です。
今後、
売却する。
廃車する。
住所を変更する。
ナンバーを変更する。
といった手続きをするときにも、故人名義のままでは相続関係の確認が必要になります。
今後自分が乗り続けると決めたのであれば、故人名義のまま長期間残さず、名義変更を進めます。
自動車保険も確認する
車検証の名義変更だけでなく、自動車保険も確認してください。
亡くなった親が、
保険契約者。
記名被保険者。
となっている場合があります。
名義変更していない車を家族が使っている場合は、
現在誰が運転しているか。
補償対象になっているか。
契約者や記名被保険者を変更する必要があるか。
を保険会社へ確認します。
登録手続きが遅れているからといって、保険の確認まで後回しにしないほうがよいでしょう。
今から名義変更するときに必要になる主な書類
普通車の相続では、一般的に次のような書類が関係します。
| 書類 | 主な役割 |
|---|---|
| 車検証 | 現在の所有者・使用者を確認 |
| 戸籍関係書類等 | 被相続人の死亡・相続関係を確認 |
| 法定相続情報一覧図 | 戸籍関係書類に代えて使える場合がある |
| 遺産分割協議書等 | 誰が車を相続するか確認 |
| 新所有者の印鑑証明書 | 新しく所有者になる人を確認 |
| 車庫証明 | 必要となる場合 |
| 委任状 | 代理申請する場合 |
ただし、
相続人が1人。
相続人が複数。
共同相続。
遺言書がある。
査定価格が100万円以下。
などによって必要書類は変わります。
期限を過ぎたから書類が増えるというより、
現在の相続関係と、誰が車を取得するか
によって必要書類が決まると考えたほうが分かりやすいです。
査定額100万円以下なら申立書を使える場合がある
普通車では、車の査定価格が100万円以下であることを確認できる場合など、一定の条件を満たすと「遺産分割協議成立申立書」を利用できる場合があります。
ただし、
15日を過ぎたから使える。
長期間放置したから使える。
という制度ではありません。
車の査定価格などの条件によって利用できる書類です。
また、
100万円以下なら相続人間の話し合いが不要
という意味でもありません。
期限超過と100万円以下の取扱いは分けて考えます。
車庫証明やナンバー変更が必要になることもある
相続後に車を使う場所が変わる場合は、名義変更だけでは終わらないことがあります。
たとえば、
亡くなった親
→西尾市で使用
相続する子
→安城市で使用
という場合です。
この場合は、
新しい使用の本拠。
新しい保管場所。
車庫証明。
ナンバー管轄。
も確認します。
相続した人が親と同居していて、使用の本拠や保管場所も変わらない場合とは条件が違います。
そのため、今から手続きする場合も、
「相続名義変更だけすれば終わり」
と決めず、相続後にどこで使う車になるのかまで確認します。
軽自動車の場合は普通車と手続きが違う
相続した車が軽自動車なら、普通車の相続登録と同じ書類をそのまま使うわけではありません。
軽自動車検査協会では、相続による名義変更について、
車検証上の所有者が亡くなったこと。
新しい所有者がその人の相続人であること。
を確認できる戸籍謄本等または法定相続情報一覧図を必要書類として案内しています。
普通車は運輸支局等。
軽自動車は軽自動車検査協会。
と窓口も異なります。
15日を過ぎていたらこの順で進める
名義変更をしていないことに気づいたら、次の順で確認すると整理しやすくなります。
1.車検証を見る
2.所有者が亡くなった人本人か確認する
3.普通車か軽自動車か確認する
4.相続人が誰か確認する
5.車を誰が相続するか決める
6.乗る・売る・廃車のどれにするか確認する
7.必要な戸籍・遺産分割協議書等を確認する
8.車庫証明・ナンバー変更が必要か確認する
9.現在の状態に合った名義変更等を行う
大切なのは、
15日を過ぎたことだけに気を取られないこと
です。
今の相続関係と車の状態を確認して、現在できる手続きを進めます。
結論|15日を過ぎても放置せず、今から名義変更を進める
相続した普通車の名義変更は、所有者の変更があった場合の移転登録として15日以内が原則です。
すでに15日を過ぎていても、
「期限を過ぎたから名義変更できない」
わけではありません。
何か月、何年経っている場合でも、まず現在の車検証を確認します。
そのうえで、
相続人は誰か。
誰が車を取得するのか。
今後乗るのか。
売るのか。
廃車にするのか。
を整理します。
期限を過ぎたままさらに放置すると、相続人が増えたり、売却・廃車など次の手続きで確認事項が増えたりする可能性があります。
15日を過ぎたことに気づいた時点が、手続きを始めるタイミングです。
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15日を過ぎている。
何か月も故人名義のままになっている。
相続人が複数いる。
必要な戸籍や遺産分割協議書が分からない。
という場合も、現在の車検証と相続関係から必要な手続きを整理します。
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出典
道路運送車両法|e-Gov法令検索、中部運輸局 愛知運輸支局|相続(所有者の死亡)による登録、中部運輸局 愛知運輸支局|自動車の登録、軽自動車検査協会|名義変更(売買・譲渡・その他)
この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
