指定数量未満なら危険物の手続きは不要?少量危険物の届出が必要になるケース

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

「危険物を保管するが、指定数量までは届かない」

「指定数量未満なら消防署への手続きは何もいらない?」

指定数量未満だからといって、必ず何の手続きも不要になるわけではありません。

愛知県三河でも、一定量以上の危険物を貯蔵・取り扱う場合は、火災予防条例に基づく「少量危険物」の届出が必要になることがあります。

例えば、碧南市・刈谷市・安城市・知立市・高浜市を管轄する衣浦東部広域連合消防局では、

指定数量の5分の1以上
かつ
指定数量未満

の危険物を「少量危険物」としています。

岡崎市でも同じく、指定数量の5分の1以上・指定数量未満の危険物について、少量危険物の貯蔵・取扱い開始届を設けています。

そのため、

指定数量以上
→ 消防法上の危険物施設の許可を確認

指定数量の5分の1以上・指定数量未満
→ 少量危険物の届出を確認

指定数量の5分の1未満
→ 少量危険物の届出対象外でも、火災予防条例上の貯蔵・取扱基準を確認

という段階で考えることが重要です。

この記事では、工場・倉庫などで指定数量未満の危険物を保管・使用するとき、少量危険物の届出が必要になるケースを整理します。

指定数量未満でも危険物のルールはなくならない

消防法では、危険物ごとに「指定数量」が定められています。

指定数量以上の危険物を貯蔵・取り扱う場合は、原則として許可を受けた製造所・貯蔵所・取扱所以外では行うことができません。

一方、指定数量未満の危険物については、市町村等の火災予防条例によって貯蔵・取扱いの基準が定められています。

つまり、

「指定数量未満だから消防法関係は一切関係ない」

ということではありません。

指定数量未満になった後も、

  • どの程度の量か
  • どこで保管するか
  • どのような設備で取り扱うか

を確認します。

総務省消防庁公式:火災予防・危険物関係の届出様式を確認する

関連記事

工場・倉庫で危険物を保管したい|消防署の許可が必要になるケース

指定数量の5分の1以上なら少量危険物を確認する

衣浦東部広域連合消防局では、

「指定数量の5分の1以上、指定数量未満」

の危険物を少量危険物としています。

例えば第4類危険物では、代表的な指定数量として、

危険物指定数量5分の1
ガソリン200L40L
灯油1,000L200L
第4石油類の潤滑油など6,000L1,200L

があります。

例えば、事業所でガソリンを50L保管する場合、

指定数量200L未満
ではありますが、

5分の1にあたる40L以上

です。

この場合、指定数量未満だから何もいらないと考えるのではなく、少量危険物として届出・設備基準を確認します。

衣浦東部広域連合消防局公式:少量危険物の基準を確認する

複数の危険物は合算して判定する

少量危険物の判定で注意したいのが、複数種類の危険物を同じ場所で保管・使用する場合です。

例えば、

ガソリン30L
灯油120L
潤滑油200L

を保管しているとします。

単独で見ると、どれも指定数量の5分の1未満に見えます。

しかし、指定数量が異なる危険物を同じ場所で貯蔵・取り扱う場合は、

危険物の数量 ÷ その危険物の指定数量

をそれぞれ計算して合算します。

衣浦東部広域連合消防局の基準では、この例について、

ガソリン
30L ÷ 200L = 0.15

灯油
120L ÷ 1,000L = 0.12

潤滑油
200L ÷ 6,000L ≒ 0.04

合計
0.31

となり、0.2以上1未満なので少量危険物として扱う例が示されています。

つまり、

「ガソリンは40L未満だから届出不要」
「灯油も200L未満だから届出不要」

と品目ごとだけで判断してはいけません。

複数種類がある場合は、指定数量に対する割合を合算します。

衣浦東部広域連合消防局公式:少量危険物貯蔵取扱所設置指導基準を確認する

「同じ場所」の範囲にも注意する

危険物を複数箇所に分ければ、必ず別々に数量計算できるわけではありません。

衣浦東部広域連合消防局の基準では、同一場所について原則として、

屋外
→ 敷地ごと

屋内
→ 建築物ごと

としています。

ただし、防火上有効に区画されているなど、独立性が認められる場合には場所ごとに扱える場合があります。

そのため、

倉庫の東側に危険物を置く
西側にも別に置く

というだけで、自動的に別計算になるとは限りません。

保管場所を分けて少量危険物の基準を下回らせようとする前に、管轄消防署へ確認することが重要です。

保管量だけでなく「取扱量」も確認する

工場では、危険物を保管するだけでなく、

  • 原材料として使用する
  • 洗浄に使用する
  • 切削・潤滑に使用する
  • 詰替えをする
  • ボイラーや発電設備で消費する

ことがあります。

この場合、倉庫に置いてある在庫量だけで判断するとは限りません。

衣浦東部広域連合消防局の基準では、取扱方法に応じて、

原材料等として使用
→ 1日の最大取扱数量

設備内で使用
→ 1日に設備内へ停滞する最大数量

充填・詰替え
→ 1日の最大注入量・詰替量

ボイラー等で消費
→ 最大消費量等

を基準に数量を算出する考え方が示されています。

さらに、同じ場所で貯蔵と取扱いを行う場合には、それぞれの数量を合算します。

そのため、

「保管棚には少ししか置いていない」

だけでは少量危険物に該当しないとは判断できません。

指定数量の5分の1未満なら届出は不要?

衣浦東部広域連合消防局では、指定数量の5分の1未満を「微量危険物」としています。

一般の事業所については、指定数量の5分の1未満であれば、少量危険物貯蔵取扱所としての届出ラインには達しません。

しかし、

「届出不要」

「危険物としての規制が何もない」

は別です。

指定数量未満の危険物についても、火災予防条例によって貯蔵・取扱いの技術上の基準が定められます。

そのため、

5分の1未満だから好きな場所・容器・方法で保管してよい

ということではありません。

特に工場・倉庫では、火気、容器、設備、漏えい防止などについて確認が必要になる場合があります。

個人の住居では届出基準が異なる場合がある

少量危険物の届出基準には例外もあります。

衣浦東部広域連合消防局の基準では、個人の住居については、

指定数量の2分の1以上

の場合に届出対象とする取扱いが示されています。

したがって、

工場・事業所

個人住宅

で同じ届出ラインとは限りません。

この記事は工場・倉庫など事業用施設を中心に説明しています。

実際の保管場所・用途に応じて、管轄消防署の基準を確認します。

少量危険物の開始・変更では届出書を提出する

衣浦東部広域連合消防局では、少量危険物の新設・変更について、

「少量危険物・指定可燃物貯蔵・取扱い届出書」

を使用します。

必要に応じて、

  • 案内図
  • 敷地内建物配置図
  • 平面図
  • 断面図
  • タンク図
  • 容量計算書
  • タンク・配管の試験結果書
  • その他関係図面

などを添付します。

つまり、少量危険物は、

「指定数量未満だから簡単な紙1枚だけ」

とは限りません。

保管・取扱場所が条例・消防局基準に適合していることを図面等で確認できるようにします。

衣浦東部広域連合消防局公式:少量危険物を含む危険物の申請・届出様式を確認する

岡崎市でも少量危険物の開始届がある

岡崎市でも、

指定数量の5分の1以上
指定数量未満

を少量危険物として、貯蔵・取扱い開始届の対象としています。

2026年7月更新の岡崎市公式案内では、開始届の提出部数は2部で、消防本部予防課危険物係または電子申請で受け付けています。

開始届には、

  • 危険物の類・品名
  • 最大数量
  • 1日最大数量
  • 作業概要
  • 消火設備

などを記載します。

岡崎市公式:少量危険物の貯蔵・取扱い開始届を確認する

少量危険物の内容を変更するときも届出を確認する

一度開始届を出せば、その後は自由に危険物の量や設備を変更できるわけではありません。

例えば、

  • 危険物の種類を変更する
  • 最大数量を増やす
  • 保管場所を変更する
  • タンクを変更する
  • 設備を変更する

場合には、変更届を確認します。

岡崎市では、少量危険物の貯蔵・取扱いを変更する場合について「危険物等貯蔵(取扱い)変更届」を設けています。

添付資料として、

  • 案内図
  • 配置図
  • 平面図
  • 変更設備の仕様書等

を案内しています。

岡崎市公式:少量危険物の変更届を確認する

数量を増やして指定数量以上になる場合は許可施設へ変わる

少量危険物として届け出ていた事業所でも、その後に取扱量が増える場合があります。

例えば、

当初
指定数量の0.6倍

だったものが、

設備増設後
指定数量の1.2倍

になるケースです。

この場合、

少量危険物の変更届だけで対応できる

とは限りません。

指定数量以上になるのであれば、消防法上の危険物製造所・貯蔵所・取扱所として許可が必要になる可能性があります。

そのため、

新しい受注で油の使用量が増える
危険物をまとめて購入する
タンクを大型化する

場合には、設備を変更する前に指定数量の倍数を再計算します。

関連記事

危険物製造所等の設置許可を申請したい|必要書類・図面・事前協議の流れ

少量危険物でも保管場所の設備基準を確認する

少量危険物の規制は、届出書を提出することだけが目的ではありません。

保管・取扱場所について、

  • 標識・掲示板
  • 危険物の漏れ・あふれ・飛散防止
  • 火気管理
  • 容器
  • 流出防止
  • 換気
  • タンク
  • 消火設備

など、位置・構造・設備に関する基準があります。

必要な基準は、

屋内
屋外
建物の一部
タンク

など保管・取扱方法によって変わります。

「少量だから棚に置くだけでよい」と決める前に、消防局の基準を確認します。

衣浦東部広域連合消防局公式:少量危険物貯蔵取扱所の設置指導基準を確認する

少量危険物か確認するときの順番

指定数量未満の危険物を工場・倉庫で保管・使用する場合は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 保管・使用する製品を一覧にする
  2. SDS等で消防法上の危険物か確認する
  3. 危険物の類・品名を確認する
  4. それぞれの指定数量を確認する
  5. 最大貯蔵量・最大取扱量を確認する
  6. 複数種類なら指定数量に対する割合を合算する
  7. 同一場所として計算する範囲を確認する
  8. 指定数量に対する倍数を計算する
  9. 0.2以上1未満なら少量危険物の届出を確認する
  10. 0.2未満でも火災予防条例上の基準を確認する
  11. 保管・取扱場所の位置・構造・設備を確認する
  12. 必要なら管轄消防署へ事前相談する
  13. 届出後に貯蔵・取扱いを開始する

特に重要なのは、

「指定数量未満か」

だけで判断を終わらせないことです。

「指定数量未満だから大丈夫」ではなく5分の1まで確認する

危険物の数量確認は、

指定数量以上か

指定数量未満だった

終わり

ではありません。

その次に、

指定数量の5分の1以上か

を確認します。

工場・倉庫などでは、

指定数量以上
→ 危険物施設の設置・変更許可を確認

指定数量の5分の1以上・指定数量未満
→ 少量危険物の届出を確認

指定数量の5分の1未満
→ 届出の有無だけでなく、条例上の貯蔵・取扱基準を確認

という順番で考えると分かりやすくなります。

さらに、危険物が複数種類ある場合や、保管と設備での取扱いを同じ場所で行う場合は、数量を合算して判定する必要があります。

関連記事

工場・倉庫で危険物を保管したい|消防署の許可が必要になるケース

危険物製造所等の設置許可を申請したい|必要書類・図面・事前協議の流れ

愛知県三河の少量危険物の届出についてご相談ください

いしかわ行政書士事務所では、碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市を中心に、危険物・少量危険物に関する許可・届出のご相談を受けています。

「指定数量未満なので何も手続きがいらないと思っていた」
「複数の油・溶剤を合算すると少量危険物になるか確認したい」
「工場内のどこまでを同一場所として計算するのか分からない」
「少量危険物の保管場所に必要な設備を確認したい」

という場合は、危険物の品名、SDS、最大貯蔵量・取扱量、保管場所、現在の図面などを確認しながら必要な届出を整理します。

少量危険物に該当するか分からない段階でもご相談ください。

お気軽にお問い合わせください

0566-68-5511

営業時間 9:00-21:00(土・日・祝日も対応)

出典

総務省消防庁公式:火災予防・危険物規制事務に係る届出等様式総務省消防庁公式:危険物規制衣浦東部広域連合消防局公式:危険物関係衣浦東部広域連合消防局公式:少量危険物貯蔵取扱所設置指導基準衣浦東部広域連合消防局公式:危険物申請・届出様式岡崎市公式:少量危険物・指定可燃物岡崎市公式:危険物等貯蔵(取扱い)開始届

この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の情報をもとに作成しています。

トップへ戻る