
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
車の名義変更や住所変更、車庫証明などを自分で行わない場合、
「販売店にそのまま頼める?」
「登録代行業者なら誰でもいい?」
「行政書士へ頼まないといけない?」
と迷うことがあります。
自分の自動車について、本人が必要書類を作成して自分で申請することはできます。
一方、他人から依頼を受け、報酬を得て官公署へ提出する書類などを業として作成する場合には、行政書士法上の制限があります。
特に2026年1月1日に施行された改正行政書士法では、第19条第1項に、
「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」
という文言が加えられました。
日本行政書士会連合会は、この改正について、「会費」「手数料」「コンサルタント料」「商品代金」など、名目を変えても、対価を受け取って業として対象書類を作成する場合には同条の問題になることを明確にしたものと説明しています。
さらに2026年7月には、自動車販売会社による車庫証明・自動車登録について、行政書士法違反になるものと考えられる具体例も公表されています。
そのため、自動車登録の依頼先を選ぶときは、
「誰が運輸支局へ行くのか」
だけでなく、
「誰が申請書を作成するのか」
「不備があったとき誰が訂正するのか」
まで確認することが重要です。
自動車登録は本人が自分で手続きできる
まず、自分の車について本人が登録手続きをすることは可能です。
例えば、
- 車を購入したので名義変更する
- 引っ越したので住所変更する
- 車を使わなくなったので抹消登録する
といった手続きについて、本人が必要書類を準備し、運輸支局等へ申請できます。
行政書士法19条で問題になるのは、本人が自分の書類を作成することではありません。
行政書士または行政書士法人でない者が、他人から依頼を受け、報酬を得て、行政書士法で定められた業務を業として行う場合です。
したがって、
自分で手続きする
→ 可能
行政書士へ依頼する
→ 可能
というのが基本です。
一方、第三者へ有償で「書類作成まで含む登録代行」を依頼する場合は、その相手が適法に業務を行える者なのかを確認する必要があります。
なお、行政書士法には、他の法律に別段の定めがある場合などの例外もあります。
個別の業務について、単に「行政書士以外なら全部違法」と判断するのではなく、実際に誰が何を行うのかを確認することが重要です。
公式資料
行政書士は自動車登録・車庫証明を扱っている
行政書士は、官公署へ提出する書類の作成や、その提出手続の代理などを業務としています。
日本行政書士会連合会は、自動車関係の主な業務として、
- 新規登録
- 移転登録
- 変更登録
- 抹消登録
- 車庫証明
- OSSによる手続き
などを案内しています。
例えば、
中古車を購入した
→ 移転登録
引っ越した
→ 変更登録
車を使用しなくなった
→ 抹消登録
といった手続きを行政書士へ依頼できます。
また、ナンバー変更を伴う普通自動車では、一定の場合に行政書士による出張封印を利用できることもあります。
ただし、行政書士の業務分野は幅広いため、すべての行政書士が日常的に自動車登録を扱っているわけではありません。
依頼するときは、自動車登録を実際に取り扱っている事務所か確認してください。
公式資料
2026年の行政書士法改正で何が変わった?
2026年1月1日に改正行政書士法が施行されました。
改正後の行政書士法19条1項では、行政書士または行政書士法人でない者について、
「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」
業として行政書士法1条の3に規定する業務を行うことができないとされています。
日本行政書士会連合会は、この改正について、
- 会費
- 手数料
- コンサルタント料
- 商品代金
など、どのような名目であっても、対価を受け取って業として対象書類を作成する場合には行政書士法19条1項の問題になることを明確にしたものと説明しています。
つまり、
「登録代行料という名前にしなければよい」
「書類作成料だけ0円にすればよい」
という単純な問題ではありません。
誰が、他人のために、どのような書類を作成し、その業務についてどのような形で対価を受け取っているのかを見る必要があります。
公式資料
日本行政書士会連合会|行政書士法第19条第1項及び第23条の3の改正の趣旨等について
販売店が「無料」で登録書類を作れば問題ない?
2026年7月29日、日本行政書士会連合会は、自動車販売会社による登録等の手続について「行政書士法違反になるものと考えられる例」を公表しました。
その資料では、自動車販売会社の販売員が、自社で販売した車について、
- 車庫証明申請書
- 自動車登録申請書
を顧客に代わって作成するケースについて具体例が示されています。
特に重要なのが、
「作成費用を無料としている場合」
です。
日行連の資料では、書類作成費用を無料としていても、車両販売代金や整備代金などに報酬が含まれていると考えられることから、行政書士法違反になるものと考えられる、とされています。
つまり、
車両販売:有料
登録書類作成:0円
と料金表に書けば、当然に問題がなくなるわけではありません。
「無料」という表示だけで判断せず、実際の業務内容と対価の関係を確認する必要があります。
公式資料
日本行政書士会連合会|自動車登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例について
顧客データをシステムへ入力して申請書を作る場合も注意する
現在の自動車販売店では、
- 顧客氏名
- 住所
- 車台番号
- 車両情報
などを社内システムへ登録し、そのデータから申請書を出力することがあります。
しかし、
「手書きしていない」
「システムが自動で出力した」
というだけで、書類作成ではなくなるとは限りません。
日行連が公表した具体例では、自動車販売会社の販売員が、自社の顧客情報や車両情報等のデータベースを使用して、
- 車庫証明申請書
- 自動車登録申請書
を作成するケースも、行政書士法違反になるものと考えられる例として挙げられています。
問題になるのは、紙へ手書きしたかパソコンで出力したかではなく、
「他人のための官公署提出書類を誰が作成したか」
です。
販売店で登録業務のシステム化をしている場合も、現在の行政書士法と日行連の公表内容を踏まえて業務フローを確認する必要があります。
公式資料
日本行政書士会連合会|自動車登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例について
提出後の訂正・補正を販売店が行う場合も注意する
申請書を警察署や運輸支局へ提出したあと、
「ここを訂正してください」
「車台番号を追記してください」
と職員から求められることがあります。
日行連が2026年に公表した資料では、自動車販売会社の販売員が提出後の申請書や添付書類について、
- 追記
- 訂正
- 補正
を行うことも、行政書士法違反になるものと考えられる例として示されています。
さらに、
「警察署や運輸支局の職員から訂正・補正するよう求められた場合」
であっても同様とされています。
したがって、
「申請書は本人が作ったので、窓口で指摘された部分だけ販売店が直す」
という場合も注意が必要です。
販売店と行政書士で業務を分担するときは、申請書を誰が作成するかだけでなく、
不備があったとき誰が訂正・補正するか
まで決めておくと分かりやすくなります。
公式資料
日本行政書士会連合会|自動車登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例について
委任状の作成にも注意する
自動車登録では、行政書士など代理人へ手続きを依頼するため委任状を使用することがあります。
日行連は2026年7月29日の公表ページで、委任状についても、行政書士法1条の3に規定する「権利義務・事実証明に関する書類」であると考えている旨を明記しています。
そのため、
「登録申請書だけ行政書士へ頼み、委任状は販売店が顧客に代わって作っておけばよい」
と安易に判断しない方がよいでしょう。
顧客本人が記載するのか、行政書士が作成するのかなど、実際の業務フローを確認します。
一方、顧客本人が自分の委任状を作成することまで禁止されるものではありません。
「本人が自分で作成すること」と「第三者が顧客に代わって作成すること」を分けて考える必要があります。
公式資料
日本行政書士会連合会|自動車登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例について
販売店は自動車登録に一切関われないという意味ではない
行政書士法の改正によって、
「販売店は自動車登録に一切関われなくなった」
と理解するのも正確ではありません。
自動車販売店には、
- 車両を販売する
- 顧客へ必要な手続きを案内する
- 顧客から必要な情報を確認する
- 顧客から登録に必要な原本を預かる
- 行政書士へ登録案件を取り次ぐ
- 納車準備をする
など、本来の販売業務があります。
行政書士法で問題になるのは、その中で行政書士法上制限されている書類作成等を、行政書士等でない者が他人から依頼を受け報酬を得て業として行う場合です。
例えば、
販売店
↓
顧客から車検証・印鑑証明書等を預かる
↓
必要情報を行政書士へ共有する
↓
行政書士が申請書を作成・確認する
↓
行政書士が申請する
という役割分担が考えられます。
販売店が何もしてはいけないのではなく、
販売店が行う販売業務と、行政書士が行う書類作成・申請業務を分ける
ことが重要です。
公式資料
日本行政書士会連合会|自動車登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例について
自動車登録代行は「誰が書類を作るか」を確認する
登録代行サービスを比較すると、
「運輸支局へ行きます」
「登録を代行します」
といった説明だけが書かれている場合があります。
しかし、現在は、
「誰が窓口へ行くか」
だけで依頼先を判断しない方がよいでしょう。
確認したいのは、
- 誰が申請書を作成するか
- 誰が必要書類を確認するか
- 誰が運輸支局等へ申請するか
- 不備があった場合、誰が訂正・補正するか
- 報酬は何の業務に対するものか
です。
例えば、
販売店
↓
行政書士へ必要情報・原本を渡す
↓
行政書士が書類を作成
↓
行政書士が申請
↓
行政書士が必要な補正へ対応
という流れなら、担当範囲が分かりやすくなります。
反対に、
「申請書はそちらですべて作ってください。こちらは提出するだけです」
という代行サービスなら、申請書を誰が作成しているのかを確認した方がよいでしょう。
自動車登録を扱っている行政書士を選ぶ
行政書士には、
- 建設業
- 相続
- 外国人在留
- 農地転用
- 自動車登録
などさまざまな業務があります。
そのため、行政書士であれば誰でも日常的に自動車登録を行っているとは限りません。
依頼先を選ぶときは、
- 自動車登録を取扱業務として掲載しているか
- 名義変更・住所変更・抹消等に対応するか
- 車庫証明も扱っているか
- 対象地域・運輸支局へ対応しているか
- 販売店からの郵送案件に対応するか
- 書類の事前確認をしてもらえるか
を確認するとよいでしょう。
愛知県行政書士会では、自動車関係業務を案内するとともに、「自動車登録業務に十分精通した行政書士一覧」も公開しています。
登録案件を継続的に依頼する販売店や、複雑な案件を依頼する場合は、このような公式情報も判断材料になります。
公式資料
ナンバー変更があるなら出張封印への対応も確認する
普通自動車で、
大阪ナンバー
↓
三河ナンバー
のように登録管轄が変わる場合は、ナンバープレートの変更が必要になります。
普通自動車の後面ナンバーには封印があります。
そのため、
「自動車登録できます」
という行政書士でも、ナンバー変更後の封印をどのように行うかを確認した方がよいケースがあります。
一定の場合には、丁種封印制度を利用して、行政書士が車両所在地へ出向き、
- ナンバー交換
- 車台番号確認
- 封印
を行える場合があります。
愛知県行政書士会では、出張封印制度を案内するとともに、自動車登録業務に十分精通した行政書士の一覧を公開しています。
県外販売店から愛知県の顧客へ販売する場合などは、
「登録だけ」
ではなく
「登録+ナンバー+封印」
まで対応できるかを確認すると、途中で別の依頼先を探す手間を減らしやすくなります。
公式資料
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県外・遠方の販売店なら登録先地域の行政書士へ依頼する方法もある
県外の販売店が愛知県のお客様へ車を販売する場合、販売店スタッフが愛知県まで登録へ来る方法だけではありません。
例えば、
大阪の販売店
↓
愛知県西尾市のお客様へ販売
↓
愛知県の行政書士へ登録書類を送る
↓
西三河自動車検査登録事務所で移転登録
という方法があります。
案件によっては、
- 車庫証明
- 自動車登録
- 希望ナンバー
- ナンバー変更
- 出張封印
までまとめて相談できます。
販売店側では、
- 顧客から必要な情報・原本を預かる
- 車検証などを行政書士へ共有する
- 行政書士から必要書類の案内を受ける
- 原本を発送する
- 行政書士が書類作成・登録を行う
- 登録後の書類を受け取る
という役割分担が考えられます。
特に2026年以降は、販売店側で申請書を完成させて「提出だけ」を外注するより、書類作成段階から行政書士へ依頼する運用を検討する意味が大きくなっています。
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行政書士法19条違反には法人への罰則もある
2026年の改正では、行政書士法23条の3の両罰規定も改正されました。
日本行政書士会連合会は、行政書士または行政書士法人でない者による19条1項違反について、
実際に違反行為をした人だけでなく、その人が所属する法人等についても、100万円以下の罰金刑を科す規定が設けられたと説明しています。
そのため自動車販売会社では、
「担当者個人が書類を作っていただけ」
という問題では済まない可能性があります。
継続的に、
- 車庫証明申請書
- 自動車登録申請書
- 添付書類
- 委任状
などを扱う販売会社では、
「昔からこの方法でやっている」
ではなく、2026年現在の行政書士法と日行連の公表資料を踏まえて登録業務の流れを見直しておくことが重要です。
公式資料
日本行政書士会連合会|行政書士法第19条第1項及び第23条の3の改正の趣旨等について
日本行政書士会連合会|自動車登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例について
自動車登録の依頼先を選ぶときの7つの確認項目
自動車登録を外部へ依頼するときは、次の7項目を確認してください。
- 自動車登録を実際に扱っている行政書士か
- 申請書を誰が作成するのか
- 車庫証明まで依頼できるか
- 対象となる運輸支局・地域に対応しているか
- 不備があった場合の訂正・補正まで対応するか
- ナンバー変更がある場合、封印まで相談できるか
- 報酬・法定費用・送料などの内訳が分かるか
特に2026年以降は、
「誰が運輸支局へ行くか」
だけではなく、
「誰が官公署へ提出する書類を作成しているのか」
を確認することが重要です。
安さだけで依頼先を決めず、書類作成から申請、不備対応、必要ならナンバー変更・封印まで、今回必要な手続きをどこまで対応できるのかを確認してください。
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自動車登録と出張封印を連携して依頼する流れ|ナンバー変更がある場合も解説
自動車登録の依頼先で迷ったらご相談ください
自動車登録は、自動車の所有者・使用者本人が自分で行うこともできます。
一方、販売店や第三者へ登録代行を依頼する場合は、
- 誰が申請書を作成するのか
- 誰が訂正・補正するのか
- どのような形で報酬が発生しているのか
を確認する必要があります。
2026年1月には改正行政書士法が施行され、同年7月には日本行政書士会連合会から、自動車販売会社による登録手続について具体的な注意例も公表されました。
いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心とした西三河地域で、自動車登録・車庫証明に関する手続きをサポートしています。
県外・遠方の自動車販売店様からの登録依頼についても、必要書類の確認、書類作成、登録、ナンバー変更がある場合の手続きなど、案件に応じて必要な流れを整理します。
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出典
この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。
e-Gov法令検索「行政書士法」、日本行政書士会連合会「自動車登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例について」、日本行政書士会連合会「行政書士法第19条第1項及び第23条の3の改正の趣旨等について」、日本行政書士会連合会「行政書士の業務」、日本行政書士会連合会「運送業・自動車」、愛知県行政書士会「自動車関係」、愛知県行政書士会「自動車登録業務に十分精通した行政書士一覧」
