
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
先祖代々のお墓を墓じまいしようとすると、
「遺骨が何人分も入っているけれど、改葬許可はどう申請する?」
「1人につき申請書を1枚ずつ書く?」
「昔の人なので死亡年月日や火葬日が分からない」
といった問題が出てくることがあります。
複数人の遺骨を改葬する場合でも、全国一律に「1人につき申請書1枚」と決まっているわけではありません。
自治体によって、
- 2人目以降を別紙へ記載する
- 複数人用の一覧表を使用する
- 人数分の申請を行う
など、申請方法が異なります。
一方、全国共通の基本として、改葬許可申請では死亡者について、
- 本籍
- 住所
- 氏名
- 性別
- 死亡年月日
- 埋葬または火葬の場所
- 埋葬または火葬の年月日
などを記載します。
そのため、先祖代々のお墓を墓じまいするときは、申請書を書く前に、
「このお墓には誰の遺骨が入っているのか」
を確認することから始めます。
複数人の遺骨が入っていても改葬許可を申請できる
墓地、埋葬等に関する法律では、現在のお墓などにある遺骨を別の墳墓・納骨堂へ移すことを「改葬」としています。
改葬を行う場合は、市町村長の許可が必要です。
先祖代々のお墓で、
祖父
祖母
曾祖父
曾祖母
など複数人の遺骨が納められていても、改葬許可を申請することはできます。
ただし、
「○○家のお墓を1件改葬する」
というだけではなく、
実際に誰の遺骨を移すのか
を申請上整理する必要があります。
墓じまいの場合は、現在のお墓を最終的に返還することになるため、そのお墓に納められている遺骨を漏れなく確認することが重要です。
公式資料
改葬する死亡者ごとに確認する情報
墓地、埋葬等に関する法律施行規則では、改葬許可申請書に主に次の事項を記載することとされています。
- 死亡者の本籍
- 死亡者の住所
- 氏名
- 性別
- 死亡年月日
- 埋葬または火葬の場所
- 埋葬または火葬の年月日
- 改葬の理由
- 改葬の場所
- 申請者の住所・氏名
- 死亡者との続柄
- 墓地使用者等との関係
例えば4人分の遺骨を改葬するのであれば、死亡者に関する情報は4人それぞれについて確認します。
一方、
- 改葬の理由
- 改葬先
- 申請者
など、共通する部分をどのように記載するかは自治体の申請様式によります。
まず申請先自治体の最新様式を確認してください。
公式資料
複数人なら申請書も人数分必要?
必ずしも人数分の申請書が必要とは限りません。
ここは自治体によって違います。
例えば、
- 1人目を申請書へ記載し、2人目以降を別紙へ記載する
- 複数人用の一覧表を使う
- 遺骨ごとに申請する
などの方式があります。
実際の自治体例では、豊田市は死亡者が2人以上の場合、申請書2枚目の別紙へ2人目以降を記載する方式です。
岡崎市では「焼骨等の一覧」に複数人分をまとめて記載する様式を公開しています。
一方、別の自治体では、複数の遺骨について人数分の許可申請を求めている例もあります。
つまり、
「遺骨が5人分だから申請書を5枚作る」
あるいは
「1枚の申請書に全員まとめればよい」
と自己判断しないことが重要です。
申請先自治体の「複数人の場合」の記載方法を確認してから書類を作成してください。
公式資料
まず「誰の遺骨が入っているか」を確認する
先祖代々のお墓では、
「祖父母は入っているのは分かるが、それより前は分からない」
ということがあります。
確認するときは、
- 墓地管理者
- 寺院
- 霊園
- 親族
- 墓誌
- 過去の納骨記録
- 戸籍・除籍
などを手掛かりにします。
墓地、埋葬等に関する法律施行規則では、墓地・納骨堂の管理者に、埋葬・埋蔵・収蔵に関する事項を記録した帳簿を備える義務があります。
そのため、墓地管理者側に納骨者の記録が残っている場合があります。
ただし、非常に古いお墓では、
- 昔の記録が残っていない
- 墓誌と実際の納骨者が一致しない
- 親族も詳しく知らない
といったこともあります。
まず「分かる範囲」を整理したうえで、分からない部分を申請先自治体へ確認します。
公式資料
古い遺骨で死亡年月日などが分からない場合は?
先祖代々のお墓では、
「曾祖父の死亡年月日が分からない」
「どこで火葬したか分からない」
「いつ現在のお墓へ納骨したか分からない」
ということも珍しくありません。
この場合、分からない情報を推測して申請書へ記載するのは避けてください。
自治体によって、
- 「不詳」と記載できる
- 分かる範囲で記載する
- 一部項目は必ず確認する
- 戸籍等の追加書類を求める
など取扱いが異なります。
つまり、
「分からないところは全部『不詳』でよい」
という全国共通ルールではありません。
申請先自治体へ、
「古い遺骨で死亡年月日・火葬年月日が分かりません」
と具体的に伝えて確認してください。
戸籍を取ればすべて分かるとは限らない
死亡者について戸籍・除籍を確認すると、
- 氏名
- 本籍
- 死亡年月日
- 親族関係
などが分かる場合があります。
一方、戸籍だけでは、
- どこの火葬場で火葬したか
- いつ墓地へ納骨したか
までは分からないことがあります。
そのため、
戸籍・除籍
+
墓地管理者の記録
+
親族からの聞き取り
などを組み合わせて情報を確認することがあります。
また、戸籍の添付自体も全国一律の必須書類ではありません。
自治体によって必要になるケースが異なるため、
先に申請先の必要書類を確認してから戸籍を取得する
方が無駄を減らせます。
墓地管理者の証明も改葬する遺骨について受ける
改葬許可申請では、原則として現在の墓地・納骨堂の管理者が作成した、
埋葬・埋蔵・収蔵の事実を証する書面
が必要です。
複数人を改葬する場合も、今回移す遺骨について墓地管理者の証明を受けます。
ただし証明方法も、
- 申請書の証明欄へ記載してもらう
- 別紙一覧を含めて証明してもらう
- 別の埋蔵・収蔵証明書を発行してもらう
など自治体や墓地によって異なります。
先祖代々のお墓の場合は、
「何人分について証明をお願いするのか」
を墓地管理者へ伝えてください。
公式資料
一部の遺骨だけを移すこともできる?
一つのお墓に複数人の遺骨があり、そのうち一部だけを別のお墓・納骨堂へ移すことも考えられます。
例えば、
現在のお墓
祖父・祖母・父・母
↓
父・母だけ
新しい納骨堂へ改葬
というケースです。
この場合は、実際に別の墓地・納骨堂へ移す遺骨について改葬許可を申請します。
一つのお墓に入っている全員を必ず同時に改葬しなければならないという制度ではありません。
ただし、現在のお墓そのものを墓じまいして返還するのであれば話は別です。
墓地を返還した後は現在のお墓を使用できなくなるため、
残る遺骨をどうするのか
まで決める必要があります。
「一部だけ改葬すること」と「墓じまいすること」は分けて考えてください。
複数人の遺骨と「分骨」は違う
複数人の改葬と分骨は別の手続きです。
複数人の改葬
例えば、
祖父の遺骨
祖母の遺骨
父の遺骨
という複数の死亡者の遺骨を移すことです。
分骨
1人の遺骨の一部を分けて、別のお墓や納骨堂へ納めることです。
墓地、埋葬等に関する法律施行規則では、分骨については改葬とは別の取扱いがあります。
墓地・納骨堂の管理者は、分骨を希望する人から請求があった場合、埋蔵・収蔵の事実を証する書類を交付することとされています。
したがって、
「祖父と祖母の遺骨を二人とも移す」
と
「祖父の遺骨の一部だけ別の墓へ移す」
では必要な手続きが違います。
公式資料
複数人の改葬先は全員同じでなくてもよい?
一つのお墓に入っている遺骨を、
祖父母
→ 永代供養墓
父母
→ 納骨堂
のように分けたい場合もあります。
法律上の改葬は、個々の遺骨を現在の墓地等から別の墳墓・納骨堂へ移す行為です。
そのため、必ず全員を同じ改葬先へ移すという制度ではありません。
ただし、改葬許可申請書には「改葬の場所」を記載します。
複数の死亡者について改葬先が異なる場合は、
- 申請書を分けるのか
- 別紙で分けて記載できるのか
などを申請先自治体へ確認してください。
全員の遺骨を同じお墓から取り出すからといって、申請方法まで一つにまとめられるとは限りません。
改葬する人数が増えると納骨先の費用も確認する
複数人の墓じまいでは、改葬許可だけでなく、新しい納骨先の条件にも注意します。
例えば納骨先によって、
- 1体ごとに料金がかかる
- 夫婦・家族単位の料金
- 一区画へ入れられる人数に上限がある
- 合葬時期が異なる
などの違いがあります。
例えば、
「墓じまいする遺骨が6人分ある」
のに、新しい納骨先が4人までしか受け入れられないのであれば、改葬方法を考え直す必要があります。
そのため、
現在のお墓に何人入っているか確認
↓
新しい納骨先の受入人数・費用を確認
↓
改葬許可申請
という順番で進める方が安全です。
具体例|4人分を同じ永代供養墓へ移す場合
例えば、現在のお墓に、
- 祖父
- 祖母
- 父
- 母
の4人分の遺骨があり、全員を同じ永代供養墓へ移すとします。
この場合は、
- 4人分の死亡者情報を確認する
- 新しい永代供養墓が4人分を受け入れられるか確認する
- 現在のお墓がある自治体の申請様式を確認する
- 申請書・別紙等へ4人分を記載する
- 墓地管理者から埋蔵・収蔵の証明を受ける
- 必要な追加書類をそろえる
- 改葬許可を申請する
- 改葬許可証を受け取る
- 4人分の遺骨を取り出す
- 新しい永代供養墓へ納骨する
という流れになります。
ここで最初から、
「4人だから申請書を4枚用意する」
とは考えません。
まず自治体の複数人用の様式・記載方法を確認します。
具体例|何人入っているか完全には分からない場合
例えば、
「祖父母と曾祖父母が入っていると思うが、それ以前の遺骨があるかもしれない」
という古いお墓です。
この場合は、
- 墓誌を確認する
- 親族に確認する
- 墓地管理者へ記録を確認する
- 必要に応じて戸籍・除籍を確認する
- 分からない事項を整理する
- 自治体へ記載方法を確認する
という順番で進めます。
大切なのは、
分からないことを分かったように書かないこと
です。
古いお墓ではすべての情報が残っていないこともあります。
「何が分かり、何が分からないのか」を整理して自治体へ伝える方が、必要な対応を確認しやすくなります。
複数人の改葬でよくある勘違い
「人数分の申請書が必ず必要」
全国一律ではありません。
別紙・一覧表で複数人をまとめる自治体もあります。
「分からない項目は全部『不詳』でよい」
全国一律ではありません。
項目によって必須確認としている自治体もあります。
「お墓単位の申請だから、中に誰が入っているか分からなくてもよい」
改葬許可では死亡者に関する情報を記載します。
誰の遺骨を移すのか確認する必要があります。
「複数人は全員同じ納骨先へ移さないといけない」
必ずしもそうではありません。
ただし改葬先が違えば、申請方法について自治体への確認が必要です。
「複数人の遺骨を移すことは分骨」
違います。
複数の死亡者の遺骨を移すことと、一人の遺骨を分ける分骨は別です。
複数人の墓じまいで確認したい8項目
改葬許可を申請する前に、次の8項目を確認してください。
- 現在のお墓には何人分の遺骨があるか
- 今回何人分を改葬するか
- 死亡者ごとの氏名・本籍・死亡年月日等が分かるか
- 分からない情報は何か
- 複数人の場合の自治体の申請様式を確認したか
- 墓地管理者から改葬する遺骨について証明を受けられるか
- 全員の改葬先は同じか
- 新しい納骨先が人数分を受け入れられるか
特に重要なのは、
申請書を書く前に人数と死亡者情報を整理すること
です。
墓石撤去の日程を決めたあとで、
「実は誰の遺骨が入っているか分からない」
となると、改葬許可が間に合わない可能性があります。
古いお墓ほど、早めに確認を始めてください。
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複数人の遺骨がある墓じまいで迷ったらご相談ください
先祖代々のお墓では、複数人の遺骨が納められていることがあります。
この場合、
- 誰の遺骨が入っているか
- 今回何人分を改葬するか
- 死亡者情報がどこまで分かるか
- 申請書を人数分作るのか
- 別紙・一覧表を使用するのか
- 墓地管理者からどのように証明を受けるか
- 新しい納骨先へ何人分を移すのか
を整理します。
特に古いお墓では、死亡年月日・火葬年月日・本籍など、一部の情報が分からないことがあります。
いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、墓じまい・改葬許可に関する手続きをサポートしています。
複数人の遺骨がある場合についても、現在の墓地管理者、死亡者情報、新しい納骨先、申請先自治体の様式を確認しながら、改葬許可に必要な書類を整理します。
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出典
この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律」、厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」、豊田市「お墓、お骨の移転に伴う改葬許可申請」、岡崎市「改葬許可申請書」
