
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
おひとりさま終活を始めようとすると、自宅、預金、相続人、遺言書、任意後見、葬儀、家財整理など、確認することが次々に出てきます。
すべてを一度に決めようとすると負担が大きくなり、何も進まないまま終活を後回しにしてしまうことがあります。
終活では、最初からすべてを完成させる必要はありません。
先に確認するのは、急な入院や判断能力の低下があったときに困ることです。葬儀の細かな希望や家財の分け方などは、後から決めても間に合います。
この記事では、おひとりさま終活で今やることと、後でよいことをチェックリスト形式で整理します。
今やることと後でよいことの分け方
終活の項目は、次の基準で分けると優先順位を判断しやすくなります。
| 今やること | 後でよいこと |
|---|---|
| 緊急時にすぐ必要になること | 好みや希望を細かく決めること |
| 本人でなければ分からないこと | 後から変更しやすいこと |
| 判断能力があるうちに確認したいこと | 状況が決まってから考えられること |
| 放置すると手続きが複雑になること | 現時点で急いで決める必要がないこと |
| 他人へ事前に承諾を得る必要があること | 一人で考えて後から書き足せること |
たとえば、緊急連絡先や自宅の名義は、急な入院があってからでは確認が難しくなるため、早めに整理したい項目です。
一方、葬儀で流してほしい曲や、細かな家財の分け方は、最初に決めなくても大きな支障はありません。
「終活として大切か」ではなく、「今決めないと困るか」で順番を付けます。
今やることのチェックリスト
まずは、次の項目を確認します。
すべてを完成させる必要はありません。分からない項目には「未確認」と書き、次に調べることを明確にします。
緊急時の連絡先
□ 急な入院や事故のときに連絡してほしい人を決めた
□ 第1連絡先と第2連絡先を決めた
□ 相手本人へ緊急連絡先にしてよいか確認した
□ 自分との関係、電話番号、住所を記録した
□ どこまで対応を頼めるか話した
親族がいても、長年疎遠だったり、遠方に住んでいたりすると、すぐに対応できない場合があります。
友人や知人を連絡先にすることもできますが、名前を勝手に書くだけではなく、本人へ事前に確認しておきます。
緊急連絡先になってもらうことと、入院費の支払い、財産管理、死後の手続きまで頼むことは別です。
自宅や土地の名義
□ 自宅が持ち家か賃貸か整理した
□ 土地の名義を確認した
□ 建物の名義を確認した
□ 亡くなった親の名義が残っていないか確認した
□ 共有名義になっていないか確認した
□ 住宅ローンや抵当権の有無を確認した
□ 権利証や登記識別情報の保管場所を確認した
自分が住んでいて固定資産税を払っていても、登記上の名義が自分になっているとは限りません。
土地は自分名義でも、建物に亡くなった親の名義が残っている場合があります。
過去の相続登記が終わっていなければ、自分の終活を進める前に、現在の権利関係から整理しなければならないことがあります。
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財産と借金の所在
□ 利用している銀行と支店を書き出した
□ 証券会社や保険会社を確認した
□ 自動車や高価な財産の有無を確認した
□ 住宅ローンや借入金を確認した
□ クレジットカードを一覧にした
□ 通帳や保険証券などの保管場所を記録した
□ 継続中の契約や定期的な支払いを確認した
最初から預金残高や不動産の評価額を正確に調べる必要はありません。
まずは、どの金融機関を利用しているか、どこに関係書類があるかを分かるようにします。
借金や未払金も相続に関係するため、プラスの財産だけでなく、ローンや継続中の支払いも整理します。
法律上の相続人
□ 配偶者や子どもの有無を確認した
□ 両親が存命か確認した
□ 兄弟姉妹を書き出した
□ 先に亡くなった兄弟姉妹に子どもがいるか確認した
□ 疎遠な親族や連絡先が分からない親族を確認した
□ 必要に応じて戸籍による確認を検討した
独身で子どもがいない場合でも、相続人がいないとは限りません。
両親、祖父母、兄弟姉妹、甥や姪が相続人になる可能性があります。
自分が財産を残したい人と、法律上の相続人が違う場合は、遺言書の必要性を検討します。
入院や施設入所後の生活
□ 入院時に自宅を確認する人を決めた
□ 自宅の鍵をどうするか考えた
□ 郵便物や宅配の確認方法を決めた
□ 固定資産税や公共料金の支払方法を確認した
□ ペットがいる場合の預け先を考えた
□ 施設入所後の自宅をどうするか考え始めた
□ 判断能力が低下した場合の財産管理を考えた
亡くなった後だけでなく、長期入院や施設入所によって自宅へ戻れなくなる場合があります。
「施設へ入ったら自宅を売る」と考えていても、判断能力が低下した後では、本人が自分で売買契約を進められない可能性があります。
自宅の売却や財産管理を他人へ任せる可能性がある場合は、元気なうちに相談先や契約方法を確認します。
本人でなければ分からない情報
□ スマートフォンやパソコンの契約先を整理した
□ 利用しているネット銀行や証券口座を確認した
□ サブスクや定期購入を一覧にした
□ 重要書類の保管場所を記録した
□ 信頼できる人へメモの保管場所を伝えた
□ 暗証番号やパスワードを安全に管理した
通帳、印鑑、暗証番号、パスワードを、誰でも見られる一つの箱へまとめることは避けます。
財産や契約の存在を示す一覧と、暗証番号などの重要情報は分けて管理します。
後でよいことのチェックリスト
次の項目は終活として大切ですが、最初にすべて決める必要はありません。
まず緊急時の連絡先や財産の所在を確認し、その後に少しずつ整理します。
葬儀の細かな内容
□ 葬儀の規模
□ 参列してほしい人
□ 遺影に使う写真
□ 葬儀で流してほしい音楽
□ 祭壇や棺の細かな希望
葬儀を頼める人がいない場合は、誰が手続きを行うかを先に考える必要があります。
しかし、葬儀の形式や細かな演出まで、最初に決める必要はありません。
まずは「大きな葬儀は希望しない」「この人には連絡してほしい」など、最低限の希望から整理します。
お墓や納骨の細かな希望
□ 希望する墓石や納骨方法
□ 墓地や寺院の細かな候補
□ 散骨などの方法
□ 法要の回数や内容
すでにお墓や納骨先が決まっている場合は、連絡先と関係書類の保管場所を記録します。
まだ決まっていなければ、すぐに契約する必要はありません。
親族との関係、費用、管理する人の有無を確認してから決めます。
家財や思い出の品の細かな分け方
□ 衣類や日用品の処分方法
□ 写真や手紙の整理
□ 家具や家電の引取先
□ 形見として渡したい物
□ 寄付や売却を希望する物
すべての家財を一つずつ一覧にすると、作業量が多くなります。
最初は、重要書類、貴重品、残してほしい物だけを分けておけば十分です。
それ以外は、体力や時間に余裕があるときに少しずつ整理します。
財産を分ける細かな割合
□ 預金を誰へどの割合で渡すか
□ 家財を誰に渡すか
□ 寄付する金額
□ 複数の人へ残す場合の細かな配分
法律上の相続人と、自分が財産を残したい人が同じかどうかは早めに確認します。
ただし、具体的な金額や割合は、財産状況や人間関係を確認してから決めても構いません。
遺言書を作る場合も、一度作って終わりではなく、財産や希望の変化に応じて見直します。
自宅を売る時期の最終決定
□ 何歳で自宅を売るか
□ どの不動産会社へ依頼するか
□ 売却価格をいくらにするか
□ 住み替え先をどこにするか
自宅の名義、住宅ローン、維持費、売却可能性は早めに確認します。
一方、現在元気に住み続けているのであれば、具体的な売却時期まで今すぐ決める必要はありません。
「住み続けたい」「施設へ入ることになったら売却を検討する」など、現時点の方向性を決めておきます。
「後でよいこと」が今やることに変わる場合
後でよい項目でも、状況によっては早めの準備が必要になります。
体調に不安がある
入院や判断能力の低下が現実的に考えられる場合は、緊急連絡先、財産管理、任意後見契約、遺言書などの確認を優先します。
自宅や土地の名義に問題がある
亡くなった親名義の不動産や共有名義の土地がある場合は、時間が経つほど関係者が増える可能性があります。
自分の終活を考える前に、現在の名義関係を確認します。
親族以外の人へ財産を残したい
友人、知人、内縁の相手などは、原則として法定相続人にはなりません。
財産を残したい場合は、法律上有効な遺言書を作る必要があります。
相続人と疎遠になっている
兄弟姉妹や甥姪の住所が分からない場合、本人の死後に相続人の調査や連絡に時間がかかります。
家族関係や相続人を早めに確認します。
死後の手続きを頼める人がいない
葬儀、納骨、家財整理、公共料金の解約などを頼める人がいない場合は、死後事務委任契約や実行先を早めに検討します。
契約書を作るだけではなく、実際に誰が対応するか、費用をどのように準備するかまで確認します。
よくある失敗は優先順位を付けずに始めること
おひとりさま終活では、次のような進め方をすると途中で止まりやすくなります。
エンディングノートを最初から全部埋める
項目が多いため、葬儀や医療の細かな希望を考えているうちに、自宅や相続人の確認まで進まないことがあります。
まずは緊急連絡先、財産の所在、自宅の名義から始めます。
家財整理から始める
衣類や本を減らすことも終活の一部ですが、急な入院時に必要になるのは、連絡先や重要書類の所在です。
片付けだけで終活を進めたつもりにならないよう注意します。
遺言書を最初に書こうとする
相続人や財産を確認せずに遺言書を書こうとしても、誰に何を残すか決められません。
まず法律上の相続人と、財産の内容を確認します。
まだ元気だから全部後回しにする
元気なうちでなければ、契約や自宅の売却について自分の意思で決められない場合があります。
細かな希望は後でも構いませんが、判断能力が必要な準備まで後回しにしないことが大切です。
頼む相手の名前だけ決める
終活ノートに「姪に頼む」「友人に連絡してもらう」と書いても、本人が承諾しているとは限りません。
誰に何を頼むのか説明し、引き受けられるか確認します。
まとめ
おひとりさま終活では、すべてを一度に決める必要はありません。
今やることは、急な入院や判断能力の低下があったときに困る項目です。
- 緊急時の連絡先
- 自宅や土地の名義
- 財産と借金の所在
- 法律上の相続人
- 入院や施設入所後の生活
- 本人でなければ分からない契約や書類
葬儀の細かな内容、家財の分け方、財産を渡す細かな割合、自宅を売る具体的な時期などは、後から決めても構いません。
ただし、体調に不安がある場合、親族以外へ財産を残したい場合、死後の手続きを頼める人がいない場合は、後でよい項目でも早めの準備が必要です。
まずはチェックリストの中から、次の3つを確認してみましょう。
- 緊急時に連絡してほしい人
- 自宅と土地の現在の名義
- 利用している銀行と重要書類の保管場所
この3点が分かるだけでも、次に何を準備すればよいかが見えやすくなります。
おひとりさま終活のご相談について
いしかわ行政書士事務所では、愛知県三河地域(碧南市・西尾市・高浜市・安城市・刈谷市・岡崎市・豊田市・半田市など)を中心に、おひとりさま終活に関するご相談に対応しています。
自宅や土地、預金、相続人、遺言書、判断能力が低下した場合の備え、亡くなった後の手続きなどを整理し、今準備することと後でよいことを一緒に確認します。
遺言書や契約書の作成を行い、登記、不動産売却、税金、実際の死後事務などが必要な場合は、それぞれを担当する専門家や事業者と連携して進めます。
「終活で確認することが多すぎて、何から始めればよいか分からない」という段階でもご相談いただけます。

