運行管理者・整備管理者を変更したときの届出と注意点

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

運行管理者や整備管理者が退職・異動するときは、社内の担当を入れ替えるだけでは手続きが完了しません。

前任者の解任と後任者の選任について、管轄の運輸支局へ届け出る必要があります。

特に注意したいのは、運行管理者と整備管理者では届出期限や資格要件が異なることです。後任者を決めないまま前任者が退職すると、必要な管理者が不在になるおそれもあります。

この記事では、一般貨物自動車運送事業者が運行管理者・整備管理者を変更するときの届出、期限、必要書類、社内で確認したい事項を整理します。

運行管理者と整備管理者の変更は社内の人事だけでは終わらない

運行管理者と整備管理者は、運送会社が任意に置く社内担当者ではありません。それぞれ法令に基づいて選任し、運輸支局へ届け出る管理者です。

前任者が退職・異動する場合は、後任者を決めたうえで、原則として次の手続きを行います。

変更する管理者主な手続き届出期限の目安
運行管理者前任者の解任と後任者の選任遅くとも変更後1週間以内
整備管理者前任者から後任者への変更変更後15日以内
両方を変更それぞれ別の届出書を提出各届出の期限に従う

届出期限内であっても、前任者を解任してから後任者を探す進め方は避けた方がよいでしょう。

後任者が資格要件を満たしているかを確認し、選任日と解任日を決めてから交代させます。

また、営業所の車両数によって必要な運行管理者の人数が変わります。1人を変更する場合でも、変更後に必要人数を下回らないか確認が必要です。

運行管理者を変更したときの届出

運行管理者が退職・異動した場合は、前任者の解任と後任者の選任について届け出ます。

貨物自動車運送事業者の場合、法令上は「遅滞なく」とされていますが、国土交通省の運用では、遅くとも1週間以内に届け出るよう示されています。

後任者の資格者証を確認する

一般貨物自動車運送事業の運行管理者には、原則として「貨物」の運行管理者資格者証を持つ人を選任します。

運行管理者試験に合格していても、資格者証の交付を受けていなければ、資格者証番号を記載できません。後任者を決めるときは、合格証ではなく運行管理者資格者証の現物または写しを確認します。

届出時に準備する主なものは次のとおりです。

  • 運行管理者選任・解任届出書
  • 後任者の運行管理者資格者証の写し
  • 会社名、営業所名、所在地などの基本情報
  • 前任者の解任日
  • 後任者の選任日
  • 統括運行管理者を置いている場合は、その氏名と選任年月日

添付書類や提出方法は管轄の運輸支局によって確認が必要です。愛知県内の営業所については、中部運輸局が公開している貨物用の届出様式を使用します。

必要な運行管理者数を下回らないようにする

貨物自動車運送事業では、営業所ごとの事業用自動車の台数に応じて、必要な運行管理者数が決まります。

被けん引車を除く事業用自動車が29両までは1人、30両から59両までは2人となり、その後も30両増えるごとに必要人数が増えます。

複数人を選任している営業所でも、「1人抜けても残りの運行管理者がいるから問題ない」とは限りません。変更後の人数が、車両数に応じた最低人数を満たすか確認します。

統括運行管理者だけを変更し、運行管理者の選任・解任を伴わない場合も、変更後の統括運行管理者について届け出る必要があります。

整備管理者を変更したときの届出

整備管理者を変更した場合は、変更日から15日以内に管轄の運輸支局へ届け出ます。

後任者は、次のいずれかの資格要件を満たしている必要があります。

  • 整備管理を行う自動車と同種類の自動車について、点検・整備または整備管理に関する2年以上の実務経験があり、整備管理者選任前研修を修了している
  • 1級・2級・3級の自動車整備士技能検定に合格している
  • 国土交通大臣が告示で定める基準を満たしている

「車に詳しい」「日常点検を担当していた」というだけでは、資格要件を満たすとは限りません。

実務経験によって選任する場合は、経験の内容と期間を確認し、選任前研修修了証明書も準備します。

届出時に準備する主なものは次のとおりです。

  • 整備管理者選任・変更・廃止届出書
  • 整備管理者選任前研修修了証明書の写し
  • または自動車整備士技能検定合格証書の写し
  • 実務経験で選任する場合の実務経験証明書など
  • 後任者の選任日
  • 前任者の変更日または解任日
  • 兼職がある場合は、その職名と職務内容

前任者を解任しただけでは、整備管理者の交代は完了しません。後任者の資格を証明する書類までそろえて届け出ます。

なお、整備管理者を置く必要がなくなり、選任そのものを廃止する場合は、単なる担当者変更とは扱いが異なります。車両数や使用状況を確認し、廃止届の可否と期限を管轄の運輸支局へ確認してください。

運行管理者・整備管理者を同時に変更するとき

小規模な運送会社では、人事異動や退職をきっかけに、運行管理者と整備管理者を同じ時期に変更することがあります。

この場合も、1枚の書類でまとめて届け出るわけではありません。

  • 運行管理者の選任・解任届出
  • 整備管理者の選任・変更届出

それぞれの届出書を作成し、それぞれに必要な資格証明書類を付けます。

届出期限も異なるため、整備管理者の15日以内に合わせて一括準備するのではなく、運行管理者の1週間以内を基準に進めた方が届出漏れを防げます。

変更日を決める前に、次の順番で確認すると進めやすくなります。

  1. 前任者の最終勤務日と解任日を確認する
  2. 後任者が資格要件を満たしているか確認する
  3. 後任者の選任日を決める
  4. 変更後も法定の必要人数を満たすか確認する
  5. 資格者証や研修修了証明書の写しを準備する
  6. 運行管理者と整備管理者の届出書を別々に作成する
  7. 期限内に管轄の運輸支局へ提出する

運行管理者の補助者がいる場合でも、補助者を置いているだけで運行管理者の不在を補えるわけではありません。補助者は、運行管理者の指導・監督のもとで業務を補助する立場です。

管理者変更後に社内で見直したいこと

運輸支局への届出が終わっても、社内の管理体制が前任者のままでは、点呼や車両管理の現場に支障が出ます。

管理者変更後は、次の記録や社内資料も見直します。

  • 運行管理・整備管理の社内組織図
  • 緊急時の連絡先
  • 点呼記録簿や運転日報の確認者
  • 日常点検結果の報告先
  • 定期点検や車検の管理表
  • 運転者に掲示・周知している管理者名
  • 運行管理者・整備管理者の講習受講予定
  • 管理者の選任届、資格者証、研修修了証明書の控え

書類上は管理者を変更していても、運転者が「誰へ報告すればよいか分からない」状態では安全管理が機能しません。

前任者が使っていた管理表、点検予定、未処理の指示、講習予定なども後任者へ引き継ぎます。

よくある質問

Q
運行管理者が急に退職した場合、後任者が決まるまで補助者で対応できますか?
A

補助者は運行管理者の業務を補助する立場であり、運行管理者そのものではありません。必要な運行管理者数を満たせなくなる場合は、後任者の資格と選任日を早急に確認し、管轄の運輸支局へ相談してください。

Q
運行管理者の届出は15日以内ではありませんか?
A

貨物事業者の運行管理者については、遅くとも変更後1週間以内に届け出る運用です。整備管理者の変更届が15日以内であるため、期限を混同しないようにしてください。

Q
運行管理者資格者証があれば、すぐに後任者として選任できますか?
A

資格者証の種類が事業に合っているか、変更後の営業所で必要人数を満たすかなどの確認が必要です。選任後の講習予定や勤務体制も併せて整理します。

Q
整備管理者選任前研修を受けていれば、実務経験がなくても選任できますか?
A

選任前研修を修了しただけでは、原則として実務経験による資格要件を満たしません。2年以上の該当する実務経験と選任前研修の両方が必要です。自動車整備士資格によって選任する場合は別の確認になります。

Q
届出書を提出した後は何を保管すればよいですか?
A

受付済みの届出書控え、資格者証や研修修了証明書の写し、実務経験証明書などをまとめて保管します。前回の届出控えと一緒にしておくと、次回の変更や巡回指導時に確認しやすくなります。

まとめ

運行管理者と整備管理者の変更は、社内で後任者を決めるだけでは終わりません。

運行管理者は遅くとも1週間以内、整備管理者は変更後15日以内を基準に、管轄の運輸支局へ届け出ます。

後任者を決めるときは、資格要件、営業所の車両数、変更後の必要人数、選任日と解任日のつながりを確認してください。

退職後に後任者を探し始めると、管理者不在や届出期限の経過につながります。退職・異動の予定が分かった段階で、資格証明書類と届出日程を整理しておくことが大切です。

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出典

国土交通省中部運輸局「運送事業者の事故防止(保安業務)と自動車の環境対策について」
国土交通省「運行管理者について」
国土交通省「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」
国土交通省近畿運輸局大阪運輸支局「運行管理者や整備管理者のお手続き」

この記事は、2026年8月時点の法令・公的機関の案内をもとに作成しています。営業所の車両数、選任状況、変更内容によって必要な届出が異なるため、手続き前に管轄の運輸支局へ確認が必要になる場合があります。

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