
この記事は行政書士が監修しています。
いしかわ行政書士事務所の行政書士が、法令や公的機関の情報、実務をもとに、制度や手続きのポイントを分かりやすく解説します。
トラックを1台増やすたびに、警察署へ車庫証明を取りに行かなければいけないのか。運送会社の担当者から、こうした質問をよくいただきます。
結論から言うと、一般貨物自動車運送事業の事業用自動車(緑ナンバー)を増車する場合、警察署への車庫証明(保管場所証明)は原則として不要です。増車のたびに必要になるのは、運輸支局への届出と、車庫の収容能力の確認です。
とはいえ「不要」と聞いて安心するのはまだ早いところがあります。ここを勘違いしたまま増車を進めると、思わぬところで手続きが止まることがあります。
なぜ車庫証明が不要なのか
車庫証明(保管場所証明)は、自家用自動車を対象にした警察署の手続きです。これに対して、運送業の事業用自動車を停める車庫は、運輸支局の許可・届出の対象になります。
つまり、車を停める場所を確保するという点では同じでも、役所の窓口も、確認する法律も別ということです。運送業の車庫は貨物自動車運送事業法、車庫証明は自動車保管場所法に基づいています。管轄が違うため、増車のたびに警察署へ行く必要はありません。
増車のたびに実際に必要なこと
車庫証明が不要な代わりに、増車のたびに次のことが必要になります。
- 事業計画変更届(増車届)の提出:営業所を管轄する運輸支局へ、車両を増やす旨を届け出ます
- 車庫の収容能力の確認:今使っている車庫に、増車後の全車両が収まるかどうか
- 車両制限令に抵触しないかの確認:車庫前面道路の幅員が車両サイズに対して十分か
- 事業用自動車等連絡書の取得:この連絡書がないと、増車した車両の登録・ナンバー交付に進めません
つまり、「警察署の車庫証明」ではなく「運輸支局への届出と車庫の容量確認」が、増車のたびに毎回発生する実務です。
車庫が足りなくなったときは話が変わる
ここで注意したいのが、今の車庫に増車分の車両が収まらない場合です。この場合は単なる増車届では済まず、車庫そのものの新設・変更手続き(運輸支局への認可申請)が必要になります。
車庫を新しく借りる、または車庫の面積を広げるといった対応が必要になるケースです。この段階になると、警察署の車庫証明が絡んでくることもあります。たとえば、増車した車両を一時的に自家用として使う場合や、運送事業用ではない別の車両を同じ場所に置く場合などです。
「今回はうちも車庫証明が必要なのか、不要なのか」を自己判断してしまい、後から運輸支局の窓口で追加書類を求められ、納車や運行開始が遅れてしまう相談も少なくありません。
よくある勘違い
トラックを増やす=車の手続きだから車庫証明も要るはず」という思い込みは、事業用自動車ではよくある誤解です。マイカーの購入・登録と同じ感覚で考えてしまうケースです。
車庫証明が要らないなら、車庫の届出も要らない」という逆方向の勘違いも見られます。警察署への申請は不要でも、運輸支局への届出や車庫の容量確認は必ず必要です。ここを飛ばして増車を進めてしまうと、後から車両登録の段階で止まってしまいます。
増車前に確認しておきたいこと
増車を決めたら、次の点を先に確認しておくと手続きがスムーズです。
- 現在の車庫に、増車後の台数がすべて収まるか
- 車庫前面道路の幅員に問題がないか
- 営業所と車庫の管轄運輸支局はどこか
- 増車する車両の車検証が手元にあるか
これらを事前に整理しておくことで、事業計画変更届の提出から登録・ナンバー交付までを、無駄なくつなげることができます。
この記事を読んだ人が知っておきたいこと
- 増車の届出そのものについては、[トラックを買う前に確認したい増車手続き|車庫・連絡書・登録の流れ]をあわせて確認すると、実際の流れがつかめます。
- 車庫が足りず新しい車庫を検討する場合は、[運送業の車庫変更手続きとは?移転・追加するときの注意点を解説]も参考になります。
まとめ
事業用自動車の増車では、警察署の車庫証明は原則不要です。必要なのは、運輸支局への事業計画変更届と、車庫の収容能力の確認です。ただし、車庫が足りない場合は話が変わり、車庫の新設・変更手続きが別途必要になります。「今回のうちの増車で何が必要になるのか」を先に整理しておくことが、納車や運行開始を遅らせないための一番の近道です。
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運送会社の社長様やご担当者様が本業に集中できるよう、増車・減車・車両入替などの許可後の変更手続きをサポートしています。今回の増車で何が必要になるか分からない段階でも、まずは現在の車両台数と車庫の状況をお聞かせください。元大型ドライバーとして現場を見てきた立場から、点呼や車庫運用の実情もふまえて対応します。
