
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
「倉庫業登録を申請したいが、何を準備すればいい?」
「建物の図面はあるが、このまま営業倉庫として登録できる?」
倉庫業登録は、申請書だけを提出すればよい手続きではありません。
営業倉庫として使用する建物について、
- 保管する物品に合った倉庫の種類
- 建築基準法・都市計画法等への適合
- 倉庫の使用権原
- 外壁・床・防火・防水・防犯などの施設設備基準
- 建築確認済証・検査済証
- 平面図・立面図・断面図などの建築図面
- 倉庫管理主任者
などを確認します。
特に既存倉庫を利用する場合は、申請書を作成する前に「その建物を営業倉庫として登録できるか」を確認することが重要です。
この記事では、愛知県で倉庫業登録を申請するときの必要書類、図面、施設設備基準、倉庫管理主任者、事前相談から登録までの流れを整理します。
倉庫業登録ではまず保管する物品と倉庫の種類を確認する
倉庫業とは、他人から寄託を受けた物品を倉庫で保管する営業です。
倉庫業を営む場合は、倉庫業法に基づく登録を受ける必要があります。
ただし、営業倉庫には複数の種類があり、どの物品を保管するかによって必要な施設設備基準が変わります。
代表的なものには、
1類倉庫、2類倉庫、3類倉庫、野積倉庫、貯蔵槽倉庫、危険品倉庫、冷蔵倉庫、水面倉庫
などがあります。
一般的な商品や資材を保管する場合と、冷蔵品・危険物・液体等を保管する場合では、必要な倉庫の構造や設備が異なります。
したがって、申請書を作る前に「何を預かる営業なのか」を確定することが出発点です。
申請前に中部運輸局への事前相談を行う
中部運輸局では、いきなり登録申請書を提出するのではなく、事前確認と相談を行う流れを案内しています。
まず、
候補となる倉庫について建築資料等を確認
↓
建築基準法・都市計画法等を確認
↓
中部運輸局へ事前相談
↓
施設基準上の不足・補正事項を確認
↓
必要な対応を行う
↓
登録申請
という順番です。
特に既存倉庫では、図面不足や建築用途、施設基準などが問題になることがあります。
中部運輸局は、事前相談用の「倉庫業相談記録簿」も公開しています。
倉庫業登録に必要になる主な書類
新規登録では、計画内容によって異なりますが、主に次のような資料を整理します。
| 書類・資料 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 倉庫業登録申請書 | 事業者・営業所・倉庫等の基本情報 |
| 倉庫明細書 | 倉庫の構造・規模・施設等 |
| 施設設備基準チェックリスト | 各基準への適合状況 |
| 使用権原を示す資料 | 登記事項証明書・賃貸借契約書等 |
| 建築確認済証 | 建物の建築確認内容 |
| 完了検査済証 | 建築基準法上の完了確認 |
| 消防関係資料 | 消防用設備等検査済証・点検資料等 |
| 倉庫管理主任者関係書類 | 配置・資格要件の確認 |
| 宣誓書 | 欠格事由等の確認 |
| 倉庫寄託約款 | 荷主との寄託契約に関する約款 |
| 各種建築図面 | 施設設備基準を確認する資料 |
中部運輸局では、これらを確認するための新規登録チェックリストや添付書類リストも公開しています。
申請では建築確認済証・検査済証が重要
倉庫業登録では、建物が建築基準法等に適合していることを確認します。
中部運輸局は、事前確認の段階で、
建築確認済証
完了検査済証
建築確認申請書第1面~第5面
などが保存されているか確認するよう案内しています。
特に既存倉庫の場合、建物は現在使われていても、
「確認済証が見つからない」
「検査済証がない」
「建築図面が残っていない」
ということがあります。
中部運輸局は、確認済証・検査済証がなく建築基準法への適合性を確認できない場合、原則として倉庫業登録を行うことができないと案内しています。
そのため、物件選定や申請準備では、まず建築関係資料の有無を確認します。
建物用途が「倉庫業を営む倉庫」か確認する
建築確認上の用途にも注意が必要です。
中部運輸局では、建築確認申請上の用途が「倉庫業を営む倉庫(08510)」となっているか確認します。
単に、
「倉庫」
「自家用倉庫」
「工場」
となっている場合は、そのまま営業倉庫として使用できるとは限りません。
この場合は、建物所在地の自治体の建築担当部署へ、営業倉庫として使用することについて建築基準法上問題がないか確認します。
必要に応じて、その相談内容を議事録として申請資料にします。
市街化調整区域などでは都市計画法も確認する
建物自体が施設基準を満たしていても、営業倉庫を設置できない場所があります。
中部運輸局では、
住居系用途地域の一部
市街化調整区域
臨港地区
などについて、都市計画法・港湾法等を担当する行政部署へ事前確認するよう案内しています。
特に市街化調整区域では、既存倉庫が建っているからといって、その建物を営業倉庫として使用できるとは限りません。
倉庫業登録だけを見るのではなく、土地利用規制との整合も先に確認します。
必要になる主な図面
倉庫業登録では、建物の施設設備基準を図面で確認します。
中部運輸局が現在案内している主な図面は次のとおりです。
| 図面 | 主に確認する内容 |
|---|---|
| 倉庫付近の見取図 | 倉庫の所在地・周辺状況 |
| 配置図 | 敷地内の建物・周辺施設との位置関係 |
| 平面図 | 倉庫部分・事務所・防火区画等 |
| 立面図 | 建物の構造・外観 |
| 断面図 | 建物内部の高さ・構造 |
| 矩計図 | 外壁・床・屋根等の詳細構造 |
| 建具表 | 扉・窓・シャッター等 |
| 建具キープラン | 建具の設置位置 |
| 求積図 | 営業倉庫として登録する面積 |
| その他 | 軸組図・防火区画図等 |
特に矩計図は、外壁・床・防水・防湿など複数の施設基準を確認するために重要な図面です。
図面から必要な性能を確認できない場合は、構造計算書、メーカー資料、建築士による証明等が必要になることがあります。
施設設備基準は倉庫の種類によって異なる
例えば1類倉庫では、幅広い物品を保管できる分、多くの施設設備基準への適合が必要になります。
確認項目には、
使用権原
関係法令への適合
土地への定着性
外壁・床の強度
防水
防湿
遮熱
耐火
災害防止
防火区画
消火設備
防犯
防鼠
などがあります。
一方、2類倉庫や3類倉庫では、一部の性能が不要になる代わりに、保管できる物品が制限されます。
そのため、
「この建物を1類倉庫にしたい」
と先に決めるのではなく、
保管したい物品
↓
必要な倉庫の種類
↓
施設基準
↓
現在の建物が適合するか
という順番で考える方が分かりやすくなります。
外壁と床の強度も確認する
一般的な営業倉庫では、外壁や床について一定の強度が求められます。
中部運輸局の現在の申請注意事項では、外壁について2,500N/㎡以上の強度を確認する運用が示されています。
また、国土交通省の登録申請手引では、床について3,900N/㎡以上の耐力を施設基準の一例として示しています。
確認には、
矩計図
軸組図
メーカーの強度資料
構造計算書
建築士による証明
などを使用します。
鉄骨倉庫だから自動的に基準を満たすというわけではありません。
既存倉庫では、外壁パネルや胴縁などの仕様が図面から確認できるかが問題になることがあります。
防火・消防設備も確認する
倉庫業登録では、消防関係の資料も必要になります。
中部運輸局では、
建築から3年以内の建物
→ 消防用設備等検査済証
建築から3年以上経過した建物
→ 直近の消防用設備等点検結果報告書
を確認する運用を案内しています。
点検結果に不良項目がある場合は、改善済みであることを確認できる資料も必要です。
また、倉庫内に事務所・休憩室等がある場合は、防火区画について平面図・矩計図等で確認することがあります。
倉庫管理主任者の選任が必要
倉庫業登録では、建物だけでなく管理体制も審査されます。
国土交通省は、倉庫業登録を受けるための主な要件として、保管物品に応じた施設基準への適合とともに、倉庫ごとに一定の要件を備えた倉庫管理主任者を選任することを挙げています。
中部運輸局でも、新規登録用として「倉庫管理主任者配置状況及び資格要件確認書」を公開しています。
倉庫管理主任者については、一定の実務経験を持つ人や、所定の講習を修了した人などが選任対象になります。
営業開始直前になって探すのではなく、施設の確認と並行して候補者を確保しておく方がよいでしょう。
倉庫業登録の流れ
申請までを大きく整理すると、次の順番になります。
- 預かる物品と倉庫の種類を決める
- 候補となる倉庫の建築資料を確認する
- 建築基準法・都市計画法等を確認する
- 施設設備基準への適合性を確認する
- 中部運輸局へ事前相談する
- 不足する図面・設備・資料を整理する
- 倉庫管理主任者を確保する
- 必要な改修等を行う
- 申請書・倉庫明細書・図面・添付書類を作成する
- 倉庫業登録を申請する
- 審査・補正に対応する
- 登録後に営業を開始する
中部運輸局は、事前相談の回答に2~3週間程度、補正事項を解消して正式な申請書を提出した後、不備がなければ2~3週間程度で登録となる現在の実務フローを案内しています。
一方、国土交通省の登録申請手引では、地方運輸局長権限の新規登録について標準処理期間を2か月としています。
標準処理期間は適正な申請を前提とした目安であり、補正や追加資料を準備する期間は含まれません。
そのため、「営業開始日の2~3週間前に申請すればよい」と考えず、物件確認・事前相談から余裕を持って進めることが重要です。
営業開始後にも届出・定期報告がある
倉庫業登録は、登録を受けたら手続きが完全に終わるわけではありません。
中部運輸局では、登録後に会社情報や施設等の変更があった場合の変更手続きのほか、四半期ごとに、
期末倉庫使用状況報告書
受寄物入出庫高及び保管残高報告書
を提出するよう案内しています。
そのため、登録時点から変更管理や定期報告まで含めた運用を準備しておく必要があります。
倉庫業登録は申請書より先に「建物が登録できるか」を確認する
倉庫業登録で最も避けたいのは、
倉庫を購入・賃借
↓
荷主との契約を進める
↓
登録申請を始める
↓
施設基準を満たせないことが判明
という流れです。
倉庫業登録では、申請書そのものより、
建物の用途
建築資料
施設設備基準
保管物品
倉庫管理主任者
を先に確認することが重要です。
特に既存倉庫を利用する場合は、確認済証・検査済証・図面一式を確認し、中部運輸局への事前相談を行ったうえで登録申請へ進むと手戻りを減らしやすくなります。
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「倉庫業登録を申請したい」
「現在の倉庫が営業倉庫として登録できるか確認したい」
「確認済証や建築図面のうち何が必要か分からない」
「施設基準・倉庫管理主任者を含めて申請準備を整理したい」
という場合は、保管予定物品、倉庫の所在地、建築資料、施設の状況、倉庫管理主任者候補者などを確認しながら登録に必要な資料・手続きを整理します。
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出典
国土交通省公式:倉庫業法、国土交通省公式:倉庫業登録申請の手引き、中部運輸局公式:倉庫業について・申請様式・チェックリスト、中部運輸局公式:営業用倉庫登録までの手続の流れ、中部運輸局公式:倉庫業登録申請書作成の際の注意点
この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
