販売店がお客様から預かった車庫証明書類に不備がある場合の対応

この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。

自動車販売店がお客様から車庫証明の書類を預かったものの、住所の食い違い、記入漏れ、使用承諾証明書の不足などが見つかることがあります。

書類に不備があっても、すべてを最初から取り直すとは限りません。

一方で、販売店や行政書士の判断だけでは直せず、お客様や駐車場の管理会社に再作成をお願いしなければならない場合もあります。

この記事では、お客様から預かった車庫証明書類に不備が見つかったときの対応を、自動車販売店向けに解説します。

書類に不備があっても、すぐに依頼を断る必要はありません

車庫証明書類の不備は、大きく次の3つに分けられます。

  • 内容を確認できれば対応できるもの
  • お客様の確認や書類の差し替えが必要なもの
  • 駐車場の所有者や管理会社による再作成が必要なもの

たとえば、販売店の連絡先が書かれていない、返送先が不明といった問題であれば、販売店から追加情報を伝えることで対応できます。

一方、保管場所使用承諾証明書に記載された使用者や駐車場が実際と異なる場合は、販売店や行政書士が勝手に書き換えることはできません。

まず必要なのは、不備のある箇所を確認し、誰の確認または再作成が必要なのかを分けることです。

原本を行政書士へ発送する前であれば、書類全体の画像やPDFを送り、申請できる状態か確認してもらうと手戻りを減らせます。

不備が見つかったときの基本的な対応手順

お客様から預かった書類に不備がある場合は、次の順番で対応します。

そのまま申請せず、不備の箇所を確認する

記入漏れがあっても、内容を推測して埋めないようにします。

使用者、保管場所、車両情報など、申請内容に関わる部分は、販売店の判断だけで補うと別の情報を記載してしまう可能性があります。

書類一式を画像またはPDFにする

不備があるページだけでなく、申請書、使用権原を示す書類、所在図・配置図をまとめて確認します。

1枚だけを見ると問題がなくても、書類同士を比べると住所や区画番号が一致していないことがあります。

行政書士へ不備の内容を確認する

次のように具体的に伝えると確認がスムーズです。

  • 使用承諾証明書の使用期間が未記入
  • 申請書と承諾書で保管場所の住所が異なる
  • 配置図に駐車区画の寸法がない
  • お客様から自認書を預かったが、土地は家族名義とのこと
  • 車台番号がまだ確定していない

誰に確認・再作成を依頼するか決める

不備の内容によって、連絡先が変わります。

  • お客様本人への確認
  • 土地所有者への確認
  • 月極駐車場の管理会社への再作成依頼
  • 販売店での車両情報の確認
  • 行政書士による図面作成や現地確認

登録日・納車日への影響を確認する

使用承諾証明書の再取得や駐車場の変更が必要になると、申請開始が遅れます。

不備が分かった時点で、登録担当者や納車担当者にも状況を共有し、予定を見直せるようにしておきます。

不備の内容別に対応を分ける

申請書の住所や氏名が違う場合

申請書に記載する住所や氏名は、使用者の情報と一致している必要があります。

よくあるのは、次のようなケースです。

  • 旧住所が書かれている
  • マンション名や部屋番号が抜けている
  • 法人名の表記が登記事項と異なる
  • 使用者ではなく所有者の情報が書かれている
  • 使用の本拠の位置に自宅ではなく販売店住所が書かれている

単なる書き間違いに見えても、どの住所が正しいかを販売店だけで決めることはできません。

お客様または登録担当者へ確認し、正しい情報を確定させてから修正・再作成します。

車両情報が違う、または未確定の場合

車名、型式、車台番号、自動車の長さ・幅・高さが車両資料と異なっている場合は、販売店側で正しい車両情報を確認します。

複数案件をまとめて扱っていると、別のお客様の車台番号や車両寸法を転記してしまうことがあります。

車台番号がまだ確定していない場合は、申請できる時期を行政書士へ確認し、情報が確定してから連絡します。

別車両の情報が記載されている場合は、軽微な記入漏れとして扱わず、申請前に必ず訂正します。

自認書と使用承諾証明書を間違えている場合

購入者本人が所有する土地を使用する場合は、一般的に保管場所使用権原疎明書面(自認書)を使用します。

月極駐車場、賃貸住宅の駐車場、家族名義の土地、勤務先や別法人の駐車場などを使用する場合は、一般的に保管場所使用承諾証明書が必要です。

お客様から自宅の駐車場ですと聞いて自認書を預かった場合でも、土地が親や配偶者の名義であれば、自認書が適切とは限りません。

所有関係を確認し、必要に応じて土地所有者や管理会社から使用承諾証明書を取得してもらいます。

使用承諾証明書に不備がある場合

使用承諾証明書では、次の不備が起こりやすくなります。

  • 使用者の氏名が違う
  • 保管場所の所在地が違う
  • 駐車区画番号が書かれていない
  • 使用期間が書かれていない
  • 使用開始日が申請時点より後になっている
  • 承諾者の情報が不足している
  • 配置図とは別の区画が記載されている

使用承諾証明書は、駐車場の使用を承諾できる所有者や管理会社が作成する書類です。

そのため、販売店や行政書士が承諾内容を推測して追記することはできません。

管理会社等へ確認し、必要に応じて正しい内容で再作成してもらいます。

所在図・配置図に不備がある場合

所在図では、使用の本拠と保管場所の位置関係が分かる必要があります。

配置図では、次の内容を確認します。

  • 使用する駐車区画
  • 区画の縦と横の寸法
  • 出入口の位置と幅
  • 接している道路
  • 道路のおおよその幅
  • 建物と駐車場所の位置関係
  • 月極駐車場の場合は区画番号

図面が未完成でも、行政書士による作成や補完が可能な場合があります。

ただし、駐車場の位置や寸法が分からなければ、販売店から送られた書類だけでは作成できません。

現地確認が必要か、写真や測定結果で対応できるかを事前に確認します。

駐車区画に車が収まらない場合

書類の記載を直しても、実際の駐車区画に車が収まらなければ解決しません。

たとえば、次のような場合です。

  • 車両の幅が駐車区画を超えている
  • 車両の長さが敷地からはみ出す
  • 出入口が狭く、車が出入りできない
  • 指定された区画とは別の場所に保管する予定になっている

この場合は、単なる書類不備ではなく、保管場所そのものを見直す必要があります。

お客様に別の駐車区画を確保してもらい、新しい使用承諾証明書や配置図を準備することになります。

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販売店や行政書士だけで直せない不備もあります

次のような内容は、お客様や承諾者の確認なしに変更しないことが大切です。

  • 使用者の氏名や住所
  • 使用の本拠の位置
  • 保管場所の位置
  • 駐車区画番号
  • 駐車場の使用期間
  • 駐車場を使用する権利関係
  • 土地所有者や管理会社の承諾内容
  • 実際の駐車場所や駐車方法

軽微な記載漏れについて行政書士が補正できる場合もありますが、申請内容そのものが変わる修正や、第三者の承諾に関わる修正は別です。

行政書士へ送れば全部直して申請してもらえると考えず、誰の確認が必要な不備なのかを確認してください。

また、警察署へ申請した後に不備が判明した場合は、補正だけで済むのか、書類の差し替えや再申請が必要なのかを管轄警察署へ確認することになります。

販売店側で警察署から連絡を受けた場合は、その内容をそのまま行政書士へ共有してください。

納車を遅らせないために販売店ができること

不備が見つかったときに最も避けたいのは、原本を何度も郵送し直すことです。

遠方の案件では、再取得にかかる日数だけでなく、販売店、お客様、管理会社、行政書士の間を郵送する日数も加わります。

納車の遅れを防ぐためには、次の流れが有効です。

  • お客様から預かった時点で書類一式を確認する
  • 原本発送前に画像やPDFを行政書士へ送る
  • 不備のある箇所と、確認する相手を明確にする
  • 差し替えが必要な書類だけを早めに再取得する
  • 書類が揃った後、全体の住所や区画番号を再確認する
  • 登録予定日・納車予定日を行政書士へ伝える

急ぎの案件ほど、書類をそのまま発送するのではなく、発送前の確認が重要です。

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まとめ

お客様から預かった車庫証明書類に不備がある場合でも、すべての書類を最初から取り直すとは限りません。

まず、不備を次のように分けます。

  • 情報を確認すれば対応できるもの
  • お客様による確認や再作成が必要なもの
  • 土地所有者や管理会社による再作成が必要なもの
  • 駐車場所そのものを見直す必要があるもの

特に、使用者、保管場所、使用期間、駐車場の承諾内容などは、販売店や行政書士の判断だけで変更できません。

不備を見つけたら、原本を発送する前に書類一式の画像やPDFを送り、誰が何を直す必要があるか確認することが大切です。

よくある質問

Q
行政書士に送れば、不備があっても全部直して申請してもらえますか?
A

すべてを直せるわけではありません。軽微な記載漏れは補正できる場合がありますが、使用者や保管場所など申請内容そのものに関わる修正、第三者の承諾に関わる修正は、お客様や承諾者への確認が必要です。

Q
別のお客様の車台番号を誤って記載していた場合、どうすればいいですか?
A

軽微な記入漏れとして扱わず、申請前に必ず訂正してください。複数案件をまとめて扱っていると起こりやすいミスのため、案件ごとの書類確認が重要です。

Q
警察署に申請した後に不備が判明した場合はどうなりますか?
A

補正だけで済むか、書類の差し替えや再申請が必要かは、管轄警察署に確認することになります。警察署から連絡を受けた場合は、その内容をそのまま行政書士へ共有してください。

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